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「みるくちょーだい?」*

「ちいちゃん喉かわいたあー」 「ん、そうだね。ココア作るねー」 「やだあっ!」 「えー? だってアヤコーヒー飲めないじゃん。うちにはあと牛乳と麦茶くらいしか……」 「んっとね、アヤちいちゃんのみるく飲みたいっ!」 「ちいちゃんのみるくは飲み物ではありません」  どうしてこうなった……。休みが重なったアヤと、いつも通りゲームやお喋りを楽しんでただけなのに。 「はちみつ味のローションにしよーっ。これねー、甘くて美味しいから好きなんだあっ」  バッグから黄色の可愛いボトルをうきうきと取り出して、片手で器用にキャップを外すアヤ。  おもむろに俺の手を取り、軽くボトルを傾けて指先にトロリとローションを垂らす。 「はいっ。ちいちゃんも味見してみて?」 「う……」 「んにゃ?はちみつ好きでしょ?」  はちみつは好きだけどローションは好きじゃないです。  たじろぐ俺の目の前に差し出される、濡れた自分の指先。アヤの上目づかいに後押しされ、恐る恐る舌先でちろりと舐めてみる。 「あ、甘い」 「えへへ~っ。美味しいでしょっ?」 「うん。味は本当にはちみつみたい」 「でもでもちゃんとローションなんだよ~っ」  もう一度垂らされたそれが、指先から溢れてゆっくり糸を引いてシーツに落ちる。なんだか卑猥な光景に思わず顔を背けると、ふと手を取られ。 「アヤも味見するーっ」 「ちょっ、アヤ……、」  そのまま俺の指先をパクリとくわえるアヤ。  慌てて手を引こうとするが、がっちりと掴まれて。 「……っ……んっ、」 「んっ、ちいちゃん指も性感帯なんだね。アヤ感じないから羨ましー……ちゅ、んむ……」 「っ、あッ……アヤ、止め……、」  ぴちゃぴちゃと水音をたてて指先に絡む舌。びくりと肩を揺らして俯く。下半身が熱くなるのを感じてシーツをぎゅっと握りしめた。  そんな俺にアヤはくすりと笑みを零し、優しく唇を重ねて。 「ちいちゃん……、」 「ンむっ……ん、ン……」 「ン、んぅ……ねぇ、みるく……ちょーだい……?」  ふわり、シーツに押し倒される瞬間、甘い香水の香りがした。  甘い甘い、アヤの香り。

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