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守りたくて壊したい矛盾【充彦視点】
勇輝が...俺への敬語を止めた!?
嬉しくて感動するのと同時に、その言葉が俺をほんの少しだけ冷静にしてくれる。
欲しいと...どうしても側に置きたいと思い続けた存在が俺の一番近くにいる事の喜び。
何物にも代え難い快感を与えてやりたいという妙なプレッシャー。
どうにか少しでも冷静にならなければ、主導権を握っていなければと、ともすれば逆上せてしまいそうな自分を必死に抑え込んでいた俺に勇輝がポツリと言った言葉。
『舐めてもいいですか?』
正直、ちょっとショックだった。
きっと勇輝にそんなつもりは無い...そう思おうとしても、結局俺は『先輩』でしかなくて、かつての『客』と変わらないんじゃないかって気持ちが先に立ったしまった。
そしたらもう...あのザマだ。
勇輝を手に入れたんだって安心感が欲しかったのかもしれない。
誰よりも俺が勇輝にとっての一番にならなければと焦ったのかもしれない。
とにかく頭に血が上って、わけがわからなくなっていた。
テクニックも何もあったもんじゃない。
ただとにかく、ひたすらめちゃくちゃに口の中を犯した。
舌を捩じ込み、歯茎の裏側を舐め、俺の口に溜まった唾液を送り込む。
大人しくそれをコクコクと喉を鳴らし飲み込んでくれる勇輝の姿が嬉しくて...つい夢中になりすぎた。
ぐったりと手と体の力が抜けた勇輝の姿に初めて、呼吸の隙も与えていなかったことに気付く。
もしかすると、そんな俺の中の不安や焦りに気づいていたんだろうか。
ガキみたいに無我夢中なだけのキスしかできなかった俺に、勇輝は堪らなくいやらしくて、蕩けるほど幸せそうな笑みを浮かべて言ったのだ。
『気持ちいい』
と。
俺の頭を抱き締め、敬語を止め、優しく不安を取り除いてくれた。
そして俺の腰に脚を回し、『早く気持ち良くしてほしい』とねだってくる。
俺のすべてを包み込むように抱き締める姿はまるで聖母のようでいながら、腰を揺らめかしながら快感を求める様は淫売そのものだ。
清らかで賢く、狡くて淫ら...俺はとんでもない男に惚れてしまったのかもしれないと改めて思わされる。
「充彦の、舐めさせて。気持ち良くしてあげたいんだ」
「うん...じゃあ、俺も。俺だって勇輝を気持ち良くしたい」
天地を逆にして改めて横になる。
俺がどうしたいのか、勇輝はすぐにわかったらしい。
お互いに横を向いた格好で、それぞれの太腿に頭を乗せた。
「充彦の、ほんとおっきいね...」
「勇輝のもじゃん」
「ふふっ...別になんてことしてないのに、二人ともガチガチになってる?」
「勇輝のは、ガチガチなだけじゃなくてトロトロだけど?」
「充彦のもだってば」
クスリと笑ったような気配と共に、息がチンポにフワとかかる。
そんな微かな感覚ですら快感で、少しはマシになったとは言え、まだまだ冷静にはほど遠いほど気持ちも体も昂っていると思い知らされた。
俺の腿の上の頭が微かに動き、勇輝の熱い息がどんどん中心へと近づいてくる。
タマと根元を合わせて軽く握ると、それを柔く揉みながら先端の括れをぐるりと舐めてきた。
そのまま溶けかけたアイスキャンディーでも舐めるかのように根元から先端へ、丁寧に優しく舌が這い回る。
......ヤバい...ほんとにガッチガチらしい...
飛び出した頭の部分だけでなく竿までも、勇輝の舌の表面のザラリとした感触をハッキリと感じた。
心臓と同じリズムでドクンドクンと大きく脈を打つ。
このまま何もできないなんて事態だけは避けなければ...と俺も勇輝の竿を弛く握った。
勃起した他人のチンポを触るのなんていつ以来だろう。
その時の行為には不快感しかなく、二度とこんな物触りたくないと思ったのに、今目の前で揺れる塊には愛しさしか感じない。
タマをヤワヤワと揉みしだきながら、勇輝の真似をするように竿をゆっくりと舐め上げる。
「んっ...ふっ...」
僅かそれだけで漏れる甘い吐息。
また頭にカッと血が上る。
けれどそれは、さっきまでの不安や焦りから我を忘れた状態とは少し違う。
もっと感じさせたい...もっと声を聞きたいという、純粋な欲と興奮。
慣れていない事は承知の上で、亀頭をパクンと咥えてみた。
普段自分がされている時を思い出しながら、口に含んだまま裏側を舌先でチロチロと擽る。
「は...ぁん...充彦...そこダメ...」
喜んで腰を振っているのかそれとも捩って逃げようとしているのか、俺の口の中で大きな亀頭がゆるゆると前後する。
俺はその動きに構う事なく唇に力を込め、逃げ出せないように先端をきつめに吸い上げた。
「ダメだって...言ってんのにぃ...」
勇輝の拒絶を聞かない俺に業を煮やしたか、俺のを握る手の力が少し強くなる。
強く早く扱きながら、俺のチンポの先端から中ほどまでが一気に熱い粘膜に包まれた。
「ちょ、ちょっと、勇輝...」
慌てて勇輝の物を口から吐き出しその粘膜から逃げようと試みるものの、あまりの心地よさに力が入りきらない。
ずいぶんと喉の奥まで飲み込んでいるらしい。
時折粘膜が不規則に収縮し、無意識なのだろうか...舌は俺のを外へと押し出そうとしてきた。
しかしこの不規則な収縮と舌先で強めに押される動きがさらに俺の興奮を煽り、思わず喉の更に奥を目指して腰を突き出してしまう。
勇輝はそれでも俺の物をしっかりと咥えたまま、タマの裏側とケツの間にそっと触れた。
指がそこをなぞるように何度も往復すると、温くてじれったい快感がジワジワと沸き上がってくる。
チンポを強く吸い上げる直接的で強烈な感覚と、さして性感とは関係なさそうな場所への微かな感覚。
体の内側から外に向かって、その快感が俺の欲を押し出そうとし始めた。
勇輝もそれに気づいたのか。
吸い上げる力はそのままに頭が大きく動き、口内では自在にうねる舌が鈴口をクリクリと抉るように刺激する。
更に放出を促すように、軽く裏側を触っていただけの指はコロコロと転がすようにタマを揉み始めた。
たぶんもう、その袋もパンパンになってるだろう。
こんなフェラチオ経験無い......
このままイってしまいたい......
でも、嫌だ。
俺は...俺は勇輝に...奉仕されたいわけじゃない...
「勇輝、もうストップ...頼むから止めて...お願いだから...口でイかせないで......」
ようやく出せた声に勇輝の動きが止まる。
荒い息を必死に堪えながら、俺はどうにか言葉を続けた。
「二人で気持ちよくなりたいんだ。だから俺だけ...俺一人をそうやって一方的に気持ちよくしないで...」
「じゃあ...」
俺の物から手と口を離すと、勇輝がユラリと体を起こした。
俺の先走りか、それとも口内にたっぷりと溜めていたであろう唾液が溢れたのか、唇の端を伝う雫をペロリと舌で受け止める。
「俺も...いっぱい気持ち良くして...充彦の手と...コレで」
ツツとからかうように竿に指先が滑らされただけで、俺の先端からは止まる事なく雫が溢れた。
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