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「上手にイけたね」
「千尋。これスポンサーからの提供品。まだ渡してなかったよね」
「提供品?」
「オモチャ会社なんだけどお互い貢献し合ってるから、よくサンプルとか送ってくれるんだよね。どれがいい? 色もたくさんあるから選び放題だよ」
「ちょっ、ちょっと待って待って!」
佐伯さんの手で机の上に次々と並べられるソレに慌てて挙手。
「俺彼女居ないんだけど!」
「うん。知ってるよ? 半年くらいフリーなんだってね。そろそろ寂しくない?」
「うっさい!」
「あ、この黒とかどう? エロくない?」
「だから俺彼女居ないんだって! そんなんいらない!」
並べられたのは色とりどり、大きさも様々なローター。
至ってノーマルな彼女と至ってノーマルな性生活を送ってきた俺にははじめましてな物だけど、名前と用途くらいは知っている。
「え? 別に彼女じゃなくたって、自分で使えばいいじゃん」
「俺男なんだけど!」
決して男の性行為の為に使う物では無い事も知ってる。
と、思っていたが……。
「え……? まさかローターは女の子専用の物だと思ってる?」
「え? ち、がうの……?」
どうやら俺の狭い世界の小さな常識は、ここでは何の役にも立たないらしい。
「うん、いいよ千尋。無知は最高」
「ちょ、何それどういう意味……」
「まあ少しずつ学んでいこうよ」
パッケージに入った新品のそれを取り出す佐伯さん。コードの先に付いた丸い方を手渡され、恐る恐る受け取る。
「名前は知ってるよね?」
「ロ、ローター……」
「正解。オモチャの定番だよね」
――ヴヴヴ……
「ッ!」
突然震えだしたそれにビクリと肩を揺らす。想像していたよりもハッキリと強い振動にびびる俺に、スイッチを持つ佐伯さんがクスクスと楽しそうに笑った。
「ちょ、からかわないで……っ!」
「女の子はクリに当てると気持ちいいらしいね」
「え……わっ、」
トン、と軽く肩を押され、抵抗する間もなくベッドに倒れ込む。
視界には、天井と、ニコニコ笑う佐伯さん。
「では、男の子はどこに当てると気持ちよくなるでしょう……?」
ぞくり、身体の奥が疼いた気がした。
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