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「っ、ん……ふ、う……」  これ、物足りない。誰かに触って貰った方が何倍も気持ちいい。頭ではそう答えが出ているものの、伸ばされた右手は止まらずに自身を扱き続ける。  普段の撮影でのカメラやスタッフさんの存在は、俺を緊張させてスムーズな行為の妨害をするだけの物。  でも今回は逆。カメラがある。佐伯さんが見ている。そう思えば思う程熱く火照り、興奮してくる身体。 「っ……はあっ、んっ、あっ……んんっ……!」  アップ用のカメラによく見えるように一度目の射精。ぐったりとシーツに沈み込もうとする身体をなんとか支え、右手をゆるゆると動かしたまま佐伯さんの合図を待つ。 (精液…すげぇ飛んでる…)  シーツに飛び散った白濁をぼんやりと目で追う。佐伯さんは俺の事淡白って言ったけど……まあ昔の俺は確かにそうだった。どっちかっていうと、エロい事とかも嫌いな人間だったし。  でも今の俺は、多分違うんじゃないかって、そう思う。 「ん……」  視界の端で捉えた佐伯さんの合図に、やっと身体を倒して寝転がり、枕元のローターを引き寄せる。  撮影用に改造されたそれは、強弱を決めるダイヤルも無く、常に小刻みな強い振動と、カメラにも届く大きな音。  スイッチを入れて、恐る恐る自身に手を伸ばす。 ――ヴヴヴ…… 「ッあああ、!」  強い刺激に、反射的に逃げてしまう手をなんとか抑え、ローターをぎゅっと握りしめる。どうしよう。怖い。気持ちいいのに。怖い。  人生2度目のローター。思い出せ。前使った時のこと、思い出せ。  あの時の、佐伯さんの指の動き、思い出せ。 「…っ…あっ、んんんっ…!」  自身を優しく撫でてから、ゆっくりとローターを滑らせる。びくびくと跳ねる身体をシーツにしっかり押し付けながら、溢れる先走りを指先に絡めて。 ――ヴヴヴ…… 「やあっ…! ッ、あっ、あああっ!」  涙でぼやけてきた視界に、記憶がより鮮明に蘇り、目を閉じてそれに浸る。  佐伯さん、佐伯さん、  ぐちゅぐちゅと、卑猥な水音が頭に響く。佐伯さんだったら、ここでキスしてくれる。長い指で、俺のを優しく扱いて。目尻に溜まった涙を舌で掬い取って、可愛いって笑って。  そして、クスクス肩を揺らしながら、亀頭にローターを押し付けて、 『いいよ、イこうか、』 ――ヴヴヴヴ 「っやああっ、ぁぁあんっ!」  ほらね、さっきより気持ちよくイけた。むずむずとヒクつき始めた後孔は余計だけど。 「はあっ……ん、はあっ……」 「うん、OK。お疲れ様」 「んん、お疲れ、様です……はあっ、」  ぐったりとシーツに沈みながら息を整える。と、ベッドに上がってきた佐伯さんが枕元に放置されていたエロ本を覗き込んで。 「へー。千尋こういうお姉さま好きなんだ。ちょっと意外」 「あ、ううん、違うの。エロ本なんて途中から存在忘れてた……」 「確かに眼中には無かったね。でも凄いじゃん。どうやってスイッチ入れたの? 俺てっきり長丁場になると思ってたから、すんなり勃たせてくれて驚いたよ」 「あっ……えっと……、頑張ったの」 「ふふ、そっか。頑張ったのか」  急に恥ずかしくなりシーツにくるまった俺の頭を、お疲れ様、と優しく撫でてくれる佐伯さん。  あなたのその手で抜きました。なんて、言えるわけ無いじゃん。

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