91 / 118

2 *

「んっんんぅ……」 「……ン……、」 「ぷはっ、はあっ、んむ、んっ……、」  熱い手で下半身を弄られ、悶えて逃げようとしても重なる唇と絡む舌は離れてくれず。  唇の端から零れる熱い唾液が身体を伝ってプールの冷たい水に溶ける。  息継ぎを待ってくれる時間はだんだん長くしてくれているけど、それでも俺には全然足りなくて。 「んっ、ひあっ、んんぅッ……」 「中、熱い……、」  水中で水着を下ろされ、後ろに佐伯さんの指がゆっくり入ってくる。自分でもヒクつくのが分かるくらいに疼いて柔らかくなっていて、二本目もあっさりと挿入されて。  二本の指がばらばらに動く度にプールの冷たい水が中に入り込んできて。  酸欠状態でボーっとした頭のまま、目の前の身体に必死にしがみついた。 「これ好き?」 「あッ、わかんなっ……なんかっ、変っ、」 「そう? めっちゃ硬くなってるけど」 「ひっああぁっ、」  ぐり、先端を爪で抉られ、耐える間もなくイってしまう。途端に我に返って、慌てて佐伯さんの胸を押し返した。 「待って! イっちゃった!」 「ふふ、知ってる。どうしたの?」 「プールだよ! 水汚れちゃった!」 「ああ、気にしないで」  気にするに決まってんじゃん!  どうでもよさそうに答える佐伯さんに目を丸くしていると、俺の顔を見てクスクスと笑みを零す。 「ここ循環式だし、それに明日撮影で使う時どうせ塩素大量にぶっ込むし」 「あ、ああ……なるほど、」 「それに、千尋プールでヤんの結構好きみたいだし……?」 「……っ、」  中をぐるりとかき混ぜられ、熱い指と冷たい水と熱い壁がごちゃごちゃになる感覚。  背筋をゾクゾクと走っていく快感。 「んっ、あッ……、」  指を引き抜かれ、後ろにあてがわれた熱が、ゆっくりと中に押し込まれていく。  片足を上げられているのと水の浮遊感でうまくバランスが取れなくて、佐伯さんにしがみつく。 「……動いていい?」 「んっ、」  俺が頷くのを確認してから、熱がゆっくりと動き始める。  それと一緒に冷たい水が中に押し込まれていく感覚がして。密着して熱くなった身体を、内側から冷やされていく。 「……大丈夫? 気持ち悪くない?」 「んっ、うん、へいきっ、だよ……?」 「良かった」  ほっとしたように動きを再開する佐伯さん。  なんかやけに慎重だな。これ苦手な人そんなに多いのかな?  てかそんな分析出来るくらいの人数とプールHしてきたのかよ。  俺は初めてなのに、なんか悔しい。 「ヤリチンが」 「ちょ、いきなり何」 「なんでもない」 「もーさっきから誘ったり甘えたり拗ねたり可愛いなお前」 「なっ、うるさ……、っ、ひあぁあ、」  奥まで押し込まれた熱に思わず跳ねた腰を強く掴まれ、いきなり激しい律動が始まる。 「やっ、んっ、佐伯さ、待ってっ……あぁンっ……!」 「確かにヤリチンだったし、今だって男優としてヤりまくってるし? ああ、これは千尋も一緒か」 「やあアっ、だめっ、水がっ、中に……っ!」  激しく抜き差しされる度に、わずかに水が中に流れ込む。それでも熱は全く冷めなくて、密着した身体でさらに体温が上がる。  いつもとは全然違う圧迫感に、高い声があがる。 「でもさー、こんなに愛してんのに伝わってないって俺悲しいよ?」 「ひっあア……伝わっ、てる、からあ、あぁあンっ」 「ううん、全然伝わってないよ。だからちゃんと解るまでいっぱい気持ちよくしてあげるね」 「やああンっ、むりっ……はげしっ、ああアぁ……っ」  やっと塞がりかけていた肩の傷に、佐伯さんの爪が食い込む。  きっと血が流れたんだろう。ペロリと舌が這う感覚に、白濁が溢れ出る。 「あっああぁ、だめっ、やあぁア」 「……愛してる、」 「ひあぁッ……んっ、んんぅッ、ああぁア……っ、」  動く度に漏れる嬌声と、バシャバシャと激しい水音。  熱くて、激しくて、優しくて、気持ちよくて、少し重たくて、最高に心地良い、佐伯さんの愛情。

ともだちにシェアしよう!