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もう少しだけ昔の話をしようか【6】
「皆さん、一体何度注意したらわかるんですかっ!」
最初に聞いた、あのやたらとセクシーだった低い掠れた声ではない。
少しトーンが上がり、不愉快なくらいに神経質に捲し立てる。
『勇輝』はイライラしながら眼鏡のブリッジを上げ、パンツが見えそうなほど...いや、見せてるのか...大きく脚を広げてふんぞり返っている女優達の周りをカツカツ音を立ててグルグルと動きだした。
「いいですか? 当校は毛染め禁止、ピアスも化粧も禁止、スカート丈は膝から上下5センチ以内と何度も注意してきたはずです。その上、貴女はさっき校舎の裏でタバコまで吸ってましたね? 僕はちゃんとこの目で見たんですからね。これまでは学校に報告しなかったからこそ騒ぎにはなってませんが、これ以上この学校の評判を落とされるような真似を続けるようなら、黙っておくわけにはいきませんからね」
「うっせぇなぁ。いいから、これからも黙ってろっつうの」
「てか、お前の動き、マジでイライラすっから止めろよ」
カツッカツッと更に足音を大きくし、更に苛ついてきたらしい『勇輝』は声のトーンがますます上がっていく。
「イライラしてるのはこっちの方ですよ。停学者、退学者を出すまいと甘い顔をしていれば調子に乗って次から次へと問題を起こして...週明けまでにはまず服装と髪型を直してくるように! さもなくば...」
女の一人が『勇輝』に向かって大きく股を開いた。
「キャーッ、委員長にアソコ覗かれた!」
「てめえ、女の股覗くとかどういうつもりだよ!」
「な、何をいきなり...僕は何も...」
「キャーッ、助けてーっ! いきなりこの人がアタシのオッパイを...」
一人が自分でシャツのボタンを引きちぎり、『勇輝』の手を掴むと露になった胸に押し当てる。
慌てて『勇輝』が手を引こうとした時には、その姿に携帯のカメラが向けられていた。
「イェーイ、これでお前痴漢確定だな。喜べよ、犯罪者」
「なんならこのまま、アタシらで校長室に泣きながら駆け込んでやろうか?」
「そ、そんな...」
オロオロしながら泣きそうな顔になった勇輝の腕が引かれ、いきなり床に押し倒される。
「お前がこれからアタシらに一々煩く言わないって約束したら、この写真消してやるよ」
「そ、それは...」
「そういえば、お前案外可愛い顔してんじゃね?」
女が『勇輝』の眼鏡を取り上げ、それをポイと投げ捨てた。
ワラワラと女全員で取り囲み、押さえ付けながらその顔をマジマジと眺める。
「へぇ、なかなかじゃね?」
「ねえ、アカリ様。コイツこのまんま味見してみない?」
「まあ確かに、思ってたより可愛いか...」
『アカリ様』と呼ばれたのがこの集団のボスらしい。
Qさんが共演した事のあるという女優の片方だ。
この『アカリ様』が、『勇輝』の股間を靴でムギュと軽く踏みつける。
「そうだ、面白い事思い付いた。なあ委員長、今からアンタ1人でアタシら6人全員を満足させてみなよ。もし全員満足させられたら、月曜日には完璧に制服も髪型も直してきてやるから」
「ま、満足? それはどういう意味...」
「はぁ!? 1対6のセックスマッチだっつってんの」
「そんな事できません! セ、セックスなんて、そんな...」
暴れる『勇輝』を5人が押さえ、『アカリ様』が服を脱がせにかかる。
「アハハッ、ビビって震えてんじゃん! なんだよ、お前やっぱりチェリーか?」
「心配しなくても、アタシが今からたっぷり可愛がって天国見せてやるよ。気に入ったら、卒業するまでペットにして飼ってやるから。ザーメンタンク、カラッカラになるまで遊んでやるから覚悟しな」
いつの間にか上半身はすべて衣類を剥ぎ取られていた。
悲しそうな、そして悔しそうな表情が堪らなく煽情的だ。
そして服の下から現れたその体の美しさに、思わず周りからも小さな溜め息が漏れる。
肩から上腕にかけてはパンと張った筋肉が見事な流線を形取り、胸も最初の印象よりずっと逞しい。
色素が薄いからなのか、小さめの乳首も乳輪も綺麗なピンクをしていた。
やはり体毛自体が薄いようで、見える限り胸にも腹にも一切毛は生えていない。
暴れるように体を捩るたび、腹には見事なシックスパックが浮かび上がった。
その驚くべき美しさに、女達の怪しげなテンションもグングン上昇してきたらしい。
女性が口にするには眉をひそめてしまうような露骨な言葉を次々に吐きかけながら、興奮した様子でその体をベタベタと触り始める。
さすがの貫禄というのか、『アカリ様』だけは目を爛々と輝かせながらも芝居を続ける事を忘れなかった。
「さあ、このアタシを楽しませてくれるおチンポはどんなもんかしらね...」
ゆっくりとカメラが集団へと近づいていく。
そのカメラの後ろにピタリと付いたまま、監督もそちらに静かに寄っていった。
カメラが狙っているのは、靴で踏まれ手のひらで撫でられていた『勇輝』のチンポ。
プライドをズタズタにされているであろう委員長につい感情移入してしまったのだろうか。
思わず一瞬そのカメラの向けられた場所から目を背ける。
わけがわからず泣きそうになっている『勇輝』は、いくら撫でられ擦られようと勃起なんてできないでいるだろう。
周りから浴びせ掛けられ続けている淫語の数々も、普通の男のチンポを萎えさせるには十分なレベルだった。
可哀想に...あんなに綺麗な子が傷ついて唇を噛んでいるであろう姿を思って胸が痛む。
「ほ~ら、ご開帳!」
スラックスのジッパーを下ろすと、パンツと一緒にそれを脚から抜き去った。
途端に周囲がざわつく。
俺も恐る恐るそちらに目を遣る。
......驚いた。
そこには赤黒く充血し、隆々と立ち上がるチンポ。
「初めての撮影で...あの状況で完勃ちかよ...おまけに、デカイ...」
隣から、感嘆の声が聞こえた。
俺も同じ思いだった。
女達に露骨な言葉を吐かれバカにされ、例えそれが自分の仕事なのだとわかっていても、俺があの状況で勃起させられるだろうか?
それとも、もしかして彼はああいうプレイが好きなMっ気の強い子なのか?
勃ち上がった赤黒いチンポはたいそう『アカリ様』のお気に召したらしい。
指先に唾液を付けると自ら秘所を開き、ニヤニヤと笑いながら『勇輝』の腰に跨がった。
「なかなかいいモン持ってんじゃん...挿れた途端終了とか、許さないからね。アタシがいいって言うまで発射すんじゃないわよ」
ゆっくりと腰を落とし、その猛る物を体内に飲み込んでいく。
「あっ...ちょっとこれ...いいかも......」
満足そうに笑いながら、すべてを体内に収めユルユルと腰を動かす。
「いいわ...いいわよ...アンタのチンポ、悪くないわ...」
『勇輝』を追い込もうとしているのか、それとも自分の快感を追っているのか、『アカリ様』の腰の動きが大胆になり始めた。
ふと、繋がった場所をアップで撮っているらしいカメラの後ろで、阿部さんが何やら手を動かす。
それはまるで野球でいうブロックサイン。
カメラマンの陰になり彼の姿がはっきりとは見えないけれど、押さえ付けられている指先がオッケーサインを作ったような気がする。
「お前のガバマンじゃ、大して気持ち良くもなれないな。もう少し力入れてちゃんと締め付けろよ...」
響いた声は、間違いなくこの現場に入ってきた時に聞いたハスキーな、堪らなくイヤらしい声だった。
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