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大嫌いな、バックの体位。結合部を下からアップで撮られるから、恥ずかしくて大っ嫌い。さらにろくに馴らしもしないまま繋がって。もうマジで最悪な状況な筈なのに、もうマジで最高に気持ちいい。
「はあっ! あああっ! 千尋くん、イイよ、イイよ!」
「あぁッ、イ、く……イっ……やッ! あぁンっ!」
どくり、溢れ出た白濁を手に絡め、そのまま扱く男優さん。イったばかりでもまだ萎えていない俺のそれは、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音をたてる。
「はあっ……イっちゃったね、ちゅぱっ、はあっ、ねぇ、気持ちよかったの?」
「やっ、やああっ、耳、みみっ! やあアっ!」
「はあっ、みるくいっぱい出たね。んっちゅぱちゅぱっ、気持ち良かったんだね」
くちゅくちゅと唾液たっぷりの舌で耳を舐め回されて、全身が震える。
ああ、やばい、やばい。気持ちいい。どうしよう。全部気持ちいい。
「ああっ、ああアん……、もっ、やあっ…やああぁっ!」
また始まったピストンに腕の力が抜け、尻を突き出す格好で喘ぐ俺。それに覆い被さって獣みたいに打ち付けてくる男優さん。
長さが短い上に、腹の肉が邪魔をして、奥まで届いてはくれないソレがもどかしい。
「はあっはあっ、気持ちいい? ねぇっ、はあっ、気持ちいいの? はあっはあっ、おちんちん気持ちいいのっ?」
「ああっ! きっ、もちいっ! んっ、いっちゃ、あああアぁ…!」
何でだろう。そんな小さいモンじゃ全然足りないのに。もっと奥まで突いて欲しいのに。
そんなん関係ないくらい、全部気持ちいい。
結合部からぐちゅぐちゅと聞こえる水音も。短い指に扱かれて先走りが溢れ続けるモノも。耳元をベロベロと舐めまわす厚い舌も。そこから俺の顔に伝わって落ちる唾液も。全身に絡んでくるぶにぶにした身体も。
全部が気持ちいい。全部に興奮してる。
「やああアっ……だめ…っ、イ、く、うぅっ!」
「はあっはあっ、おちんちん気持ちいい? 気持ちいいの?」
「きもちいっ、ああン……、きもち、いっ!」
「はあっ千尋くん、イクよっ……! イクっイクイク、ああああっ!」
「やあぁアっ、イくっ、う、ンあぁあっ!」
射精の脱力感で完全に力の抜けた身体が、がくんとシーツに落ちて。密着したまま一緒に覆い被さってきた男優さんがくちゅくちゅと舌を絡めてくる。
「んんっ、ん……あ……?」
気だるい体で必死にキスを受け入れているところでやっと右手の違和感に気付いた。
あれ……? 何でだ俺、佐伯さんの手、握ってる。いつから?
「んむ、んん、……ン……」
「……」
男優さんにキスされながら、視界の隅で佐伯さんと目が合う。その片手は俺のせいで塞がっていて。
どうしよう、撮影の邪魔しちゃった。ごめんなさい。そう伝えようと言葉を発する前に、意識は完全に落ちていった――……
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