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クールダウン&ヒートアップ【4】
ずらして下ろしたデニムを抜き取る事もせず、勇輝は俺の剥き出しになった腿を撫でながらひたすら下着の上に飛び出した部分をチロチロと舐めている。
深く背凭れに体を沈めたままではその姿が見えにくいと、近くにあったクッションを2つ背中に当てて少しだけ体を起こした。
「勇輝、そんな子猫がミルク舐めてるみたいな事してるだけで満足?」
「ん? 全然満足じゃないよ」
「じゃあ、満足できるように好きな事すればいいのに」
そんな言葉に、勇輝はフワフワと笑いながら自分のデニムのホックを外し、コテンと俺の腿に頭を乗せた。
あざといほどに甘え切ったその姿もひどく煽情的で、そしてやっぱり可愛くて...そっと勇輝の小さな頭に手を置く。
勇輝はその俺の手を取ると、更に甘えるように手のひらにスリスリと頬を寄せた。
「満足できるようにしたいから...ねぇ......」
「うん、何?」
擦り寄せてくる頬を数度撫で、そのまま軽く開いた唇を親指でなぞる。
途端にうっすらと覗かせていた可愛げはどこかに消え去り、その顔は色と欲だけを浮かべた。
ゆっくりと動く親指を追うように舌が伸びてきて、またさっきまでのようにそれをチロチロと舐める。
つい今しがた俺の亀頭を舐めていた姿や感覚と重なり、またズクンと腰に熱が籠る。
「さっきみたいに...意地悪に命令してよ」
「俺は意地悪も命令したつもりも無いんだけどなぁ...勇輝は意地悪されたいの?」
「うん」
「ひどくされたいの?」
「うん」
さっきオナニーして見せろとプレイルームで言った時の事を言ってるんだろう。
どうやら今の勇輝は、ガッツリMスイッチが入っているらしい。
ただし、俺達の間に本当の意味のサディズム・マゾヒズムはあり得ない。
俺は勇輝の体を傷つける事は一切望んでいないし、その自尊心を踏みにじる事は許されないからだ。
もっとも、セックスの激しさ自体で不本意ながらダメージ与えてしまう事は往々にしてあるけれど。
当然勇輝も体を傷つけられる事は好まないはずだし、屈辱的な言葉で気持ちを折られる事を悦ぶ癖があるわけじゃない。
ただ、常に対等なはずの俺達の間で、どちらかが望んだ時に絶対的な上下関係が生まれる事はある。
本当に稀な話ではあるのだけれど。
奉仕させたい、奉仕したい、命令したい、命令されたい......
どの時点からなのかはわからないけれど、今日の勇輝は俺にひたすら服従したいらしい。
そして勇輝がそれを望む時には、何故か俺の中にも『服従させたい』という欲が生まれるのだから...まったく相性というのは恐ろしいもんだ。
「ベッドルーム行くか? ここじゃ色々と汚しちゃうかもしんないだろ?」
「もうここでいい。汚さないよ...充彦の出す物は一滴だって溢さないから。移動する間も我慢できないし、それに...こんなすごい所で充彦の為に跪いてるってのが堪らない」
「んでも、勇輝も出ちゃうだろ? つか、出したいんだろ? このままシコシコしてたら床もソファーも、勇輝が飛ばしたもんでベトベトになんじゃないの?」
少しだけ足を動かし、勇輝の中心を親指でグイと押す。
ホックしか外していないせいでずいぶんときつくなってきてるのか、俺の足の指は強く押し返された。
「はぁっ...んっ......」
抵抗したいのかもっとされたいのか、キュッと慌てて閉じたひざに俺の足がきっちりと挟まれた。
熱い息を吐き出しながら、恥ずかしそうに俺の腿にグリグリと額を押し当てる。
挟まれて抜けなくなったのをいい事に、俺は更に力を込めてそこを足の指で擦り上げた。
「ほら、もうこんなんなってんじゃん。どうすんの? 我慢する? それとも移動する?」
「...我慢も移動も...しない......」
言うが早いか、勇輝は着ていたシャツを脱いだ。
同時にデニムのジッパーを下ろし下着の中から自分のモノを取り出すと、脱いだシャツをそこに被せる。
「これで飛ばない...でしょ?」
何がなんでもこの場から動きたく無いらしい。
頑固と言うか欲に正直と言うかわがままと言うか......
しかしそのわがままを言う相手は俺だけで、俺に対して欲情しているからこその頑固さだと思えば、それもまた健気で可愛いものだ。
「じゃあ自分の、絶対に飛ばすなよ? んで、俺のは一滴も溢さないで美味しく飲む事。これは勇輝への大切なご褒美なんだからな」
強い口調で、けれど目一杯優しく話しかけると、俺を見上げる勇輝の瞳がトロンと蕩けた。
勇輝の求める物だけを与えてやるつもりなのに、その瞳が俺の中の欲を更に煽ってくる。
俺にしか甘えるな、俺にしか傅くな、ただひたすらに俺だけを......
「ほら、今度こそ満足させてやる。お前が俺に奉仕しながら気持ちよくなる姿もしっかり見ててやるから...お前も俺だけを見てろ。俺がお前に感じてるとこだけ見てればいい...お前にしか感じられない俺を感じてればいい......」
もう1つクッションを背中側に挟んで体をしっかりと起こすと優しく頭を撫で、そしてその頭をグッと俺の股間へと押し付けた。
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