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――ヴヴヴ……
「ここは?」
細く長い指先が俺の首筋を撫で、振動するローターを軽く押し当てる。
「ん、くすぐったい……」
「首筋、弱いんだ」
ローターが離れていくと同時に、当てられていた部分にちゅ、と唇が落とされ、思わず息を詰める。
「次……ここは?」
「や、だから俺女じゃないって!」
「ふふ、知ってるよ」
次に佐伯さんが手を伸ばしたのは俺の乳首。
気持ちいい訳が無い。女と違って何の魅力も無い真っ平らなそこにある、ただの飾りみたいなもん。
「今まで付き合ってきた子とかに触られた事無いの?」
「無い。ある訳ない」
「じゃあマジでノーマルなお付き合いだったんだね。いい子いい子」
言いながらも佐伯さんの指先は俺の乳首をいじりまくっていて。
気持ち良くは無い。くすぐったい。恥ずかしい。そう、恥ずかしいんだ。こんな所触られた事なんて無いし、触るもんじゃないから、凄く恥ずかしい。
「気持ちよく無いみたいだね」
「当たり前じゃんか! そんなとこ……あ、やっ、んんっ!」
――ヴヴ…
指先で散々いじり回された乳首に当てられたローター。先ほど首筋に当てられた時より強い振動に、思わず身をよじる。
「こら、逃げないの」
「やあ……ちょ、マジ卑怯っ。振動強くしな、あっ!」
「これさっきと一緒だよ?」
ほら、と見せられたスイッチ。ダイヤルは弱のまま。
「へ……うそ、」
「千尋はここ感じるって事だね。どんどん開発してこうね」
「か、開発って……」
耳に入った恐ろしい単語に青ざめるが、佐伯さんはニコニコ笑うだけ。さらにたちの悪い事に、その笑顔のまま俺の下半身に手を伸ばす。
「っ! あっ…、」
慣れた手つきでジーンズを脱がされ、下着の上から当てられたローター。鈍い振動が気持ち良くて、ゆるゆると勃ち上がりかけたモノを自ら押し付けてしまいそうになるのをぐっと耐える。
そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、クスクスと楽しそうにローターを動かす佐伯さん。
「下着、濡れてきたね」
「言わな、いで……」
「気持ち悪いでしょ? 脱いじゃおっか」
「ん……っ、」
晒された自身はもう先走りでドロドロで、それを佐伯さんの長い指が数回扱く。
――ヴヴヴ…
「っああンっ、んあぁ、っ……」
裏筋に当てられたローターの刺激に耐える暇も無く射精してしまい、佐伯さんが楽しそうにクスリと微笑んだ。
「ふふ、上手にイけたね」
「はあっ、んっ、ああん……んぅ……」
ヤバい。気持ち良かった、かも。スイッチの切れたローターで裏筋を優しくなぞられ、もどかしい刺激に息を吐く。精液を絡め取ったローターはぬるぬると自身を滑り回り、やがて亀頭まで辿り着いて。
「でもね、これもまだ“弱”なんだよ?」
なんとなく意識して追っていたその動きがふと止まり、不思議に思って目を開く。
「……あ…、……やっ、」
この目は、ヤバい。
「“強”にしたら、どうなるんだろうね……?」
「やあっ! だめっ……ひっ、ッあああアっ!」
慌ててスイッチに伸ばした手が空を掴む。
先ほどより遥かに強い刺激から逃げようとするがそれも叶わず。
「ああっ! ひっ! やああぁアっ……ッ!」
――ヴヴヴヴ
「やぁあっ! も、イったの! ンあぁッ! イったのにいいぃっ! やあああっ!」
もがく俺を押さえつけながらローターを離してくれない佐伯さん。
果ててもまだ終わらない快感に頭が真っ白になる。
「やああンっ! んッ! ああっ! もおやだああっ!」
「気持ちいい?」
「やぁアっ、むり……! もうっ、アああっ! んああっ、やああァあッ!」
「ねぇ、気持ちいい?」
「ひああァっ! きもち、いっ! あああっ!きもちッ、からああァ……!」
佐伯さんの腕にすがりつきながら、訳も分からないままガクガクと頷いているとやっとローターが離れていき、いきなり無くなった刺激にまた小さく白濁が零れた。
「あああっ、はあっ、やああっ……んう、はあ……」
「ふふ、可愛い」
「ん、はあ、……ん……」
「ほらね、女の子じゃなくてもちゃんと気持ちよくなれるでしょ?」
肩で息をする俺の目元にちゅ、とキスを落とす佐伯さん。相変わらずクスクスと楽しそうにしていて、ムカついて思いっきり睨みつける。
が、それも可愛い、と眉間の皺にキスを落とされて、もうどうでもよくなって眠気に身を任せた。
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