「じゃあ次は...せっかく最前列いるのに、ちょっとモジモジしてる彼女にしようかな。質問してもらってもいい？」 「は、はいっ、ありがとうございます！　陽向といいます！　勇輝くんと航生くんが大好きです！　特に、航生くんをお嫁さんに欲しいくらい大好きです」 「おおっ、ありがと～。ってか、コレが嫁なの？」 「あ...ありがとう...ございま...す」 「なんか、航生大人気だな」 「改めて言わないでくださいって！　ほんとにちょっと...照れてるんだから」 「可愛いなぁ、航生くん。もうね、食べちゃいたい」 「どこを？」 「そりゃあもう、黒くて大きなチン...」 「ワーッワーッワーッ！　し、質問どうぞ！　んもう、早く進行しないと、慎吾さんが何を言い出すか......」 「あ、いいですか？　すいません...じゃあ質問させていただきます。きっとパートナー同士、お互いを生涯の伴侶だって考えてると思うんですけど、もし相手からプロポーズされるとしたらどんな言葉がいいか、是非教えてください」 「プロポーズ！？　プロポーズかぁ...これはなかなか難しい質問来たなあ」 「俺に関しては、もうプロポーズしてもらってるようなもんじゃない？」 「気持ちとしては毎日でもプロポーズしてるつもりだけど、ちゃんと俺、口に出してプロポーズしてた？」 「あれ、意識してないの？　うわぁ...ちょっとショックだわ。俺、ほんと感動したのになぁ...あれ、プロポーズじゃなかったの？」 「ちょ、ちょっとぉ...どれ？　どれの事？」 「『勇輝の過去も未来も全部引き受けるから、だから俺のモンになれ』って言われたよ？」 「うわ...すごいすごい...その言葉！　なんかめっちゃ感動する。俺もそんなん言われたい！」 「ああ...言ったね、言った。うん、確かにあれ、俺からの精一杯のプロポーズだわ」 「みっちゃんは？　なんか勇輝くんから言われたいプロポーズの言葉って無いん？」 「だったら俺ももう、最高の言葉もらってるもんなぁ...プロポーズとはちょっと違うかもしんないけど」 「えーっ、どんなんどんなん？」 「『一人にしませんか？　みっちゃんの手を取ったら、もう寂しくて一人には戻れない』って。もうさ、一生コイツ大切にする！って胸とチンコが熱くなったからね」 「......無理に下ネタで慎吾に対抗しようと思わなくていいから」 「だってマジだもん。で、『最高に美味しい朝御飯食べさせてくださいね』って言われて、もうそっからは頭の中勇輝とエッチする事でいっぱいになったからね。だから俺らはすでにプロポーズ済みって事で...問題はそっちじゃないの？」 「航生はもう、それっぽい事言ったの？」 「あ...いや、えっと...好きですとか、大切にしますとは毎日のように言ってますけど...」 「なんせこいつら、人前でいちゃつくのは平気な癖に、変なとこ遠慮しいで奥手だからなぁ...セックスしまくりの爛れた毎日を過ごしていながらお互いに告白もしてなかったとかさぁ」 「ちょっ、ちょっとぉ...それ言わないでくださいよ......」 「みんな、ドン引きしない？　お互い猛烈な一目惚れで、初対面の日からずっとこいつ慎吾の部屋に転がり込んでセックス三昧だったのに、お互いがお互いに気を遣ったり不安だったりで、好きだって一言も言わないまま一週間以上過ごしてたんですよ～」 「だからっ！　だからですねぇ...今はもう、ちゃんとなんでも言葉にして伝えてますってば。それに、言わなくてもわかるだろうとか俺が思ってても、慎吾さんたら急に俺の気持ち不安になったり、俺らの関係心配したりするから...だから、今はできるだけ言葉で気持ち伝えてます」 「うん、プロポーズとかそんなつもりは無いやろうけど、昨日の夜言ってくれたんとかめっちゃ嬉しかった。泣きそうやったんやで」 「え？　コイツ何言ったの？」 「『最初の男なんかより、最後の男になりたい』って。最初なんてどうでもいい、最後に自分といてさえくれたらそれでいいって言ってくれた」 「......それ、すっげえ大事な言葉だよな......」 「そうだな。俺らみたいな仕事してたら、余計に大事なんじゃない？　だってさ、どれだけ違う人間抱いても抱かれても、そんなの関係なくちゃんと帰れる場所があるって事だろ？」 「航生、やるな。つうか、それって立派にプロポーズじゃないの？」 「...えっ？　い、いや...これは別に、ただ俺の気持ちを伝えただけで...プロポーズはまた別にちゃんと考えてるんで......」 「もうさあ、せっかくこういう質問もらったんだし、ここで公開プロポーズとかしちゃったら？」 「楽屋での一件もあって、今なら慎吾、お前にすげえ惚れ直してるぞ。ほれ、言葉考えてるくらいとっくに気持ちは固まってんだろ？」 「えーーーっ！　い、いや、でも...それは...ほら、質問の趣旨とも違うし......」 「違わないだろ。言われたい言葉じゃなくて、『言いたい言葉』ってだけじゃん」 「勇輝くんっ！　そんなん、無理矢理言わせる事ちゃうから！」 「何、プロポーズすんのは無理矢理なのかよ？」 「違いますってば！　ああ、もうっ！」 「ちょっと、航生くん...な、何？」 「はぁ......ほんとは今度、ちゃんと指輪買ってから言おうと思ってたんですけど......慎吾さん、これからずっと、俺と一緒に夢を追っかけてもらえませんか？　それから、慎吾さんの夢を...俺も隣で一緒に見てもいいですか？」 「......」 「ほらぁ、ちゃんと答えてやれよ。航生、あんなにガチガチになって...あれ、本気だぞ？」 「わかってる...わかってるよ...ごめん、航生くん...なんか俺、今上手い事...言われへん......」 「今慌てて返事しなくて大丈夫ですよ。ゆっくり考えて...」 「なんも考えへん！　考える必要なんてあれへんやん！　昨日言うたやろ？　航生くんの夢もこれからの事も、いっぱい話そうって。俺もその夢に一緒におってええんやろ...ずっと夢追っかけててええんやろ...？　俺、夢なんて無かったよ、毎日面白うに生きてられたら良かってん...でも、航生くんと一緒に夢追えるんやろ？　んで、俺の夢も見つけてくれるんやろ？　俺、ずっと航生くんと一緒におってええんやろ？」 「勿論です。ずっと俺と一緒にいてください」 「いてる、いてるよ...俺、航生くんの隣にずーっとおる。ううん、いさせてください」 「おおーーーっ、皆さん、ちょっとすごい現場に立ち会ったよ！　航生も慎吾も、これだけの人の前でこんな大切な告白したんだ。色々あっても遠慮しないでちゃんと話し合って、お互いの事ずっと大事にしろよ？」 「......はい、勿論」 「今度一緒に指輪見に行こうね」 「というわけで陽向さん。言われたいプロポーズの言葉じゃなくて、本当のプロポーズになっちゃいました。ごめんね」 「あ、じゃあそろそろ時間が無くなってきたみたいだし...次で最後の質問にしようか」