「じゃあ、最初は...はい、あなたにしましょう。あの、そこの...うん、そう。右から２番目の...。お名前とか聞いても大丈夫？」 「あ、はいっ！　ちはと言います！」 「じゃあ、ちはさんからの質問をお願いしま～す」 「えっと...航生くんに...」 「......はぁ！？　おおおおおお、俺？　初っぱなが...俺？　いやいやいやいや、無理です、無理無理無理！　さ、先にナイロンザイル並みに神経の図太い勇輝さんとかみっちゃんに......」 「だーれがナイロンザイルだ？」 「お前は、焦ってるのか俺らをバカにしてるのか、どっちなんだよ」 「ババババババ、バカになんてしてないです！　本気です、俺はいつでもいたって真面目に真剣です！」 「ほう...じゃあお前は、俺らの事を心の底から『ナイロンザイルのように図太い神経の持ち主だ』と思ってるわけだ？」 「ちがっ、違いますって！　あれは言葉のあやというか...いや、なんというか......」 「はいはい、ケンカコントは一旦止めてね～。ちはさん、完全に置いてけぼりやから。じゃあ、質問どうぞ」 「あ、あの...今の流れでもそうなんですけどぉ...真面目で照れ屋の航生くんが、さっきみたいにみんなの目の前でキスするのって、どんな感じなんかなぁって聞いてみたくて...」 「ああ、なるほどなるほど。愛しの俺からチュッチュしてもらって、今すごく幸せでしょ？って質問ですね？」 「慎吾、ポジティブシンキングだねぇ。よくもまあ、そこまで自分に都合よく歪曲解釈できるわ」 「ナイロンザイル並みの神経って、実は慎吾くんの事言うんじゃないの？」 「あんま誉めんとって」 「だから、１００パー誉めてないしな」 「んもう！　航生くんへの質問やねんから、二人は黙っといてよ。航生くん、俺からチューしてもらって嬉しかったやろ？」 「あ...いや...えっと、嫌じゃないんです。慎吾さんが相手なんで、嫌なわけはないです。ただ...あの、やっぱり......」 「恥ずかしい？」 「......はい。ほら、ああいう事って、部屋の中で二人きりでするもんじゃないですか？」 「ほう、本番バッチリこなしてるＡＶ男優が何か言ってますよ」 「いや、だってあれは仕事ですもん！　仕事だと思ったら、こう...なんかちょっと違うとこのスイッチが入るんで...大丈夫です。でも、慎吾さんとのキスは、どんな状況であってもどうしても仕事だと思えないところがあるから...やっぱりキスは、人前じゃない方が...気持ちいいです」 「......おや？」 「......おやおや？　航生くんは、我々が考えてる以上にムッツリスケベかもしれませんねぇ？」 「お前、自分で何言ったかわかってる？」 「へ？　あのぉ...俺、なんかおかしな事言いましたか？」 「はい、ちはさん！　俺が航生くんに変わって質問に答えるな。人前でするチューは、恥ずかしいってより気が散って集中できへんせいで気持ちようなられへんから、どうせキスするなら密室やなかったらアカンねんて～。俺とするチューは仕事ちゃうから、いつでも戦闘オッケーな場所やなかったらアカンて」 「そっ、そんな事は言ってません！」 「ほったら間違うてる？　人前より、もっともっと落ち着いてチューできるから、俺とは二人きりでないと嫌...ちゃうのん？」 「間違って...ないです...で、でも俺はムッツリスケベじゃないもん！」 「はい、航生はハッキリガッツリスケベだそうです、以上！」 「ちはさん、こんな感じでオーケーやったかな？　そしたら、次の質問いってみましょう！」