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温めよう【4】

「お前ってさ...なんかほんと、上手いよな。初めてソープごっこした時から、俺が教えてやる事なんか何も無かったもん」 「ん? そう? 充彦にそう言ってもらえるなら、俺もなかなか捨てたもんじゃないね。風俗でもやっていけそう?」 ゆらりと立ち上がり始めた場所は指先で擽るように微かに触れるだけにして、手のひらでタマと、そのほんの少し後ろを丁寧に揉む。 裏側をちょっと強めにグイグイと押し、タマ自体はフワフワと転がせば、扱いてるわけでもないのに中心が一気にグンと上を向いた。 「お前が泡姫だったら即ナンバーワンだろ...まあ俺は泡姫仕込んだ事は無いけど。それでもここまでのテクニック持ってる女の子なんかいなかったよ」 「ま、俺もおんなじモン持ってるからねぇ。その辺は女の子じゃ真似はできないかな」 「勇輝ってさ、風俗とか行った事は無かったんだろ? こんなの誰に教わったんだ? 結構本格的なソープ独特のテクニックも知ってるよな?」 「ご所望なら潜望鏡でもしましょうか?」 「いらないわ、んなもん」 「......あのね、俺がユグドラシルにいた頃の常連さんの中に、吉原ソープのナンバーワンて呼ばれてた女の子がいたんだ。一回で10万じゃきかないってくらいだから、その子って本物でしょ?」 「一晩じゃなくて、一回で10万以上か...なるほど、確かにそれは間違いなくトップクラスだ」 「彼女にね、逆ソープごっこするのに色々教えてもらったんだ。しまいにはスカウトされたけど、『男でもうちでやれる!』なんて」 尾てい骨の辺りを俺のチンポでコツコツとノックし、右手は相変わらずタマを揉む。 背中に滑らせるうちに立ってきた乳首の感触がくすぐったいのか、充彦は背中を丸めて脚をギュッと閉じた。 動きを封じられる形になった右手は一旦放置し、今度は左手で充彦の乳首をカリカリと掻きながら、更に丸まった背中に体を預けるようにピタリと胸を押し当てる。 「俺に色々教えて、色々試したがってたその女の子ね、最初はイメクラで抜くだけのアルバイトがスタートだったんだって。キス無し、クンニ無し、指入れ無し...って言われて入店したのに、客はその約束平気で破ってたってさ。乱暴に指突っ込まれて、伸びてた爪で中を傷つけられるなんてのもしょっちゅうだったらしいよ。それを店に話しても、『それを上手くかわすのもプロだろうが!』って全然取り合ってくれなかったんだって」 「そんな店、ほんと多いからな。というか、たぶんほとんどがそんな店だろ。客と女の子のトラブルは知らんぷりして、金払う段階で揉めた時だけは怖い人が出てくるってな」 「そうらしいね。そこから何回か店を変えたけど、どこも似たり寄ったりだったみたい。それで結局、『こんな事なら、何もかも有り有りな代わりにすべての主導権が女性にあるソープの方がマシなんじゃないか?』って考えて、吉原に行ったんだって」 「正解かもしれないな。吉原の大型店とか高級店なら店の対応も女の子への教育もしっかりしてるはずだし。何より客の質が高い。本番しても構わないって腹括って割り切れるなら、そっちのが稼げるしはるかに安全だ」 「だけどさ、充彦や社長のやってた店は...本番無いのに女の子にはバッチリ稼がしてあげてたんでしょ?」 「......たぶんな。そりゃあソープに比べれば元々の客単価が安いんだから、それだけ数はこなしてもらわないといけなかった...って、こら。いい加減乳首やめろ」 充彦の制止なんてどこ吹く風。 俺はクスクスと笑い吐息を首筋に吹き掛けながら、そのプックリと育ってきた赤い粒をピンッと弾いた。 石鹸でヌメる指でまたその粒を優しく撫で、グリと押し潰し、軽く爪を立てるようにしてギュッと引っ張る。 「ほらぁ、全部気持ちよくしたげるから...脚開いて?」 背中を伸ばして後ろから耳の中に直接囁きかける。 諦めたのか、それとも更なる刺激を求めたのか、充彦は大人しく閉じていた脚の力を弛めた。 ようやく自由になった手で、今更ながらその大きさを確認するように立ち上がった所をゆっくりとなぞっていく。 本格的に触る前に一度体を離して前に回ると、自分の手を洗ってから充彦のペニスにお湯をかけて綺麗に石鹸を流した。 ソープが付いてる方がヌメりは強い。 乾いたままでの愛撫は力の加減が難しく、時には痛みが伴う場合もある事を考えれば、ついソープはそのままに扱きたくなるものだ。 ところが男の雁首ってのは、普段は皮に覆われて大切に大切に守られてるデリケートな部分。 極端に言えばケツの中の粘膜と大差ないわけで、時には石鹸の成分で柔らかくて薄い皮膚が炎症を起こしかねないのだ。 少なくとも必要以上に油分を落としてしまい、普段よりもボディケアに気を付けないと後からカサカサになってしまうのは間違いない。 だから充彦のモノに直接たっぷりと触るのであれば、この石鹸を先に丁寧に洗い流すのは必須だった。 まあ、充彦のコレがそこまでデリケートなシロモノだとは思ってないけど。 ソープランドのような一日中石鹸に浸かりっぱなしのような所だと、そんな石鹸のせいでアレルギーまで起こす事があるって言うんだから、用心するに越した事はない。 洗い流してしまったヌメりの代わりには別のヌメりがある...すぐに自分で吐き出す事になる。 俺は綺麗になったペニスを改めてそっとなぞり、もうすっかり露になった亀頭の先端を手のひらで包んだ。 「彼女ね、言ってたよ...『風俗の仕事に対して自分なりの誇りは持ってるけど、でもやっぱり本当は本番はしたくなかった』って。本番しなくても働ける店があるなら、そこで頑張りたかったんだって。そう考えたらさ、社長の経営方針も全力で女の子達を守ろうとしてた充彦も、本当に立派だったと思うんだ」 「あんな仕事に...どれだけ女の子を守ってるフリしてたって、結局はその稼ぎの上前跳ねてるだけのあんな仕事に...立派もなんも無いっての」 「そこだよ、匠さんが言ってたの。匠さんの言う『優しいクズ』っていうのは、たぶん充彦のそんな所だ」 痛みにそこが竦み上がる事は無い程度の、それでも身動きはできない程には力を込め...... 俺は充彦のペニスをギュウと握ると真っ直ぐにその瞳を見つめ、ニィッと笑って見せた。

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