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2 *
「あッ、ああっん……っ、佐伯さっ、待って……あアっ!」
シーツに押し倒されて、無理やり服を剥ぎ取られて、全身を舐め回される。
大きな水音をたてながら俺の秘部に顔をうずめる佐伯さんには、もう俺の声なんか届いてなくて。
興味本位で伊織さんからクッキーを受け取ってしまった事を後悔する反面、普段じゃ見られないような佐伯さんの余裕の無い姿に、なんだかとても興奮している自分が居た。
ぐちゅ、
「ひっ、あっあぁ……っ」
中を探る指を増やされ、ビクビクと脚を痙攣させながら吐き出した白濁。それをすぐに水音をたてながら舐め取られ、羞恥で顔が赤く染まる。
「……こら、隠さないの」
「やっ……、んんぅっ……!」
顔を隠そうとした腕を掴まれ、唇が重なる。
どろり、唾液と一緒に口移しされる液体。
「ン……これね、千尋の精液。美味しい?」
「っ、ゲホッ! ゲホッ!」
「あーあ、吐き出しちゃった。もったいない…でもまだたくさん出るもんね?」
「ああンっ……! やあっ……ああぁ、っ」
少し冷たい綺麗なあの指が、前立腺をぐりぐりと刺激する。
ジタバタ抵抗する脚は限界まで割り開かれ、背中を駆け上がってくる射精感にゾクゾクと身体を震わせる。
が、イく寸前にその指を抜かれ、代わりに後孔に押し付けられる熱いソレ。
「っ、」
「挿れるよ、」
「っ……、う、あっ…あぁあッ!」
奥まで一気に貫かれ、自分の嬌声が頭に響く。
「あアっ……! あんっ、やっ……、待って……ッ、あぁン!」
「無理。待てない、」
「っ、あぁぁあっ……! 激しっ、ッ、んんぅっ!」
いつもなら、馴染むまでゆっくり動いてくれる。いつもなら、挿れた直後からこんな激しいピストンはしない。
卑猥な音が部屋中に響く。前立腺、ごりごりされてる。気持ちいい。気持ちいい。
「だめ、っ! あぁアっ……、無理ぃ……っ! イくっ、イっちゃう、っ」
「だーめ、」
「ひ……っ、やぁあア! 手、離し、あぁあン……ッ!」
先走りを溢れさせる自身。その根元をぎゅっと掴まれてしまい、精液が身体中をぐるぐる回るような快感に、腰がガクガクと揺れる。
そんな姿を見て楽しそうに笑いながら、俺の耳元にキスを落とす佐伯さん。
くちゅり、熱い舌が耳の中をなぞる。
ダイレクトに響いた水音に、また射精感が湧き上がってくるが、今回もそれが叶うことは無かった。
「やっ……、あぁあア……っ! イきたっ、あぁあ、イくのぉ……っ!」
「ふふ、まだイっちゃ駄目だって。もっと楽しもうよ」
「やだぁっ、無理っ……、壊れ、ちゃっ、うぅ……! イかせてっ、イかせてぇっ!」
「可愛い……ねぇ千尋……、……、……」
耳をなぞっていた舌が、溢れて流れる涙を舐め取ってから、また耳元を掠める。
快楽に意識が向かい、その言葉を聞き取れない。
何。なんて言ったの。
佐伯さん、今、なんて、
『ねぇ千尋……、俺が、壊してあげようか』
トン、
何かが小さく風を切る音が聞こえた。
肩に何かが当たった気がした。
血の、匂いがした。
「ッ……!? ヒッ……、っ、ああぁぁあ!」
「あぁごめんね。ちょっと深かったね」
俺の左肩に刺さったままのナイフを佐伯さんが優しく撫でる。
頭で理解した途端に痛みを思い出した傷口と、大袈裟なくらいにガクガクと震え始めた身体。そんな俺を見て、佐伯さんは楽しそうに笑みを零す。
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