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温めよう【14】

充彦の腕は俺を抱き締めているのか、それとも柔く固定しているのか。 つい逃げをうちそうになる体を優しく撫でながらフワリと押さえ込む。 それに合わせるように半身の力を抜けば、あの凶悪なモノはジワジワと俺の内側を侵食し始めた。 それはゆっくりと、けれど確実に進んでくる。 僅かでも俺の体が強張ればその動きはピタリと止まった。 落ち着いて力が抜ければまたじわりと中へと潜ろうと試みる。 いつもよりも緩やかな動き。 いつもよりもどかしい動き。 けれど、今日の昂りすぎて体と心のバランスがうまく取れない俺は、おそらくこれくらいゆっくりとコトを進めなければいけないんだろう。 今の充彦が意地悪で俺を焦らしているとは思わない。 ただひたすらに俺の事を思っての動きのはずだ。 気持ちの興奮に体の興奮が追い付くのを待ってくれている...だって充彦は、俺自身より俺の事を良くわかってるんだから。 その胸に額を擦りつけ、今は僅かにも感じられない充彦の匂いをそれでも胸いっぱいに吸い込む。 「ん? どっか痛かったか?」 「ううん...痛くない、大丈夫。たださ、こうやってお風呂でしちゃうと、俺の大好きな充彦の匂いが薄くなるのがちょっと残念だなぁって、一生懸命匂い嗅いでた」 「匂いって...お前は犬か」 また充彦がゆっくりと動きだす。 ずいぶんと気持ちが落ち着いてきたのか、それとも身体中が充彦を欲しがり始めたのか、侵入してくる塊を拒絶する力は入らなかった。 それどころか、粘膜のすべてがそれを歓迎しているかのようにウネウネと蠢動を始める。 「は...ぁ...あぁ...ん......」 こうなってくると、いつも以上に自分の体のコントロールは難しい。 勿論動く事はできる。 手足は自由に動かせるのだけれど、自分の意思で自由には動かせない場所が...俺と充彦とを繋いでいる場所が、快感をただ貪欲に求めるようになってしまう。 これも充彦に教えられた事だなぁ...なんて息を荒くしながらもぼんやりと考え、そしてまたスンスンと鼻をひくつかせた。 「俺の匂いだったらさ...明日の朝には、お前の全身からプンプンしてるって。なんなら抜かずの生姦3発で、ケツからザーメン溢れさせてやろうか? 最高に濃い匂いが染み付きそうだろ?」 冗談のはずのそんな言葉にも、キュンと外と中が同時に締まる。 思わず俺は充彦の腕の中で身悶えた。 「全身から充彦の匂いがするとか...んぁっ...そんなの...む、無理...明日、俺...はぁ...一日中、充彦欲しくて...発情しまくり...に...なっちゃう...んっ...からぁ......」 「だからぁ...今日のお前、可愛すぎだっての。マジでハメ殺すぞ」 このタイミングをギリギリまで待ってくれてたんだろうか。 それとも、充彦自身も興奮で限界だったのか。 抱き締める腕に力が入ったと気付いた瞬間、俺の体は強く押し下げられ、同時に充彦は腰をグイと突き上げた。 それまで半端な場所をユルユルと擦っていたモノが、一気にドンッと最奥に叩き付けられる。 衝撃ではなく、それがもたらしたのは快感。 目の前にチカチカと小さな光が散り、唇がだらしなく開く。 ほんの一瞬の事だったのに、まだ広がりきってはいなかったはずの場所ですら、奥にやってきた塊を悦ぶように道を開いた。 そして今度はそれを逃がすまいとしっかりとまとわりつき包み込んでいく。 俺の充彦の体の間にヌルリとした物が広がった。 あまりの快感に、ちょっと出てしまったらしい。 「あぁ...充彦になら...充彦にハメ殺されるなら...最高......」 「バーカ、殺さないわ。ハメ殺すぐらいなら、毎日旨いモン食って毎日幸せそうに笑ってるお前を、毎晩『もう死んじゃう!』ってくらいよがらせるっての。んで次の日も旨いモン食って元気に仕事して、幸せに笑って夜には俺に啼かされるんだよ。どう、そっちのがいいだろ?」 「それってば...最高にエッチで最高に幸せだぁ......」 「だろ? 俺の幸せは勇輝を幸せにする事だからな。お前がずっとエッチでずっと幸せなら、俺もずっとエッチで幸せだよ」 俺をしっかりと包んでいた腕がほどかれ、そっと肩を掴む。 そのまま上半身を起こさせると、前に倒れ込むのを防ぐ為なのか背凭れのように膝を立ててくれた。 そこに背中を預けながら、俺自身も充彦の腹に乗せた手のひらにグッと力を入れ膝で体を支える。 「何、お前もうイッたの?」 「うん、ちょっと出ちゃった......」 力なくヘラリと笑うと、少しだけ心配そうな顔になった充彦が優しく腰を撫でた。 「大丈夫だったか? ちょっと一気に奥まで行きすぎた? 辛くない?」 「平気...少し漏れちゃったけど。さすがは充彦だなぁって感動するくらい、痛くも辛くもない」 「そうか? んじゃこっからは...勇輝の好きに動いてみ。今日は全部お前がやってくれるんだろ? 俺にして欲しい事がある時は...この最高にイヤらしい唇でおねだりして」 充彦が俺の上唇をチョンとつつく。 俺は小さく頷くと一度手の位置を確認し、グイと腕を突っ張りながら緩やかに腰を揺らしてみた。

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