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温めよう【7】

袋の間の継ぎ目を自分のカリでゴリゴリと擦り、時折先端をその奥まで滑らせる。 ローションを使ってる時ほどの滑らかさは無いけれど、充彦の唾液と俺自身が出した物が混じり合い、そこは動かすのに不都合を感じない程度には湿っていた。 ......はぁ、やばい。 俺が主導的にこんな事してるってだけで興奮してるのに、亀頭が充彦のタマで擦れる感触が堪らない。 ......ほら、充彦...早く考えて。 ......早く気付いて...そして『いつまでふざけてんの?』って俺の手を押さえて...不敵に笑って見せて。 「充彦も社長も、会社の役員としてスタッフの教育に尽力し、金銭的にも精神的にも最大限の配慮を見せてた...風俗業界での評判はこんな感じでしょ。職種はともかくとして、こんな優良な会社ってなかなか無いよねぇ」 「だからその『職種』が違えばだろ...そりゃあ最高だろうな」 「まだ言ってるよ...そういうとこ、実は俺も前からちょっと気にはなってたんだ。あのさぁ、自分が言ったんだよね...世の中には『必要』な仕事だって。そうだよ、人から求められてる仕事だよ。けど、それだけ人から求められる仕事だってのに色々とリスクが高いし、世間的にはまるで底辺みたいな扱いを受ける。でもだからこそ、それに見合っただけの報酬を得られなきゃおかしい...だよね? それを会社のスタッフとして...つまり充彦はその道の『プロ』として全力で支えてた。あ、違うか...男としては支えようとしたけど、充彦自身はプロなんかじゃなかったんだ...違うかな?」 俺の言葉に、充彦がギロリと目を見開いた。 一瞬その空気と表情の変化に怒らせてしまったかと背筋がヒヤッとするけど、どうやらそうではなかったらしい。 充彦の胸の奥に、何か思い当たるところがあったのかもしれない。 その証拠にその表情とは裏腹の雄弁な手のひらは、優しく俺の太股を撫でていた。 胸の中の動揺を悟られないように精一杯の余裕を笑顔に乗せて、俺は淡々と作業を続ける。 竿を擦る動きを止めなかった左手は、俺のと同じかそれ以上に充彦が溢した雫でグショグショだ。 もうそろそろ頃合いかと血管が浮かび上がるほど隆々と立ち上がった竿に俺の亀頭をクニクニと押し付ける。 「風俗の仕事をする時に、仕事の手順を自分の体を使って教えてやるなんてのは別に珍しい話じゃない。わりとよく聞く事だよね。だってさ、何にも知らないただの素人相手に高い金なんて払いたくないじゃない。代金を受け取る以上、女の子にはプロとしての最低限の技能と知識は必要だと思う。だからプロとしての心構えとかテクニックを店の人間から教わるのは、むしろ義務だって言っていいくらいじゃないかな? 俺だってユグドラシルに入った時は...一応色々教えられたんだよ? 当然慎吾が入店した時には、俺が手取り足取り全部教えた。そこに金銭が動く以上は...俺達はプロだからね」 充彦の吐き出したヌメリと俺自身が吐き出したヌメリを混ぜ合わせるように、左手で2つの亀頭をキュウと握り込む。 「客の一方的な要望に応え続ける女の子のストレスまで発散させてやる...金銭的に他の店よりも恵まれてたのに福利厚生までバッチリなんて、社長んとこの店で働けてた女の子達はほんとにラッキーだよ。丁寧な技術指導でお客さんに悦ばれる最高のテクニックを身に付けて、おまけにその店のスタッフがちゃんと女の子達を癒してあげるんだもん。でさ、たぶん彼女達もちゃんとプロだったんだよ...店の為にお客さんの為に、どんな病気持ってるかわかんないような行きずりの男とのセックスよりも、身元のしっかりした充彦との恋人ごっこで癒される事を選んだんだから。店のスタッフとの安全なセックスで、一瞬だけでもリフレッシュしようとしてたんだよね?」 充彦の体がピクンと強張る。 ポカンと口を開けたままの情けない顔を隠そうとでもしたのか大きな手が顔の半分を覆い、一瞬恐ろしいくらいに力を見せたはずの目が今はパチパチと細かい瞬きを繰り返す。 「誰よりも信頼できるスタッフであり教育係だった充彦が自分の欲の捌け口になってくれる...女の子達だって、ただ純粋にそう考えてたんだと思うんだ...最初はね」 充彦の長大なモノに、そっと俺のを重ねた。 人間の器官としては同じ部位のはずなのに、こうして重ねてみると色も形も大きさもまるで違うのがちょっとおかしい。 ......ああ、ほんと充彦のって俺の理想だわ... 真っ直ぐでカリはあまり大きくなくて、怖いほどに長い。 この形にこの長さでなければ、俺が我を失う程セックスにのめり込む事なんて無かった。 あんなに気持ちのいいセックスなんて...死ぬまで知る事は無かった。 そしてすべてを受け入れた俺の姿に涙を浮かべるほど喜んでくれる充彦だったからこそ、もっともっと欲しいと思った。 受け入れて受け止めて、全部を包み込んであげたいって。 ......俺は充彦の前でだけプロじゃなくなれるんだよ...わかって、わかって...充彦、わかって... 2つを合わせて左手一つで握り込もうとしたものの、生憎片手ではどうにも心許ない。 仕方なく右手も添えようとしたところで...不意にその手が払われた。 俺の手を払った手は、そのまま2本を重ねた左手の上に乗せられる。 「充彦...?」 その顔にはまだいつもの自信は甦っていない。 けど、俺を見つめる瞳には微かに甘さが含まれていた。 「もうちょっとなんだよ...なんか色々もうちょっとなんだ...俺が勘違いしてる事、匠のほんとの気持ち...もう少しで繋がるから...お前は話続けて。お前の声と言葉で聞かせて。こっちはちゃんと俺が手伝う」 俺よりずいぶんと長い指が、俺の手の上から二人分のぺニスをしっかりと重ねて握った。 俺とは違う力のかかり方に、そして...主導権がゆっくりと移動していく感覚に背中がゾクゾクする。 これを待っていたんだと全身が悦んでる。 けれどまだだ...あと少しだけ充彦には言葉が必要。 一人で勝手に高まってしまわないよう呼吸を整えながら、俺は充彦の手の中のぺニスをユルユルと動かし始めた。

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