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戦士の休息は突然に【10】
「体、辛くないか? ほんと、ごめんな」
風呂場にいわゆる『お姫様抱っこ』で勇輝を連れていき、すぐにその全身をシャワーで綺麗にしてやった。
勿論、ケツの中は特に念入りに。
俺が出したモンか、それとも元はホイップクリームだった物かもわからない白い液体がドロドロといつまでも出てきてちょっと焦る。
「もう...ごめんは無しだってば。エッチの最中に言った事、ほんとだから」
「ん?」
「時々ね...ほんとにすっごい稀になんだけどさ、意地悪になったり乱暴になったりすんじゃん。現場とかでは、充彦って最高に甘くて優しい『女の子の為のセックスする』って有名で、荒っぽい撮影には呼べないし呼びたくないって言われたじゃない。実際俺も見て感じて知ってるし。でもそんな充彦がね、俺にだけは自分本意で強引なエッチする事があるっていう事自体がちょっと嬉しいんだよね...だって、それだけ俺が抱きたくて抱きたくて仕方ないって事でしょ? 俺への欲が抑えられないって事だよね?」
「......まあ...その通り...です」
「充彦にさ、そこまで求めてもらえる俺って、最高に幸せだなぁって思うわけですよ。んで今日は...まあ、多少『あと10秒待ってくんない?』なんて思いが無かったとは言わないけど、やっぱり最高に幸せだったわけですよ」
「あ、ああ...うん...でもやっぱり...ごめん」
「俺が幸せだっつってんのに、ごめんて変でしょ? だからごめんは無し」
ニコリと笑うと、勇輝はボディソープをしっかりと泡立て、俺の諸悪の根源・欲望の塊を丁寧に丁寧に洗い始めた。
「確かに俺もさ、勇輝が俺にしか見せないだろうなって顔見られたら、すげえ幸せになるかな」
俺はマットに直に座り、両脚を投げ出した。
勇輝はその間にチョコンとしゃがみ込み、相変わらず俺のチンコに泡を塗りたくっている。
「俺が充彦にしか見せない顔?」
「それこそどこの現場行ったってさ、勇輝は器用で勘が良くて腰が低くて穏やかだって言われてる。体も顔も性格もセックスも完璧だって。そんな勇輝がさ、小さな事に拘ってムキになったり、拗ねて唇尖らせたりわがまま言って駄々こねたり、俺に全身で甘えて子供みたいに目をキラキラさせたり。こんなに感情を露にする勇輝なんて誰も知らないじゃない。それを隣で見てられる俺ってすごい幸せだって...ほんと思う」
「だって...充彦以外にわがまま言いたい相手なんていないもん。充彦なら、俺のわがままを喜んで全身で受け止めてくれるって思ってるし」
「俺も、こんなに可愛くて可愛くて、いつでも何度でも抱きたくなる相手なんて勇輝以外にいないよ。勇輝なら俺の隠された裏の顔も全身で受け止めてくれるだろ?」
「プププッ、裏の顔は鬼畜だもんね~」
「鬼畜じゃないし。ソフトなサディストくらいにしてくれよ。サディストには、パートナーに対しての海より深い愛情と尊敬があるんだぞ」
「んじゃ、それを全身で受け止められる俺はソフトなマゾヒスト? う~ん...ま、そうかもね」
油断している隙に、俺の股間はまるでソフトクリームを乗っけたみたいな事になっていた。
面白がった勇輝はいつの間にか洗顔用のネットを手にしていて、恐ろしくキメの細かい美しい泡が俺のチンコを綺麗に覆っている。
「充彦センセ、角がピンて立つくらいに見事なメレンゲができました~」
「それ、シャワーで流してみ? メレンゲの下もすっかり角がピンて立ってるから」
面白そうに勇輝が泡ごとそこをムギュと掴んできた。
「ほんとだ~。センセ、こっちの角はどうしましょ?」
「勇輝の中が生焼けじゃないか、試すのに使おうか?」
クスリと笑えば、同じように笑顔を浮かべた勇輝が俺の腿に跨がってくる。
「俺すごい熱くなってるから、たぶん生焼けじゃないと思うよ」
さっき俺が丁寧に洗ってやった場所を、チンコの先に擦り付けてきた。
俺は勇輝の太股の裏に手を回してその体を支えながら、急いでシャワーで流した赤黒いソフトクリームをパクパク収縮する場所へとゆっくり埋めていく。
「じゃあ、すっかりできあがってる勇輝に...俺の生クリームでデコレーションしてやるよ」
「俺の生クリームとか...なんかオッサンぽ~い。エロ親父って感じがする...」
「エロ親父で結構。俺ってもうすっかりそんな年だも~ん」
お互いに見つめ合い、ゆっくりと呼吸を整える。
今度はいつもの俺達らしい、ゆったりとしながら相手を思い合う、衝動ではない長いセックスの始まりだった。
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風呂から出てきてみれば、よほどメレンゲの立て方が良かったのか、それとも油と粉のバランスがピタリと合っていたのか、シフォンケーキは想像していたほども萎んでいなかった。
...ま、シンク周りの汚れっぷりの方は、想像をはるかに上回っていたけれど。
色んな意味での『後片付け』は全部俺がやるからと、勇輝を一旦寝室へと追いやる。
ちゃんと体を休めておいてもらわなければ、今日の晩飯のメニューが変わってしまいかねない。
シンク周辺に飛び散った白い物を丁寧に拭き取り、使い終わった道具を綺麗に洗って乾燥機にかけると、放置されていたシフォンケーキを念のためビニール袋に入れる。
それからマンゴーピューレを取り出すと、勇輝が出来なかったレアチーズケーキの仕上げの為、鍋を火にかけた。
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社長の言いつけ通り、俺達はスーパー以外の外出は一切控え、3日間ひたすら愛情を育む行為に没頭した。
それはもう本当に、久々のセックス三昧。
一度だけ俺が受け身にもなった事で、勇輝はますますご満悦だった。
それで肝心の『休暇』がちゃんと休暇になっていたのかと言われると、これは正直微妙なところだ。
体の疲れは、きっと普通に撮影に出ている時よりも溜まっている。
けれど俺達のラブラブ度は確実にあがっているはずだ。
根拠は無いけど自信はある。
そしてそんな俺達を写す写真集の撮影もきっと上手くいく。
やっぱり根拠なんて何も無いけど、確固たる自信はあった。
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