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「媚薬……? ハーブとか?」 「んにゃっ!?」 「シュン君ハーブなんて古いーっ! 今はリキッドだもんネー?」 「にゃ、にゃにゃっ!?」  頭にハテナを浮かべるアヤを放置して、目の前の二人――佐伯さんと伊織は勝手に納得して話を進めていく。 「ああ、なるほど。あれってどうなの?」 「ンー。物によっちゃ媚薬代わりになるんじゃネ?でも俺的にはァー……」 「ちょっと待ったあ! 不愉快な勘違いやめてくんない! アヤ薬とか興味無いし手ぇ出しません!」  目の前の机をバン、と叩いて抗議。  このままヤク中扱いされたらたまったもんじゃない。 「あれー? 違うノー?」 「じゃあ媚薬って?」 「リキュールにバニラエッセンス混ぜただけ! 至って健全な物です!」  トン、と机に小瓶を置けば、二人は揃って眉根を寄せる。 「何ソレー? 媚薬でも何でもないジャン」 「わ、甘い匂い。確かに媚薬って言われたら信じるかも」 「あー飲んだらアルコールでクラクラするしネー」 「そ。そんなのただの興奮材料。媚薬だって信じて飲んだら、それは本物の媚薬に早変わりーっ。みたいなぁ?」  わざとらしく小首を傾げてにっこり笑えば、目の前の二人はクスクスと肩を揺らす。 「興奮材料……良いね。千尋に使ってみよーっと」 「にゃっ! アヤも混ざるー!」 「シュン君シュン君! 俺も混ざるー!」 「お前らうざい死ね」  朝日達、うまくやってるといーなっ。  せっかく恋人っていう大切な存在がいるのに、身体が離れてたらいつか心まで離れちゃうよ。  そんなのアヤが許さないっ。

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