124 / 126

尿道にバイブを突っ込むお仕事の練習

※尿道責め注意 「千尋。ちょっとマニアックな仕事が入ったんだけど、受ける?」 「マニアックってどんな?」 「こちらを尿道に突っ込むだけの簡単なお仕事です」 「全力でお断りします」  はい、と手渡されたのは金属製の細い1本の棒。先に筒状の何かが付いただけの、シンプルな物。  細いと言ってもそれはただ持ってみた時の感想であって、ちんこにぶっ刺すにはどう見ても太すぎる。 「無理。絶対無理」 「なんで? 尿道お気に入りだったじゃん」 「あれはただの綿棒じゃん! これ綿棒の何倍あると思ってんの! てか別に気に入ってないし!」 「とりあえず説明するとー、」 「人の話聞け!」  テーブルの上に道具を並べ始める佐伯さん。相変わらず自由人な恋人に、こめかみを押さえながら渋々椅子に座る。 「これ尿道バイブなんだけど、太さが……」 「えっ、バイブなの!?」 「うん、ホラ、」  棒の先端に付いた筒状の太い部分。どうやらそれがスイッチらしく、押すとうっすらと聞き取れるくらいの小さな音を立てて小刻みに振動し始める。  とは言っても、触れてもかすかにしか感じない程度のかなり微細な振動。 「なんだ、全然じゃん」 「……うん、そうだね」 「え、何その間」 「いや、実際体験したらわかると思うよ」 「だから無理だってば。そんなの入んない」 「うん、だから次にこれの話になって……」  佐伯さんが仕事用の鞄から取り出したのは銀色のケース。中には金属製の棒が十数本。ずらっと綺麗に並んでいる。 「何これ?」 「尿道拡張用のブジー。この一番細い物から順々に太く慣らしていって、最終目標はバイブと同じ太さの……これくらいかな」 「え?」 「これを千尋のちんこに突っ込めるようになるまで、僕も頑張りたいと思います」 「……え?」  どうしよう。マネージャーを今すぐ変えたい。 *** 「準備出来たー?」 「む、無理……っ!」  今日から始まった『尿道拡張週間』とかいうふざけたスケジュール。  半ば投げやりにさっさと全部済ませようとしたが、実物を見るとやっぱり腰が引けてしまう。  佐伯さんがブジーと呼んでいた緩く曲線を描く銀色のソレは、用途を知らなければきっと綺麗なインテリア的な何かに見えたはず。 「今日は一番細いこれ。4mmね」 「うわぁ……ち、ちなみにあのバイブは何ミリなの?」 「7mm」 「ひいぃっ!?」  数字を聞いて恐ろしさが増す。  さらに何が恐ろしいって、ケースに並ぶブジーの中で、7mmなんて前から数えた方が早いってこと。一番太いのなんて本当にそういう用途の物なのかを疑ってしまうくらい。  でも世の中にはこの極太の金属をぶっ込んでる人もいるってことで、恐ろしすぎる世界に身震いした。 「はい、リラックスしてー」 「む、無理ぃー……」 「ふふ、大丈夫だから」  完全に縮こまってしまった我が息子。佐伯さんがクスクス笑いながらたっぷりとローションを垂らしていく。 「確か、綿棒が4mmくらいかな?」 「へ? そうなの?」 「うん。膨らんだ部分あるじゃん。あのぼわぼわした」 「あー、耳かきする部分ね。じゃあ俺4mmは経験済み……っ、ぎゃああぁぁあっ!」  話の途中にぷつりと挿入されたブジー。  まだ心の準備してないのに……!  あわあわと固まる俺に、佐伯さんがとうとう吹き出して笑った。 「笑ってないで抜いて!」 「いやいや、抜いたら意味無いじゃん。という訳で行きまーす」 「ぎゃああぁ! 入ってく! きもい! グロい! 無理っ! 無理いぃぃ!」 「ふふっ、楽しいー」 「死ね!」  尿道拡張週間初日。初ブジーの成果は4mmと5mmに終わりました。 *** 「準備出来たー?」 「……」 「え、何怒ってんの」  あの“悪魔の棒”が入ったケースを引っさげてニコニコとやってきた佐伯さんを、キッと睨みつける。  今日は2回目、3日ぶりの尿道ブジーの日。  ベッドの上。俺の隣に腰を下ろした佐伯さんに、ビシッと手を上げる。 「提案があります」 「何?」 「俺が“止めて”って言ったら、一瞬でもいいからとにかく動きを止めること!」 「えー? 前回だってちゃんと千尋のペースに合わせてたじゃん」 「どこが!」  俺がどんなに叫んでもぐいぐいと奥に突き刺し続け、挙げ句の果てに邪魔すんなと言わんばかりに両手を拘束して勝手に4mmから5mmのステージに駒を進めたのはどこのどいつだ。  胸ぐらを掴みながらそう訴えるが、目の前の恋人はへらりと笑って。 「いやー、なんか嫌がってる千尋見てるとついつい楽しくなっちゃうんだよね」 「はあ!? ふざけ……、」 「大丈夫大丈夫。今日は気をつける。じゃあ脱いで。早く脱いで。今すぐ突っ込みたい」 「早速俺のペース無視かよ!」  ケースから6mmのブジーを取り出してうっとりと眺める佐伯さんに、多分今年一の殺意を覚えた。 「ん……っ、あ……、」  ローションがたっぷり塗り込まれた先端を、金属の棒でくるくると撫でられる。  先日散々遊ばれたソコだが、1mm太くなっただけで全然違う。6mmのブジーがなかなか入らない。  尿道口をぐりぐりと刺激され続け、自身はゆっくりと勃ち上がりかけていた。 「んー。勃ってくると挿れんの難しいんだよね。どうしようか」 「んっ、ごめん……、」 「ふふ、なんで謝るの。ずっとこんなんされてたら誰だって勃つよ」 「やっ……、あぁン……ッ!」  ぐり、尿道口をブジーで抉られ、身体がビクビクと跳ねる。  クスクスと楽しそうに肩を揺らす佐伯さんを軽く睨みつける。でも、本当は怒ってないし責めたりもしない。  だって“入らない”なんていうのはただの俺の感覚で。それを無視して手足でも縛り付けて、無理やり押し込んでいく事だって出来ると思う。  でもそんな事しないで約束通りにゆっくりと俺のペースに合わせてくれる佐伯さん。  愛情が嬉しくて、手を伸ばしてぎゅっと抱きついた。 「どうした?」 「んー何でもない、」 「ふふ、甘えん坊」  クスクス笑う佐伯さんの胸に顔をうずめる。大好き。大好き。  俺の頭を優しく撫でながら、しばらくもう片方の手でブジーを動かしていた佐伯さんだが、やがてその動きが止まる。 「んー……やっぱ7mmはまだ無理っぽいね」 「どうしよう。また5mmに戻して慣らすとか………え? 7mm……?」 「そう。これ7mm」 「……え? 6mmどこ行った?」 「千尋ならちょっとくらい飛ばしても余裕かなって思って」  へらりと笑う佐伯さんの腕に、あらゆる恨みを込めてギリギリと爪をたてる。俺の乙女心を返せ……! 「爪痛い! マジで痛い! 本当にごめんなさいもうしませ……あー! 千尋見て! 入ってる!」 「はぁ!? そんな訳……ぎゃああぁ! グロい!」  意識しないのが逆に良かったのか、いつの間にか突き刺さっていた7mmのブジー。  想像以上に衝撃的な光景に、一瞬だけお花畑が見えた気がした。 「千尋ちょっと動かないでね。せっかく入ったのにまた抜けちゃうから」 「こ、怖いぃー……」 「大丈夫。今度は真面目にやるから」  さっきまでとは打って変わり、真剣な表情になる佐伯さん。最初から真面目にやれ、なんて文句をぶちまけたいが、今の俺にそんな余裕は無い。 「っ、うあ……」 「痛い?」 「う、ううん。痛くは無い、けど……」  ゆっくりと押し込まれて行く金属。  先日の5mmとは段違いの圧迫感に、ぎゅっと目を閉じながら佐伯さんにしがみつく。 「うん、大丈夫。ここまで来たらあとはすんなり入っていくんだけど……どうする?」 「な、なに?」 「自分でやる? 加減わかりやすいからラクだと思う」 「むっ、無理!」 「ふふ、了解。じゃあ駄目な時は教えてね」  コクコクと何度も頷けば、佐伯さんが笑いながら俺の頭を優しく撫でてくれた。  佐伯さんの言う通り難関は入り口付近だけだったようで、するすると簡単に奥に進んでいく。  とは言っても佐伯さんは何度も俺の自身を触りながら外側からブジーの位置を確認したり、少しずつ角度を変えて往復したり。先日とは違ってかなり慎重で。 「んー……俺も慣れてないから難しい」 「へ? そうなの? こんなの慣れっこだと思ってた」 「まさか。尿道バイブの撮影何回か担当したけど、わざわざ拡張してあげるのなんか千尋が初めてだよ」 「そう、なの……?」  優しさ? 愛情?  とにかく特別扱いしてもらってる事だけは馬鹿な俺でも理解できて。  でも、その暖かくなった心は一気に冷やされる。 「他の男優には泣こうが喚こうが本番ぶっつけで無理やり突っ込んできたし。今まで何本のちんこが犠牲になった事か……」 「ひいぃっ!?」 「犠牲って言ってもちょっと傷付いて流血とかだけどね。尿道プレイってジャンルはSMに入るから、多少事故あっても問題ないんだよね。寧ろその方が売れる。俺も流血大好き。つまりみんなハッピー」 「……」  アヤにドタキャンのテクニック聞いてこようかな……。

ともだちにシェアしよう!