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2 *
「ッんっ、ん……ッ、」
「ん……カズさんもう二回目……っ、まだ挿れてもいないのに」
「う、るせっ……ッ、」
咥内に吐き出された白濁をローション代わりに指に絡め、秘部の中をぐりぐりと刺激する。
中がいつもより熱い。感度も普段の倍は高い。ちらりと顔を覗き込めば、とろんと焦点の合わない濡れた瞳。これが媚薬の力。アヤさんには後で何か奢らなきゃ。
ぼんやりとそんな事を考えていると、中を丁寧にほぐしていた手を掴まれる。
「もうっ、いい、から……っ」
「駄目です。もう一ヶ月もシてないんです。ちゃんとほぐさないと、痛いのはカズさんですよ?」
「……てもっ、……から、」
「え?」
小さな呟きを拾い損ねてしまい、もう一度、とカズさんの唇に耳を近付けた。
それと同時に髪を掴んで引かれ、目の前にはカズさんの瞳。欲情に潤んだ、とろけそうな瞳。
「痛くてもいいから……! 早く挿れろっつってんだよ……っ!」
「カズさ、ん……っ」
「一ヶ月だぞ? その上まだ焦らすのかよ……」
「……」
目を丸くして固まる俺に、噛みつくようなキスを繰り返す。先走りの溢れるソレを、俺の下半身にぐりぐりと押し付けながら腰を揺らす。
初めて見た、こんな姿。
「早く挿れろ……っ、もう無理、だからっ…挿れろ……! 早く、」
「っ、カズさん……っ」
「ッ、アっ……!」
ぐり、と力任せに腰を進めてしまった事に気付き、すぐに我にかえり慌てて結合部を指でなぞる。
良かった。切れてない。
ほっと一安心し、その小さな刺激にもビクビクと身体を震わせていた可愛い恋人を抱きしめる。
「動いて、いいですか……?」
「っ…! 早くっ……」
首にしっかりと腕を回される。汗で濡れた額にキスを落としてから、ゆっくりと律動を始める。
久しぶりだから、カズさんが痛くないように。ゆっくりゆっくり。
「カズさん、ごめんなさい」
カズさんの目尻に浮かぶ涙。唇を落として涙を舌で掬えば、もぞもぞと体勢を整え、開いた脚を俺の腰に巻きつける。
激しくしろ、の合図。
俺もそろそろ限界で、抑えていた筈の動きは徐々にスピードを上げていって。
「っ、っ……! 朝日っ……」
「っ、カズさんごめんなさい……」
「ん、っ、んっ……!」
恋人の身体をいたわる事も出来ない自分の余裕の無さ。
ぎゅっと目を閉じて小さく謝罪をしてから、カズさんの腰を掴んで思いっきり打ち付けた。
「くッ、っ、んん…ッ、」
「……っ、キツ……」
「、んっ、く……っ」
強い締めつけに、一瞬イきそうになるのをなんとかこらえて律動を続ける。
ギシギシとスプリングが軋む。
肌と肌が激しくぶつかり合う音が室内に響く。目の前にさらけ出された喉に吸い付き、紅い印を残す。
「カズさん……、我慢しなくて、いいから……」
「っ……んっ、一緒、にっ……」
「ンっ……はいっ、一緒にっ、イきましょう……?」
ギリ、と首筋に食い込んだ爪に笑みがこぼれる。もうとっくに限界の筈なのに、一緒がいい、なんて。
先走りがこぼれるソレをぐちゅぐちゅと扱いてやれば、声を上げて頭をシーツに押し付ける。
真っ赤な髪がキラキラ揺れる。開いた脚がガクガクと痙攣し始めている。
愛しい。愛しい。このままずっと、永遠に、二人きりで居られたらいいのに、
「朝日……、も、無理っ、っ、う、あ……っ!」
「っ……! カズさん……っ、」
腹に熱い白濁が飛び散るのと同時に、カズさんの中で果てる。絞り取られるような締めつけに眉根を寄せつつ、数回ピストンしてからゆっくりと自身を抜く。
力が入らなくなったのか、首に回されていたカズさんの腕がどさりとシーツに沈む。
そのままぐったりと目を閉じて息を整えるカズさん。
(身体、拭いてあげなきゃ……)
無理をさせてしまった事への罪悪感から、すぐに奉仕の気持ちが湧いてきて、タオルを取りに立ち上がろうとした。
が、すぐに腕を掴まれて。
「カズさん?」
「……誰が離れろって言った」
「あ……は、はい。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げて、カズさんの隣に寝転ぶ。するとすぐに抱きつかれ、胸に顔をうずめられる。
しばらくそのまま髪を撫でていると、カズさんが小さく呟いた。
「誰が……ヤりたくねえって言ったんだよ……」
「ごめんなさい、」
「一ヶ月も放置しやがって。朝日の分際で主導権握ってんじゃねえよ。勝手に決めてんじゃねえよ、」
「うん。ごめんなさい。俺は、カズさんといっぱいシたいです」
抱きしめられる力が強くなる。
だから俺もそれ以上に強く抱きしめる。
顔は上げてくれないけど。視線は絡まないけど。それでもカズさんに伝わるように、優しく微笑んで優しくそう答えれば、安心したように小さく頷いて、やがてすやすやと寝息に変わる。
「カズさん……愛してます……」
真っ赤な髪にキスを落として、俺もゆっくり目を閉じた。
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