115 / 118
3
「媚薬……? ハーブとか?」
「んにゃっ!?」
「シュン君ハーブなんて古いーっ! 今はリキッドだもんネー?」
「にゃ、にゃにゃっ!?」
頭にハテナを浮かべるアヤを放置して、目の前の二人――佐伯さんと伊織は勝手に納得して話を進めていく。
「ああ、なるほど。あれってどうなの?」
「ンー。物によっちゃ媚薬代わりになるんじゃネ?でも俺的にはァー……」
「ちょっと待ったあ! 不愉快な勘違いやめてくんない! アヤ薬とか興味無いし手ぇ出しません!」
目の前の机をバン、と叩いて抗議。
このままヤク中扱いされたらたまったもんじゃない。
「あれー? 違うノー?」
「じゃあ媚薬って?」
「リキュールにバニラエッセンス混ぜただけ! 至って健全な物です!」
トン、と机に小瓶を置けば、二人は揃って眉根を寄せる。
「何ソレー? 媚薬でも何でもないジャン」
「わ、甘い匂い。確かに媚薬って言われたら信じるかも」
「あー飲んだらアルコールでクラクラするしネー」
「そ。そんなのただの興奮材料。媚薬だって信じて飲んだら、それは本物の媚薬に早変わりーっ。みたいなぁ?」
わざとらしく小首を傾げてにっこり笑えば、目の前の二人はクスクスと肩を揺らす。
「興奮材料……良いね。千尋に使ってみよーっと」
「にゃっ! アヤも混ざるー!」
「シュン君シュン君! 俺も混ざるー!」
「お前らうざい死ね」
朝日達、うまくやってるといーなっ。
せっかく恋人っていう大切な存在がいるのに、身体が離れてたらいつか心まで離れちゃうよ。
そんなのアヤが許さないっ。
ともだちにシェアしよう!