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クイーン・ビー・エクスプレス 特別編【4】
「観てくれてる人も同じ事考えてるんじゃないかと思うんだけど、やっぱり二人ってちょっと似てるよね」
「うん、よく言われたよな? なんにもしてない時はそうでもないんだけど、それでもふっとした表情が時々すごい似てるって」
「まあ、元々俺は勇輝くんに憧れてて、『似たい』『なりたい』っていう気持ちが強かったから、たぶん俺の方が勇輝くんに寄っていったんちゃうかな。大阪に戻った時たまたま幼馴染みと会うてんけど、昔と顔付きがだいぶ違うって言われたし」
「今からちょっとアレ見せる? ファンの人、喜ぶかな?」
「ああ、『鏡』?」
「はいはいはい、ストーップ! それはね、ちょっと後からする話に絡んでくるんで、今はやっちゃダメーッ」
「俺は、気持ち的には年中ダメなんですけど......」
「はい、航生拗ねない! でさ、昔の勇輝ってどんな感じだった? あ、前回の配信を観てくれた人はわかってると思うんですけど、この二人ですね、昔同じバーで働いてた同僚だったんですよ」
「まあ、どういうバーやったんかは...察して?」
「そうそう。詳しく話せないってのがどういう事なのか...察して?」
「なんじゃ、そりゃ。意識して同じ顔作るな! ま、一応はちゃんとカクテルも作れるもんね。勇輝はたまに部屋でシェイカー振ってくれるし......」
「俺も振ってるで、腰は」
「あのなぁ...とりあえずお前、昔より下ネタ激しくなってんぞ」
「これはしゃあないねんて。俺がおった会社のモデルって、みんなめっちゃエエ奴やってんけど下ネタ喋ってナンボのノリやってん。でもまあ...今は航生くんが照れてモジモジすんのが面白うてわざと言うてるんやけどね」
「慎吾さ~ん...慎吾さんまで俺をいじめないでくださいよぉ」
「ほらほら、これっ! んもう、ほんま可愛いやろ?」
「いや、俺らはその顔見慣れすぎだから」
「で? 俺もあんまり知らないから、昔の勇輝の事ちょっと教えてよ」
「そうやなぁ...今のがウンとエロいけど、基本的にはあんまり変わってへんよ。普段は大人しいし優しいし穏やかやし。あ、でも...今はエエ意味で隙ができた感じする」
「隙?」
「そう。昔からね、甘えてくる人は目一杯甘やかしてあげるし、仕事で落ち込んでる人は精一杯励ましてあげてた。それはたぶん今も変わってへんと思うんやけど。ただ、自分の弱みは絶対に見せんようにしてたし、他人に甘える事もせえへんかったよ。勿論、できへん事はできへんてきっぱり言うんやけど、甘えるって言うよりも謝罪するって感じ。さっき航生くんがチラッと言うてたけど、今よりもずっと『完璧過ぎる人』やったんちゃうかな」
「でも、今は隙がある?」
「うん。それやと言葉悪いんかなぁ...なんて言うんやろう...こう...他人にちゃんと自分を預ける事ができるようになった? 信用するしないとはまたちょっと違うんやけど、ちゃんと自分の弱みを晒け出せるし、だからこそ素直に他の人に甘えられるようになったんかなぁと思う」
「......かもな。俺、『甘える』って意味がわからなかったし、そもそも甘え方なんて知らなかったもん」
「今はわかったん?」
「わかったんじゃないかなぁ...たぶんね」
「みっちゃんのおかげ?」
「まあ、きっかけは。丸ごとの俺を受け止めてくれる、誰よりも信頼してる人に背中を預けるっていうのは、何よりも心が安らぐんだって教えてもらったと思うよ。でも今は、航生と慎吾にもだいぶ甘えてるつもり。わがまま言ったり、じゃれて遊んだりってできる相手が増えてほんと幸せなんだ」
「勇輝さん、熱でもあるんですか?」
「......前言撤回。航生には甘えてないし感謝もしてない。コイツは一生俺のオモチャに決定」
「アカ~ン。航生くんは俺の大事な夜のオモチャやから! 勇輝くんには渡せへんでぇ」
「いやいや慎吾さん、俺をバイブ扱いしないで......」
「航生、お前ったらほんと恋人にまでからかわれてるんだな......」
「はい...もうね、いっつもこんな感じなんですよ......」
「でも好きなんだろ?」
「はいっ!」
「即答かよ。お前、ずーっと尻に敷かれるな、たぶん」
「それでも慎吾さんがそれで楽しいなら、俺は全く構わないです」
「大丈夫やんなぁ。俺、普段はからかったりちょっと意地悪したりするけど、その分夜は航生くんの方がウンと意地悪やし。お互い様やろ?」
「......はい」
「うわっ、認めた。何、航生夜には豹変すんの? ヤバい、すっげえ見たい!」
「なんやったら、今度おんなじ部屋でエッチしてみる?」
「ああ、いいね。俺も航生の成長っぷりと野獣ぶり、見てみたいかも」
「しませんよっ! どこにいても誰といても盛ってる二人とは違うんですからねっ!」
「んもう、ウソや~ん。ムキになって、ほんまに航生くんは可愛いなぁ」
「ちぇっ、嘘かよ」
「少し期待したのになぁ」
「ふふっ、そのうち航生くんにも『はい』って言わすから、ちょっとだけ待っといて」
「言わないぞ、絶対乱交するなんて言わないからな!」
「乱交じゃないっつうの。おんなじ部屋でお互いを見ながらしようかってだけじゃん。ま、航生の無駄な足掻きがいつまで続くか、皆さん生温く見守っててくださいね~」
「はい、じゃあ関西出身の慎吾くんも交えて、これからちょっと今度のトークショーの話に移りましょう」
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