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「大地さん……助けてくれて本当にありがとうございました。最後まで勝手でごめんなさい……」  泣きはらした真っ赤な目と、涙でぐちゃぐちゃになった顔で頭を下げる。しばらく無言でそれを見つめていた大地さんだが、おもむろにノートパソコンを開きながらゆっくり話し出す。 「……別にさあ、終わりにする必要は無いんじゃないの? 俺達うまくやっていけると思うよ?」 「……ごめんなさい」 「でもほら、今時セフレなんて責められる事じゃないよ? 他の男優達だって簡単にヤれたって噂頻繁に聞くし」  セフレ。大地さんにとってはそういう感覚だったんだ。  何も言えずに押し黙ってしまっていると、大地さんはそんな俺に痺れを切らしたように怒鳴り声を上げる。 「っ、お前が……、お前がなんて言おうとなぁ! 今更後には引けないんだよ!」  フローリングに叩きつけられたパソコンにびくりと肩を揺らして、深く深く頭を下げる。  そして、その画面に映し出された何かに気付いた。 『ゲイビ男優C完全調教ブログ』 「……え、」  一瞬頭が真っ白になり呆然と立ち尽くすが、トップに貼られた画像は間違いなく自分の物で。それを見て弾かれたようにパソコンに飛び付く。 「なに、これ……何……、」  調教1日目。完全飼育日記。モザ無しアルバム。リクエスト可。ムービー有料制。使用済みオモチャ販売開始。  次々と目に入る単語を呆けた頭でなんとか追っていく。  そこでやっと気付いた、あの綺麗すぎる寝室と何台ものカメラの“意味”にめまいを起こし、強い吐き気に口元を押さえる。 「……謝罪しろ」 「……な、に……」 「アクセス数どれ程あると思ってるんだ! 今すぐ謝罪しろ! 中継で流すから!」  フローリングに座り込む俺の肩を激しく揺さぶりながら怒鳴る。  何が起こってる? 信じられない。何もかも。  嗚咽をこらえながら唇を噛み締めていると、ふとその手がピタリと止まり。 「そうだ……それより公開SEXの生中継がいい……」 「……っ……」 「ほら来いよ! 俺のが欲しくてたまんないだろ!? お前は淫乱だもんなあっ!?」 「っ、やっ……やぁあっ……!」  泣きじゃくる俺をずるずると引きずって寝室へ向かおうとする。  嘘だ。こんなの、嘘だ。大地さんはそんなことする人じゃないもん。いつも応援してくれたもん。こんなの、いやだ、  必死で抵抗していると大地さんの舌打ちが聞こえ、ついに右頬に走る痛み。バキッ、鈍い音をたてて殴られたそこを押さえてうずくまる。 「……クソがッ! 出てけ! さっさと出てけこのアバズレが!」 「っ……あ、ぅ……」 「お前なんか最初から性欲処理としか見てねぇんだよ! 消えろ! 死ね淫売!」  半狂乱に叫び散らす大地さんの姿にまた涙が溢れ。  逃げ出すように部屋を飛び出した――……

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