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守りたくて壊したい矛盾【3】
二人の手の中で大きく弾けた俺のチンポは、大量の白い飛沫を溢れさせながらも一向に萎える気配を見せない。
それは勇輝にしても同じことだった。
お互いの肩にペタリと額を当て、荒いままの呼吸を整えようと大きく熱い息をゆっくりと吐く。
「いっぱい出ちゃった......」
「俺も。恥ずかしいくらい出たかも。おまけに、まだギンギンだもん...」
少しだけ恥ずかしくなるがそのままにしておくわけにもいかず、ちょっと頑張ってサイドボードの上のタオルに手を伸ばした。
赤く染まった目元にそっと唇を落としながら、俺と勇輝二人分のザーメンで汚れた勇輝の手を丁寧に拭ってやる。
「なあ、勇輝......」
「ん?」
「なんかさ、カッコ悪いくらいガツガツしてるし、結局はそれだけが目的なのかよ!とか思われちゃうかもしんないけど...このまま続きとか...しても...いいのかな......」
勇輝の手を綺麗にし終わり、恥ずかしいやら情けないやらで俯いたまま今度は自分の手を拭いてると、今綺麗にしたばかりの手が俺の背中へと回り、キュッと抱き締めるように力が込められた。
「当たり前。ここで『もう出したから十分。これ以上はいいや』って言われる方がショックだから。それにね、お互いにまだ収まりつかない状態じゃない?」
ツンツンて指先で俺のガチガチのチンポをつついてくる。
別にからかおうなんてわけじゃなく、たぶん俺の気持ちを楽にしようと敢えて砕けた口調やふざけた態度でいてくれてるんだろう。
俺もお返しに勇輝のをツンツンする。
「ほんと今日は要領悪いかもしんないし、いちいちくっだらない質問するかもしれないけど...怒んねぇ?」
「勿論。充彦は俺を少しでも気持ちよくしたいって思ってくれてるから質問するんでしょ? 気にしないで何でも聞いて...二人でもっと気持ちよくなろ?」
「......わかった。んじゃさ、早速でごめん。一応な、男同士の手順はわかってるつもりなんだけどさ、その...えっと...慣らさないといけないわけだろ? 勇輝はどんな格好が楽?」
「どんなんでも大丈夫だよ。そこはね...本当に申し訳ないけど、やっぱり俺、それなりの経験あるから。どんな格好でも力の抜き方は体が覚えてるつもり。ただ、結構久しぶりだし、充彦のサイズ受け入れる為にはちょっとだけ時間かかるかも...」
勇輝の言葉を聞き、俺はその体をゆっくり仰向けでベッドに倒した。
「んじゃさ、顔見ながらしたい。俺に触られて勇輝がどんな表情になるのか、どうしたら悦ぶのか...ちゃんと見てたいんだ。......いい?」
「うん、わかった。悪いんだけど、腰の下に挟めるようなタオルケットとかクッションとか、何か借りられる? 少しでもお尻を上に向ける状態のが充彦もやりやすいと思うから」
言われて、急いで合いそうなクッションを探す。
滅多に使う事もなく、いつの間にかただの飾りになっていたビーズの抱き枕を勇輝の腰の下に差し込んでみた。
浮いた腰。
そして俺の目の前に晒される勇輝の秘所。
顔も体も綺麗なら、ケツの穴まで綺麗なのかと思わずそこをまじまじと見つめてしまう。
「充彦、さすがにそんなに見られると...ちょっと恥ずかしい......」
「......あ、ごめん、つい。クッションはそれで大丈夫?」
「うん、たぶん。それよりさ...こんな男のケツ見てて...萎えない?」
困った顔で笑う勇輝の目の前に『フンッ』と膝立ちになって胸を張ってやる。
萎えるどころか、ますますいきり立つ俺のチンポを見て、勇輝はさらに困った笑顔を浮かべた。
「だからぁ、俺は勇輝に欲情はしても萎えるとか絶対無いっつったろ?」
「でも、さっきは我慢しきれなくてちょっと漏れちゃったけど、声だってほら...こんな低いし。今度はさすがに喘いじゃうかもしんないから...『気持ち悪っ』とか言わないでね」
「そんなもん、言うか。勇輝の声はずっと俺の下半身直撃しまくってるっての。今までだって、電話で喋ってる最中ですらチンポが『コンニチハ~』だったんだからな! 俺のお前へのムラムラなめんなよ。......つか俺、どんだけお前の事で頭一杯だったんだよ...声聞いただけで勃起するとか...改めて言ってて恥ずかしいわ」
そのまま手で顔を覆ってしまうと、勇輝がクスクスと笑う。
ソーッと指の間からそちらを見ると、俺が見ている事に気づいてるらしい勇輝は自らケツを左右にゆっくりと開いた。
「あのね、こんな格好のまんまで放置されてる俺のがだいぶ恥ずかしいから。なんとかしてくれない? ほら、ここも早く充彦に可愛がられたいって」
敢えて動かしているのか、それとも本当に気持ちが昂るとそうなるのか。
勇輝の指によって左右に開かれた窄まりは、まるで呼吸でもしているように時折キュッキュッと力が入っている。
なんてお誘いだと思わなくもないけれど、俺は傍らのジェルのチューブを手に取ると自分の指にそれを纏わせた。
「いきなりさ、指って...突っ込んだりしても大丈夫なもん?」
「その辺は充彦に任せます。俺ね、充彦に抱かれてる女優さんとかすごい羨ましかったんだ...『みっちゃんに触られるのってどんなだろう』『あんなに気持ちよさそうな顔させられるなんて、みっちゃんのセックスってやっぱり気持ちいいのかな』ってずっと考えてた。俺ね、充彦が俺を相手にどんなセックスするのか知りたい。どんなセックスで相手を蕩けさせるのか確かめたい。どうしても嫌な事はちゃんと嫌だって言う。だからね、あとは全部充彦の思う通りにやってみて欲しいんだ」
ケツに添えていた手を離し、それをそのまま俺の方へと伸ばしてくる。
艶かしくて、けれどどこか儚いほどに美しい笑顔。
俺は伸ばされた手をギュッと握り、手の甲に唇を落とすと、強がり半分に精一杯の笑顔を勇輝へと返した。
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