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君の隣で眠らせて【6】
「勇輝...勇輝......」
充彦は頭の下に敷いた腕で体を強く抱き寄せると、譫言のように俺の名前を繰り返しながら顔全体にキスの雨を降らせてくる。
さっき一瞬見せた獰猛な空気はどこへ行ったのか、まるでセックスを覚えたばかりの中学生のようにその動きは頼りない。
必死に押し隠そうとした不安な気持ちがそこに表れてるんだろうか。
空いた手が背中を撫で腰をなぞり、キュッと俺の中心を握り込んだ。
俺も片方の手を充彦の背中に伸ばし、驚くほどの大きさになっている場所をもう片方の手のひらでそっと撫でる。
たったそれだけの事で充彦の体がピクリと揺れた。
......もう感じてるの?
......俺が少し触っただけで反応して、泣きそうな声で名前を呼びながら興奮してる。
......なんて...可愛い人......
「充彦、ちゃんとキスしよ...」
もっともっと感じたい。
背中を伝い肩に触れ、充彦の髪にグッと指を挿し入れる。
「ね? キスして...」
少しだけねだるように唇を突き出すと、それを聞き届けようと分厚い唇がしっかりと俺の口を塞ぐように重ねられた。
その唇の感触を確かめる間もなく、熱い舌がいきなりズルリと一気に捩じ込まれる。
暴れるその舌は俺の舌が絡まり縋る事を許さず、ひたすら口内を乱暴に嬲っていく。
息苦しさに酸素を取り込もうと顔を捩らせてみるが唇が離れていく気配はなく、さらに舌の動きは激しさを増した。
頭の奥がジンジンと痺れ、酸素の代わりに送り込まれる唾液を素直に嚥下する。
その口への愛撫に感じ過ぎたのか、それとも単に酸欠に陥ったのか、充彦の髪を掴んでいたはずの俺の手から不意に力が抜けた。
パタリといきなり乾いた音を立てたシーツに、ハッとしたように充彦が慌てて唇を離す。
「あ、ごめん...勇輝、悪い...ごめん...大丈夫?」
俺の口を塞いでいた存在が離れた事に寂しさを感じながらも、うっすらと目を開けてゆっくりと大きく肺いっぱいに空気を送り込む。
霞んで見えていた世界が少しずつ色を取り戻せば、泣きそうな顔で俺を見つめる充彦がまるで大きな捨て犬のようにしょぼくれていて、ちょっと可笑しくなった。
「ごめん...俺、なんか段々わけわかんなくなってきて...すげえ興奮して...」
俺はそんな大きな捨て犬の頭を、ようやく動かせるようになった手でそっと撫でる。
不安げに揺れるその瞳を真っ直ぐに見つめ、幸せだと気持ちを込めて微笑んで見せた。
「すっごい...気持ち良かった...あのままイくかと思っちゃった」
両手を伸ばし充彦の首に絡めると、グイと頭を引き寄せそのまま抱き締める。
「でもね、大丈夫だから落ち着いて。心配しなくても俺はここにいるよ。俺のいる場所はもう充彦の腕の中だけだから...安心して、もっと俺をゆっくり可愛がって。時間はいっぱいあるんだよ」
不安そうに震えていた肩がピクリと跳ね、少し驚いたように上げられた顔が俺をじっと見つめる。
俺にとっての充彦は、もう先輩じゃないんだよね?
ただの憧れの人でも無いんだよね?
俺達もう...恋人でしょ?
だったら...敬語はいらないよね?
「大好きなんだ、充彦。だから、俺の体をいっぱい愛して。俺にも充彦の体をいっぱい愛させて。んで......」
充彦の腰骨に左脚をかけ、腰をグイと引き付ける。
ちょうど猛る物同士が触れる事になり、俺は一瞬息を飲んだ。
「俺が疲れきって目を閉じたら...充彦の隣でゆっくり眠らせてね。ずっとギュッて抱き締めてて......」
俺は精一杯の気持ちを込めて充彦の唇に俺の唇を合わせた。
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