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守りたくて壊したい矛盾【7】

しっかりと竿の根元を握り、ゆっくりと力を込めていく。 ローションのヌメりを借りてもなお、それはやはり指のようにはスムーズに入っていかない。 強い抵抗を感じれば一旦引き、ローションを少し足して再び挿入を試みる。 勇輝は目を固く瞑り、小さく口を開いて意識的に緩やかな呼吸を繰り返していた。 必死に俺達を繋ぐ場所の力を抜こうとしているのだと思えば、その姿に『愛しい』という穏やかな気持ちと、『早く欲しい』という渦巻くような欲のせめぎ合いが始まる。 それでもなんとか今は必死に欲の方を抑え込み、勇輝の体を傷つけないようにする事だけに集中した。 きつい締め付けと普段ではあり得ないほどの緊張感に、額から流れた汗がポタポタと勇輝の肌へと滴っていく。 苦しいはずの勇輝は、その事すら幸せそうに落ちた汗を指先で自分の体へと塗り広げた。 「ごめんね、面倒...かけて」 「別に面倒じゃないよ...まあ、死ぬほど緊張はしてるけどな」 既に皺の一本も無いとのではないかというほどいっぱいまで広がって見える入り口に、これ以上進んでも良いものか不安になる。 「もう少しで頭入りそうなんだけどさ...ほんとに大丈夫なのか? 切れたりしない?」 「少ないって言っても...アナルセックスの経験あるんでしょ? 大丈夫だよ...そんなにヤワじゃないってば。マジで大丈夫だから」 アナルセックスの経験はあっても、こんなに相手を労った事がなかった。 だからこそどうしても勇輝を手に入れたいと焦る気持ちと、何より大切にしたいという気持ちで苦しんでいるのだ。 少し先へと進みかけ、一度抜いてはローション足してまた進みかけ...結局俺は、何度も同じ場所で止まっていた。 「充彦...」 勇輝が微笑みながら、膝を曲げて抱え込んでいた脚をゆっくりと伸ばす。 その伸ばされた脚は、俺の腰へと弛く絡み付いてきた。 「あのね、本当にもうそれ以上下がらなくていいから。俺男だし、経験者なんだし。大丈夫か大丈夫じゃないかなんて俺のがわかるよ...だって俺の体だもん。それに何よりね......」 腰に絡まる脚にグッと力が入る。 「いつまで焦らしてんの? もうそろそろ、ほんとの充彦感じさせてよ」 そう言うと、男にしてはずいぶん細い指先が俺の膝をそっと撫でた。 ......いいのか? ......ほんとに大丈夫なのか? そんな考えは簡単には消えないけれど、俺だって勇輝が欲しい。 誰よりも、何よりも。 ここまで勇輝が腹を括って俺の背中を押してくれているのだ。 いつまでも俺がビビってるというわけにはいかないだろう。 それに何より...俺のバカ息子がもうそろそろ言うことをきかなくなってきてる。 「大切にする。目一杯感じさせてやるし精一杯甘えさせてやる。でもその前に...壊したらごめんな」 「壊したら...その時は弁償してくれりゃいい」 「任せとけ。一生かけて弁償するから」 「...んふっ、じゃあ尚更好きにすればいいのに。傷つけても壊してもいいんだよ。だって俺...充彦の物でしょ?」 『俺の物』 言われた俺が、嬉しくないわけはない。 胸の奥と頭の中がカッと熱くなる。 けどきっと、そう言われた俺より言った勇輝の方がずっと嬉しそうで...幸せそうに見えた。 「そうだよ、勇輝は俺の物。んで、俺は勇輝だけの物」 勇輝は本当の意味で俺の物になりたいと願ってくれている...伝わってくるその思いが俺の背中を押し、理性よりも欲を溢れさせていく。 一度ゆっくりと息を吐き、緊張せいかひどく渇いている唇をペロリと舐めた。 俺の意を汲んだらしい勇輝の目が、スーッと細められる。 「力...抜いてろよ」 俺の腰に回された脚の力が更に強くなり、俺の退路を塞いだ。 ......もっとも、もう一歩も引くつもりなんて無いけどな...... 頭の半分だけがめり込んで動けないままだった場所に明確な意思を持って力を加えていく。 なんだか、輪ゴムの限界でも測っているような気分だ。 いつ切れるのではないかとドキドキしながらも、進める力を緩めるつもりはない。 少し辛いのか、勇輝は眉間に深い皺を刻みながら、それでも口許には微かに笑みを浮かべている。 初めに勇輝が望んだようにゆっくりゆっくりと、そして今の勇輝が求めるまま一切下がらず、ただきつい締め付けに耐えながら奥を目指した。 ググッと俺を受け入れる縁がさらに広がり、一番大きく張り出した部分がじわじわと中へ沈み込んでいく。 無意識なのか、勇輝の指が少し前のめりになった俺の肩をきつく掴んだ。 ハフハフと呼吸が乱れ、額にはじっとりと汗が滲む。 チンポもすっかり萎えてシナシナになるほどなのに、それでも勇輝はうめき声も悲鳴も上げなかった。 「はぁ...とりあえず...頭は入った。お疲れ」 「何を言ってんの...まだ疲れてるわけ...ないでしょ...」 「ま、そりゃそうか。今からもっと疲れてもらわないといけないんだもんな。んじゃ、このまま続けるよ?」 勇輝は何も言わずに安心したような顔で笑い、俺は汗で額に貼り付いた前髪をそっと払うとそこにフワリと唇を落とした。

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