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クイーン・ビー・エクスプレス 第3回
「こんにちは~! 『クイーン・ビー・エクスプレス』、本日も始まりました。どうも、みっちゃんで~す」
「こんにちは、勇輝で~す」
「航生です」
「前回の放送でね、もうすぐ発売になる俺達のDVDのパッケージをお見せしようという話をしておりましたが...」
「なんか、ものすごい数の予約をいただいてるそうで、本当にありがとうございます。あ、今日は予約特典について大切なお話がありますので、ちゃんと最後までじっくり見ててくださいね~」
「でね、その正式なパッケージがとうとう出来上がりまして...」
「はい、こちらで~す。予約用の仮パケの写真とはえらい違いだよな」
「これ、結構良くないですか? 僕、この写真相当気に入ってるんですよ。ほれほれ、特別サービスでアップにしちゃう」
「俺もすごい好き~。エロってほどもイヤらしくないんだけど、ちゃんとそれぞれの色気が出せてる感じするよな。...って、航生、どした?」
「あ、はあ...いや、ちょっと...こうして二人と並んじゃうと、俺やっぱりまだまだ色気が足りないんだって見せつけられちゃって。この出来上がり見てから激しく落ち込み中なんです...」
「まあ、まだ航生は若いし。これからだもん。でもさ、俺は三人の個性がよく出てるいい写真だと思うけどなぁ」
「エロの権化みたいな勇輝と、エセ爽やかエロスの俺と、青くてちょっと尖ってる雰囲気の残るウブウブ航生な」
「誰がエロの権化だ!」
「勇輝さん以外に誰がいるんですか?」
「権化とか言うなって! せめて『セックスシンボル』くらいにしてよぉ」
「ん? それは『歩く生殖器』って意味?」
「ちがーう!」
「はいはいはい、二人でじゃれてるのもいいですけど、今日は結構内容が盛り沢山なんですから、さっさと次いきますよ」
「航生にまでバカにされてる...」
「はいは~い、イジラレ役の勇輝はほっといて先にいきましょう。じゃあ最初は...えっとぉ...メール? メールから? あ、スタッフさんから今、連絡事項と近況報告は最後にって指示があったんで、先にちょっとメールいきますか。勇輝?」
「は~い。えっとぉ、この動画を見てくださってる方は女性が圧倒的に多くて、当然メールも普段は女性からの物が多いんですね。で、今回珍しく男性からメールをいただいたんですが、ちょっとこの内容が...ね?」
「うん。真剣なのか冷やかし半分なのかはわからないんだけど、どちらにしてもちょっと笑って看過できる内容でも無かったし、真剣なら真剣でかなり間違った認識を持たれてるみたいなんで、スタッフさんにお願いして今日はこのメールについてのお話をしようかなぁと思ってます」
「という事で、ちょっと読みますね。ハンドルネーム『エロスの王様』さんからです。『こんにちは。勇輝くんのビデオ、以前からちょくちょくお世話になってました。いきなり女性向けメーカーの専属になって残念だったのですが、この間の『勇輝先生』のは面白かったです』」
「いつもありがとうございま~す。ま、勇輝のファンのようなので、俺から一応お礼言っときます」
「んじゃ勿論、僕からも言わなきゃね、いつもありがとうございます。じゃあ、続きいきますね。『いきなりなんですが、僕はAV男優になりたいと思っています。性欲もメチャメチャ強いし、わりと見た目がいいので女の子にも結構モテるし、何よりテクには自信があるんです。今までエッチしてきた女の子はみんな満足させてきました。男優に向いてるんじゃないかと友達にも言われます。できたら勇輝くんと3Pとかしてみたいんですが、どうやったら男優になれますか? また、収入ってどんな感じですか?』という内容なんですが...」
「ね? これは釣りか? マジで言ってるのか?」
「ちょっと判断が難しいところなんだよね...あと、年齢書いてくれてないんだけど、内容限りかなり若そうな気がするんだなぁ」
「いや、いくら若いって言っても、一応俺らが出てるビデオってR18ですし...ついでに言うと、この内容が男優の条件にピッタリだって言うなら、明らかに俺男優には向いてないですよ。モテないし、性欲は強くないしテクも全然だし」
「まあある意味、航生はまだ修行中だからね、いいのいいの。しかし、友達から『男優が向いてる』とか言われてる段階で、ただのヤリチンだってからかわれてるだけだと思うんだけど。ここからは、一応彼が18才は超えていて、尚且この内容が本気であるという前提で話すね。実際ここまであからさまじゃなくても、『女とヤって金儲けできるとか、天国みたいな仕事だ』とか思われてたりもするし、ちょっとその辺の誤解も解いておきたいから」
「えっと...いわゆる『正規ルート』でこの仕事に入ったのって、俺だけだよな?」
「そうだね。僕は昔の知り合いのスカウトだし。航生は? こっちの、いわゆる普通のAVには僕らが強引に引き摺りこんだけど、ゲイビの世界にはなんで入ったの?」
「ああ、俺もスカウトです。ずっと真面目に働いてた仕事辞めざるを得なくなって次の仕事探してた時に、『カメラの前でオナニーできたら5万やる』って言われたのがきっかけです。なんか真面目に働いてるのが馬鹿馬鹿しく思えてた時で、半分やけっぱちでした」
「んで、地獄のような3年間を過ごしたわけね」
「ええ、まあ...いや、でもプロとしての心構えが足りなかったって今なら思えますよ。もっと自分なりに努力してれば、あんなに辛いとは思わなかったかもしれないし」
「そう思えるようになっただけでも成長したんじゃない? さて、正規ルート通過のみっちゃんしか正しいアドバイスはあげられないと思うんだけど、どうよ?」
「ねえ? どう話すのが正しいかなぁって俺なりに考えてるんだけどさ、まずは一つ大事な部分を彼が間違ってるみたいなんで、そこを訂正しときたいかな」
「まあ色々間違ってるけどね。みっちゃんが特に気になったのってどこ?」
「性欲がメチャメチャ強いから男優に向いてるって事はなくない? 大切なのは、性欲じゃなくて精力だと思うんだけど」
「あ、確かに。ここの違いって大きいんだけど...この子はたぶんわかってないよね」
「俺らの仕事ってのは、セックスは別に『したい』と思わなくていいわけよ。単に『しなきゃいけない』ってだけだから。逆に『したくない』時でも仕事となったらいつでも勃起できる状態にもっていかないといけないんだし。むしろ『したい』って欲は邪魔なくらいかも」
「航生は? 性欲はあんまりでも、回数とかはこなせるんじゃない?」
「そうですね、俺で褒められるとこはそこだけかも。回復力だけはあるんで、一日に連続で撮影があっても、そのたびにちゃんと勃起できます。ゲイビの時は俺は最後まで射精できない事が多かったんですけど、まあそれはできなくても構わない役だったから」
「犯され役だもんね~」
「...それはそうですけどぉ。でもまあ、毎回オナニーシーンは入ってたんで。ヤられた後でどんなにヘトヘトのシナシナでも必ず射精まではもっていけてましたね。こないだアリさんとの絡みの時には...」
「ああ、あれは頑張ったね。手コキ含めて7回出したっけ?」
「ですね。最後の方は、さすがにガチガチってわけにはいかなかったですけど。でも、アリさんと勇輝さんのおかげでなんとかちゃんとできました。本当にありがとうございました」
「...このメールの男の子に一番欠けてるの、航生のこういう所だと思うし、これが男優になる上ではすごく大切な部分なんだよなぁ」
「...すっごいわかる。じゃあこれからAV男優になるための手順も含め、みっちゃんに色々と説明してもらおうか」
「了解いたしました。うまく伝えられるかわかんないけど、本日はみっちゃんこと充彦先生の、AV男優講座を開催してみたいと思いま~す」
「...あ...ま~た眼鏡かけてる......」
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