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第五章・初代四界の王VS当代四界の王(※家族五人)24

「ハウスト、もっとしてください」 「ああ、何度でも」  ハウストは私に何度も口付けてくれます。  額、目元、鼻、頬、耳。たくさん口付けてくれて、嬉しくて口元が緩みました。  ハウストが私の両足を広げて体を割り込ませてくる。後孔を怒張の先端で擦られて、ぶるり、背筋が震えました。  まるで期待するかのような反応に羞恥を覚えましたが、ハウストは揶揄するでもなく嬉しそうに目を細めます。  そしてハウストは私を傷付けないようにゆっくりと腰を進めてきました。 「あ、あ……んっ、ンンッ……」  指とは比べものにならない質量が内壁を広げながら入ってきます。  充分解されていたけれど、内壁いっぱいの異物感に呼吸がうまくできない。  でも怒張が私の弱いところを擦ると、甘い痺れが走り抜けました。 「ああッ、あ、うぅッ……!」  それに気付いたハウストが私の弱いところを狙って動きだします。  奥までねじ込まれ、堪らずに背中を反らせました。 「はぁ、あんッ、んんッ……!」  逃げそうになる腰を両手で鷲掴まれてハウストが思うまま動きだします。  激しい動きに翻弄されまいとシーツを掴むと、ハウストが上肢を屈めて抱き締めてくれました。  私はハウストの背中に両手を回してしがみつきます。 「ブレイラ、大丈夫か?」  そう聞きながらもハウストは僅かに顔を顰めていました。  欲望のまま動いてしまうこともできるのに、私を優先して気遣ってくれているのですね。 「大丈夫です。んッ、……あなたの、好きに動いてください」  そう言って今度は私から口付けます。  私はあなたを受け入れたい。抱かれたいのです。だから、私はハウストにしがみ付く腕に力を込めたのでした。 ◆◆◆◆◆◆  ハウストとブレイラが山奥の水車小屋にいた頃、イスラとゼロスとクロードとオルクヘルムは狩りをしていた。 「チビガキ、そっちに行ったぞ! 回りこめ!!」 「まてまて~! あっ、そっちいっちゃダメでしょ!」  オルクヘルムの指示にゼロスが駆けだした。  狙う獲物は巨大な肉食獣。脂身たっぷりのおいしそうな動物だ。  相手は獰猛な肉食獣だがゼロスはかけっこ遊び気分で追いかけて、そして。 「えええいっ!!」  ドゴオオオォォォォッ!!!!  三歳の小さな体から強烈な飛び蹴りが炸裂した。  衝撃に肉食獣は吹っ飛び、無事に夕食の材料を手に入れたのだ。 「やった~! きょうのごはん!」 「あぶ~っ、ばぶぶっ!」  イスラが抱っこしていたクロードも興奮したようにジタバタする。  まだ赤ちゃんのクロードだが、ゼロスと二人旅を乗り越えた赤ちゃんなので狩りの成功が意味することを分かっているのだ。それはお腹いっぱいになるということ。 「クロード、あばれるな」 「あうー、あーあー!」 「分かったから、少し落ち着け」  イスラはクロードを宥めつつもゼロスに声を掛ける。 「ゼロス、よくやった!」 「まあね! ぼく、とってくる~!」  ゼロスがさっそく倒した肉食獣を収穫しにいく。  イスラとオルクヘルムもゼロスの後を追って歩きだした。 「おい、ほんとにうまいんだろうな」  イスラが確認するようにオルクヘルムに聞いた。  今回の獲物はオルクヘルムお薦めだった。この一帯で獲れる動物のなかで一番おいしいのだという。それはイスラ達の十万年後にはいない動物だった。 「期待してろ、極上の脂がしたたる最高の肉だ。十万年後の肉にも負けねぇよ」 「期待するからな」 「ガハハハッ、しろしろ」  オルクヘルムは豪快に笑ってイスラの背中をバンバン叩いた。  イスラは迷惑そうな顔になったが、いまいち男の意図が掴めていなかった。  幻想王オルクヘルムは見た目通りガサツで豪快な男だ。でも悪い男ではない。まだ出会って間もないが、それでも頭の回転が早くて明敏な男だということは分かる。  しかしだからこそ分からないのだ。 「……あんた、本当にゼロスと戦う気か? あいつは冥王でもまだ三歳だ。未熟な王だぞ」 「なんだ、弟が心配なのか?」  からかうオルクヘルムにイスラが目を据わらせる。  からかわれるのは好きではない、でも嘘をつくつもりもない。イスラは当然のように答える。 「当たり前だろ。俺の弟だ」 「別に血が繋がってるわけじゃないんだろ?」 「ああ、でも弟だ。血は繋がっていなくても兄弟だ」  まだイスラが子どもの頃、ブレイラが生まれたばかりのゼロスを抱っこして『あなたの弟ですよ』と言ったのだ。正直、その時はよく分からなかったし、むしろ邪魔に思うこともあった。赤ん坊のゼロスはよく泣くし寂しがりだし、いつもブレイラに構ってもらいたがる甘えん坊だったからだ。  でもブレイラが嬉しそうにゼロスを抱っこして『弟ですよ』と言ったから、そういうものかと納得したのである。  しかし間もなくして赤ん坊のゼロスがいるのが当たり前になって、いつしか『にー』と呼ばれるようになり、今では『あにうえ~!』と嬉しそうに追いかけてくる。今でもゼロスは甘ったれなので面倒くさく思うこともあるが、それでも可愛い弟だ。 「ばぶ、あー、あぶーっ」  ふと抱っこしているクロードが話しかけてきた。  なにを話しているか分からないがイスラは苦笑して答えてやる。 「ああ、お前も俺の弟だ」 「あいっ」  クロードは満足そうに頷くと、ハンカチを握りしめてゼロスがいる場所を指差す。  早く行けと訴えるクロードを、「生意気だぞ」とイスラは小突いて笑った。  こうした三兄弟の姿にオルクヘルムも目を細めて笑う。

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