126 / 420
SHAKE IT!【6】
「あれ? そういえば勇輝くん、ちょっと痩せた?」
馨さんの指示で窓際と部屋中央のソファに向けてパラソルをセッティングしていた中村さんが手を止めた。
「あ、うん...最近ちょっと忙しかったのと、ルルちゃんからの希望ってのが届いた事もあって、筋トレ控えめにしてた」
「へぇ、筋トレ抑えたら、たるむんじゃなくて細くなっちゃうんだ?」
「俺、新陳代謝が良すぎるのか、元々ほっとくと勝手に痩せちゃうタイプなんだよ。だから普段はしっかり飯食って、目一杯トレーニングして一応体型作ってんの。トレーニング控えちゃうと飯もあんまり食えなくなるから、結果こうやってすぐ痩せちゃうんだよね...。もしかして、痩せすぎた? 貧相?」
「いやいや、前の見事なマッチョっぷりもすごい良かったんだけど、今は細マッチョってやつ? ちゃんと男の体なのに、顔に似合った少年みたいな雰囲気もあって、それはそれですごくいいよ」
岸本さんの所の派手なボクサーパンツ姿で、勇輝は部屋の片隅の姿見に全身を映し、自分の胸や二の腕をペタペタと触っている。
「逆にみっちゃんは、ちょっと逞しくなったね」
「ああ...聞いてない? 俺この間かなりひどい気管支炎かかっちゃってさ、一気にげっそり痩せちゃったんだよ。決まってたDVDの撮影も延期することになったくらいなの、あんまり痩せ過ぎて。で、体型戻すのに食事管理とちょいハードめにトレーニングしたら...俺にしては珍しく結構筋肉付いたんだよね。何、変?」
「いや、今回の写真集のコンセプト考えたらさ、前よりも今の方がバランス取れてるんだろうなぁと思って」
「そう?」
「うん。服着てる時はそんなに感じないけど、やっぱりこうやって脱いだら思うよ。前に撮った時より勇輝くんは色っぽく見えるし、みっちゃんは今まで以上に男らしく凛々しく見える。度会先生、まさかそんなバランスまで考えたのかな...」
「えぇーっ? さすがにそれは無理だろ。だって、俺の体型の変化は気管支炎で寝込んだのがきっかけなんだし」
「度会先生だったらさ、この体型になるレベルのトレーニングさせる為に、みっちゃんに『病気になれ!』みたいな呪いぐらいならかけそうじゃない?」
「ちょ、やめてやめて、それってあり得るから」
二人してウヒャウヒャ笑ってたら、いきなりパコーンと軽やかな音と共に頭が思いっきり叩かれた。
「人がいない間に、よくもまあ魔女呼ばわりしてくれたわね」
「うわ、やべっ...」
「やべっじゃない! はい、二人ともぼちぼち顔作りなさいよ。勇輝、窓辺に立って...そう、その辺。みっちゃんは後ろから勇輝をガラスに押し付けて」
パンツを脱ぎ、二人で窓際に立つ。
俺は体全体で勇輝をガラスへと押し付けた。
「冷た...」
「我慢しろよ。その冷たいのが、また気持ちよくなってくるんだから」
からかうように言いながら、ガラスについた勇輝の手に、俺の手を合わせる。
「あ、そのちょっと笑いを我慢してるような顔いいわね...はい、そのまま! いいわよ...勇輝はみっちゃんに甘えるみたいに少し顔上げて。お互い、指絡めて...はい、そう!」
俺のケツの方から、ぐるりとシャッターの音が近づいてきた。
「ほら、勇輝! もっとみっちゃんに甘えて! いやらしくみっちゃんに甘えて誘うのよ! みっちゃん、表情作りやすいように、勇輝の首たっぷり舐めて感じさせてやって」
「馨さん、いいの? 俺、本気で感じさせるよ?」
「いいわよ~。なんならミルク飛ばしてくれてもオッケー。むしろそれくらいしてくれた方がいいわ」
シャッターの音、息を飲む岸本さんや中村さんの気配を全身に感じながら、俺は勇輝のうなじをねっとりと舐め上げる。
背後から前に回した手で、ガラスに押し潰されているチンポを優しく扱いた。
ピクリと勇輝の体が強張る。
「ちょっ、充彦...やり過ぎだって...うんっ...あぁ...」
「おいおい、なんかいつもより敏感じゃない。みんなが俺ら二人を見てるから? みんなってより、馨さんの視線が気になってんの? 何、もうイキそう? 口では嫌がってるふりして、俺が手動かしやすいようにガラスから腰浮かしてんじゃん」
「んっ...マジでイッちゃうから...ちょっと遠慮して...」
「勇輝イキそうだってさ。どうする?」
空いた手を勇輝の口許にもっていき、俺の指をしゃぶらせながらチラリと馨さんの様子を窺う。
「ああ、相変わらず役になりきってない時の勇輝はほんとに快感に弱いのね...ドロドロに蕩けたイヤらしい顔。ああ、可愛い...いいわよ、このままイカせてあげて。久しぶりに攻められて喘いで泣かされる勇輝が見られるってだけで、あたしがイキそう...」
...ん?
またしても馨さんの言葉に違和感を感じる。
さっきからどうも馨さんの発言が一々引っ掛かって仕方ない。
「充彦...」
懸命に俺の指に舌を這わせながら、勇輝が必死に首を捩ってくる。
どうやら今は余計な事を考えている暇は無さそうだ。
余裕なく俺に口づけを求める勇輝は、馨さんが言う通り、もう呆けた顔でグズグズになっている。
ああ、可愛い...俺に攻められて喘いで蕩ける勇輝は、本当に可愛い。
......って、あれ?
今俺の思った事、どっかで聞いたような...
「充彦...充彦...」
名前を繰り返し呼ばれ、俺のチンポも反応を始める。
あ、なんも考えたくないや...勇輝の事以外。
口の中から指を引き抜き、そのまま顎を固定する。
上唇をゆっくりと舌でなぞり軽くそれを噛めば、わずかに仰け反りながら勇輝は俺の胸に背中を預けてきた。
吐息も声もすべて飲み込むようにしっかりと唇を合わせ、チンポを扱く速度を上げていく。
ニチニチと湿った音が大きくなる。
すがり付くように俺の腕を掴みながら、勇輝は自ら腰を揺らした。
ファインダーを覗いている馨さんの喉が大きく動いたように見える。
ヤバい...勇輝の痴態と馨さんへの優越感に、俺の興奮も一気に高まってきた。
膝で少しだけ勇輝の脚を割り、その間に俺のチンポをそっと挟み込む。
そしてそのまま、勇輝の中を抉り突き上げる時のように大きく腰を動かした。
ローションも何も無くて潤いは足りないけれど、それでもスベスベの勇輝の腿に挟まれたチンポは一気に硬さと熱さが増していく。
それに気づいたのか。
勇輝はキュウと内股に力を入れてきた。
「気持ちいい? 充彦も...気持ちいい?」
繰り返す口づけの合間に、譫言のように何度も尋ねてくる。
「すげえいいよ...イキそ...一緒にイこうか?」
そう囁くと、勇輝の腰の動きが大きくなった。
自分の快感と、俺の快感の為に。
先端から溢れてくる先走りをしっかりと竿全体に馴染ませ、大きく張り出したカリを指で強めに擽る。
俺が腰を動かせば勇輝のタマを掠めるからか、チンポと同じくらい内腿もプルプルと震えだした。
「ほら、イッちゃえよ...馨さんに、お前のイヤらしくて綺麗な顔、ちゃんと撮ってもらえ...」
追い立てるように手の速度を上げる。
「あっ...あっ...イッちゃう...イッちゃう...ほんとに......」
腕の中の体が大きく強く跳ねる。
ピクリピクリと震える体を宥めるように、後ろからしっかりと抱き締めた。
目の前の大きなガラスと勇輝の足の間には...白く粘り気の強い飛沫がベッタリと付き、そしてトロトロと下に流れ落ちていった。
ともだちにシェアしよう!