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戦士の休息は突然に【9】
いつもなら愛撫は勿論、挿入にだってたっぷり時間をかける。
二人で高め合い、ゆったりとお互いの熱を感じる時間が好きだから。
でも、今日の俺はダメだ。
ただひたすらこの体を貪り尽くしたいなんて思ってしまう。
俺の腕の中で震え、泣き、もっと縋り付けばいいのにと。
いつもより仕草や表情が幼くて、やたらと可愛く見えたせいだろうか。
勇輝が素直な感情をぶつけてくる相手は俺だけだと実感して、興奮しすぎているせいだろうか。
それとも...こんな乱暴で無茶な抱き方をしても、俺が俺である限り決して勇輝は怒らないと確信めいた思いがあるからだろうか。
入り口に宛がった頭だけをゆっくりと沈めると、あとは躊躇うことなく一気に根元まで奥まで突き入れる。
まだ俺のすべてを受け止めるだけの体の準備ができていなかったのか、『ヒュッ』と喉を鳴らして勇輝の体が仰け反った。
それでも構わず、大きな動きで抜き挿しを繰り返す。
俺のこんな自分勝手な行動にも関わらず、いつものように勇輝の中は優しくきつく俺のモノを包み込んだ。
それは無意識の動きなのだろうけれど、キュウキュウと絞り上げるように俺を絶妙に刺激し、更なる快感を与えてくれる。
「ああ...俺、ゴムも着けてないわ...ごめん...ちゃんと外出すから...」
そこに気がつく程度には理性が残っていた自分に、ほんの少しだけ安心した。
そんな俺の言葉に、シンクに胸を押し付け力を抜いていた勇輝がグイと上半身を起こす。
その表情はまだ快感に蕩けているのとはほど遠い。
けれど凛とした雰囲気を残していながら、ケツの深い所まで俺のチンコを飲み込んでいるというその姿は、却って倒錯した興奮を刺激した。
中に潜り込んだままの分身がビクリと反応するのがわかる。
「いいよ...中に出して。後から綺麗にしてくれるんでしょ...」
「いや、でも...」
「いいんだ...俺がして欲しいんだから。ただね、どうせなら...ちゃんと顔見ながら...して...」
後ろ手に俺の体を軽く突き離す。
ズルズルと勇輝の中から、俺のモノが抜け落ちた。
勇輝の体内の熱と溢れる俺の先走りで、ホイップされていたはずのクリームはタラタラと元の形状に戻って竿をゆっくりと伝ってくる。
くるりと体を俺の方に向けると、膝下にまとわりついたままのズボンから右足だけを抜き、勇輝はシンクに浅く腰をかけた。
ズボンと下着から解放された右足を大きく開き、その腰のすぐ隣に乗せる。
俺の目の前に晒け出すように開かれたケツの穴からは、もう一回や二回はそこに欲を吐き出されたみたいにトロトロと白い液体が滲み出していた。
勇輝は、俺に見せつけるように自分の指で更にそこを開く。
目眩がしそうだ...
誘われて惑わされて、上げられた右足を肩に担ぐと再びヒクヒクと蠢く入り口にチンコをグンと押し戻した。
「ヒッ...あぁっ...ん......」
中を一気に抉る勢いに、シンク端を握って体のバランスを取っていた勇輝の腕がカクンと折れる。
その体を支えるように強く抱き締めてやると落ち着いたのか、勇輝の手が俺の首に回された。
自分の衝動を抑えられない俺に必死で呼吸を合わせながら、口づけをねだってゆっくりと顔が近づいてくる。
「充彦ぉ...俺ね...俺...充彦が俺だけに見せてくれる...こういう荒々しい面も...嫌いじゃないよ...」
肌がぶつかるたびに、グジュグジュと堪らなく卑猥な音が大きくなってきた。
下から思いきり突き上げれば、勇輝の表情はどんどん淫らに、けれどどこか穏やかな物に変わっていく。
子猫が母親に甘えるように、勇輝は俺の唇をペロペロと舐めてきた。
「気にしなくていいよ...俺はどんな充彦でも...好き...相手を気遣う余裕も無いくらい...セックスしたくて堪んないなんて...そんな充彦見られるの...俺だけでしょ...? 最高に...幸せ...幸せすぎて...もうイきそう......」
言われてハッとした。
このままなら俺はきっとこの後、こんな自分勝手なセックスをした事を、自分の衝動に抗えなかった事を後悔するだろう。
勇輝は、それを悔やまなくていいと言ってくれてるのだ。
俺の為なのか、ただ正直な思いを口にしているだけなのかはわからない。
とにかく、他人の知らない顔を自分だけが見られる事が幸せだと。
それは...俺が勇輝への衝動を抑えられなくなった感情と同じ物だ...他者に対しての独占欲と優越感。
こんな情けなく、醜い面でも構わないなら、いくらでも見せてやろう。
「こんなにセックスしたいって思うのは...壊したくなるくらい抱きたくなるのは...勇輝だけだよ...」
中を攻め立てる律動を激しくしていく。
それこそ、腹を突き破ってしまうのではないかというほど。
「はぁっん...う...れしい...充彦になら...壊されても...いい...もっと...もっとして......」
勇輝も絶頂が近いのか、狂ったように自分でチンコを強く早く扱き始めた。
それを助けてやろうと、僅かに体の位置をずらし、前立腺を狙って押し潰すようにそこを強く突く。
いつもは強烈過ぎるその快感を嫌がる勇輝が、今日はそれを喜ぶように高い悲鳴を上げ、ちぎれそうな程に首を振る。
「充彦...充彦...イク...イッちゃう...見てて...充彦に気持ちよく...してもらって...イッちゃう...」
「見てるよ、全部見てる。イッていいよ...イッて...イけよ...イけ!」
「あっ...ああっ...あああーーーーっ!」
握りしめていた勇輝のチンコの先が真っ赤に腫れ上がり、ドクンと爆ぜた。
勢いよく飛び出した白濁は勇輝の胸元まで散り、そしてそれを凝視していた俺の頬や唇にもかかる。
「ゴメン...一人だけ先に。充彦の事汚しちゃったから...今度は充彦も...俺の事いっぱい汚して...」
射精後の気怠げに誘うその言葉と、不規則で、それでも確実に俺を搾り取ろうとする粘膜の締め付けに、抗う事もなく俺はすべてを中にぶちまけた。
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