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守りたくて壊したい矛盾【9】

グジュグジュと卑猥で粘着質な水音と、パチンパチンと肌同士がぶつかる乾いた音。 少しずつその音は早く激しくなっていき、そしてその音に俺の興奮は更に高まっていく。 勇輝は俺の体の下で少し苦しそうに、けれど匂い立つような色香を隠そうともせず、綺麗な体を大きく仰け反らせた。 こうして激しく肌の合わさる音を響かせるセックスをしたのはいつ以来だろうか。 そしてそれを、これ程までに艶かしく嬉しそうに受け入れてもらえた事があっただろうか。 ...気持ちいい...... 自分の欲のままに乱暴に腰を打ち付けても、勇輝の中はそれを悦ぶように俺をキュウキュウと締め付けてくる。 もっと責めろと、もっと激しく求めて欲しいと言わんばかりに奥へ奥へと誘う動きはますます大きくなってきた。 「んあぁっ...充彦...充彦...苦し......」 「嫌なら...止める...? 止めて欲しいなら止めるけど...?」」 一番奥を貫き、さらにそこを『もっと受け入れろ』と強く押し込めながら、回すように腰を動かして中を捏ねる。 止められるわけがない...今本当にこの行為を止められないのは、きっと俺の方だ。 ただ主導権を握ろうと精一杯の虚勢を張ってるにすぎない。 勇輝が強く快感を得る場所を攻めるたびに繋がった場所と、全体を包み込む内襞と、先端が留まっている一番奥とがまるで違う力と動きで反撃するように俺のチンポを刺激する。 中の物をズルリと引けば、それを拒絶して縋りついてくるように粘膜全体が絡み付いてくる。 こんなセックスは知らない。 攻めているようでいて逆に攻められている。 激しく求めれば求めるだけ、それをはるかに上回る強さで求められ、更なる快感が得られる。 こんなの、止められるはずなんてない。 きっと勇輝にだってわかってるはずだ。 今の俺は、現場やビデオで見せる顔や動きとはまるっきり違ってるだろう。 大きく突き、めちゃくちゃに動かす腰を自分で抑える事ができなくて、情けないほど切羽詰まった顔をしてるだろう。 普段あまりかくことの無い汗がこれだけ滴り落ちているんだ...頭と体が軽いパニック状態にある事くらい自分でもわかる。 けれど勇輝は、そんな俺の虚勢すらも満足させてくれた。 「あっ...いやぁ...イヤだ...止めちゃやだ...お願い、止めないで...もっと...もっとしてぇ......」 いつもより1トーン上がった、甘いセクシーな声。 その言葉が嘘ではないと示すように、中の不思議で絶妙な蠢動が強くなる。 この声も反応も動きも、意識してしてることだとしたら...なんて恐ろしい体に手を出してしまったのだろうと思う。 俺に見せているすべてが全くの無意識だったとしたら...なんて愛しくイヤらしいのだろうと堪らなくなる。 どちらにしても、俺の全部が『勇輝』という存在に絡め取られ、もう二度と離れられないと実感したのだけは間違いなかった。 「充彦ぉ...気持ちいい...苦しいのにぃ...こんなに激しの...壊れちゃうよぉ......」 勇輝の手が、自分のチンポを強く握る。 俺をうっとりと見つめる目には涙が滲み、呼吸が大きく荒くなっていく。 「あぁ...イきたい...でもまだイきたくない...やだよぉ...気持ちいい...でも...まだイきたくない......」 『イきたくない』と言いながら、握り締めたチンポを狂ったように激しく扱きだした。 真っ赤に膨らんだ先端は、あとほんの少しの刺激で爆発してしまうんじゃないかというほどにパンパンになっている。 竿の表面にはくっきりと血管が浮かび、肌がぶつかるたび俺に当たるタマはガチガチになっていた。 もう勇輝がイきそうなのは明らかだった。 けれどそこまでなっていて、今度は眉間に深い皺を作りながら、必死の形相で根元を押さえる。 「な...に? 我慢してんの?」 「イきたいけど...イきたくない...まだ終わりたくない...もっと...もっと充彦と...繋がってたい......」 ひどく震えている声。 ただ感じ過ぎているせいなのかもしれない。 でも俺にはそれが...泣きたくなるほどの懇願のように思えた。 「勇輝...ちょっとだけごめんな...」 バクバクする心臓が痛い。 可愛くて可愛くて仕方ない。 だけど...いや、だからこそ勇輝を啼かせて啼かせて啼かせて、俺に縋りつかせたい...... 俺は勇輝の中から一気にチンポを引き摺り出す。 その動きで一気に高まったのか、必死に押さえていたはずの勇輝のパンパンになった亀頭の割れ目からは、少しだけ白い液体がトロトロと漏れた。 中から出て行った俺に、勇輝は絶望したとでも言いたげな虚ろな目を向けてくる。 俺はそんな勇輝の目の前で、チンポに被せていたコンドームを外して投げ捨てた。 「中は気持ち悪いかもしんないけど、これで...ずっと繋がってられるだろ?」 「...いいの? 生でするとか...嫌じゃ...ない?」 「こっちこそ先に謝っとくわ。たぶん今からお前の中グチュグチュでドロドロで、きっと溢れるくらい俺のザーメンで一杯になると思うけど...ほんともう、止めらんないから」 出て行った事でゆっくりと元の形に戻ろうとし始めたアナルに再び先端を押し当てる。 俺は自身を握りしめている勇輝の手を取り、しっかりと指を絡めた。 「イけよ。何回でもイかせてやる...絶対離さない、ずっと繋がってずっと感じさせててやるから、いくらでも気持ち良くなれ」 ズブズブと亀頭を埋め込んでいく。 先端がしっかりと入った事を確認すると、ズンと一気に奥までを強く突き上げた。 「あぁぁっ...あーーーーっ......」 絡めた指が強く握り返され、一瞬口許に笑みが浮かんだ瞬間... 勇輝は僅か一回の突き上げだけで大きく体を痙攣させ、パンパンに膨れ上がっていた先端は派手に爆ぜる。 俺もたった一度突き上げだけで中の締め付けに耐えられず、勇輝の最奥に向かって勢いよくザーメンを吐き出した。

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