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違和感
『もしもし。今日も来れる?』
「すみません。今日午後から撮影入ってて……」
『そうなの? 丁度良いね』
「へ? 何がですか?」
『とにかくおいでよ。待ってるから』
「あっ、えっと……はい……」
――ギシ、皺ひとつなくピシッと張られたシーツを汚さないように、ベッドの端っこに座って大地さんを待つ。
会うのは今日で4回目。
今までいくつかのテクニックを学び、今日とうとう撮影で実践しようと意気込んでいた時にまた呼び出された。
何か準備でもしているのか、なかなか戻ってこない大地さん。待っているだけで特にする事も無く、手持ち無沙汰に部屋を見渡す。
荷物や無駄な物は一切無く、モデルルームのようにシンプルに整頓された部屋。
2LDK。家賃は13万と言っていた。学生が住むにしてはちょっと生意気すぎるような綺麗なマンションだが、外観に伴って綺麗に整頓された部屋はこの寝室だけで。他の部屋も風呂もトイレも玄関も。お世辞にも綺麗、とは言えないような荒れっぷり。
何で寝室だけこんな綺麗なんだろう。なんて心底失礼な事を考えていると、ふと部屋の隅の何かに気付いた。
(あれって……カメラ……?)
見覚えのある小さなソレになんとなく天井を見上げれば、ご丁寧に四隅全てにもきちんと設置されている。今まで全然気付かなかった。でもなんでカメラが……
「お待たせ。始めよう」
「あっ、はい。お願いします」
かすかに浮かび上がった疑問は、やっと現れた大地さんの姿に一旦薄れ、その手にあるビデオカメラを目にして完全に消え去った。
そういえば、よりリアルな勉強のためにと、いつもビデオカメラを回してくれていたっけ。実際にテープが入っているかは知らないが、きっと部屋中の定点カメラもリアルさのひとつなのかも。
そう納得してベッドから立ち上がった。
「あの、今日本当にあまり時間取れないんですけど……」
「大丈夫大丈夫。すぐ済むからさ。はい、これ舐めて?」
「ローター……?」
目の前に差し出されたそれに首を傾げながらも素直に従う。が、すぐにピシャリと軽く手を叩かれて。
「ほら違うよ。舐める時はもっと音たてて……」
「ン……んむ、んん」
「そうそう……いいよ……」
もごもごとローターを頬張り唾液を絡める。
わざとらしい水音をたてながらしばらくそうしているとやっと満足してくれたのか、カメラを構えながらローターのコードを引く。
「んッ……」
口内から引っ張り出されたローターが卑猥に濡れて光る。目の前でゆらゆらと見せつけられるそれが恥ずかしくて、慌てて顔を逸らした。
「恥ずかしがっちゃ駄目だよ。もっと物欲しそうにしなきゃ~」
「も、物欲しそうって……そんなのわかんない……!」
「まあまた今度教えるよ。さ、これ中に入れて。スイッチは切ったままでいいから」
「は、はい……」
ベッドの上で膝立ちになり、ジーンズと下着をゆっくり下ろす。
さらけ出された下半身はもちろん何の反応も無いままで。通常時の自身をカメラで舐めるようにじっくり撮られ顔に熱が集まった。
「ん……っ、」
慣らさないままの状態だったけど、唾液で濡れたローターは難なく秘部に飲み込まれていき、一部始終を撮り終えたカメラもあっさり離れていく。
「ヨシOK。じゃあそのままパンツ履いていいよ。リモコン邪魔だと思うけど我慢してね。あ、スイッチは切ったままね」
「え?」
何もしないの……?てっきりロータープレイが始まるもんだとばかり思っていたから、あっけなく終わった今日の“勉強”に目を丸くする。
大地さんはそんな俺を放置したままさっさとカメラを片付けて。
「時間まだ大丈夫だね。車で送っていくよ」
「は、はい。ありがとうございます」
しばらくポカンと呆けていたが、コートを羽織って微笑んだ大地さんに、俺も慌てて動き出した。
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