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第九章・歴代最強の勇者18

 私、イスラ、ゼロス、クロード、初代イスラ、レオノーラの六人は神殿の祭壇周辺を調べていました。  見れば見るほどここが初代時代よりさらに古い時代の神殿だと分かります。 「うーん、なにもないね~」  ゼロスが祭壇の裏側を覗き込みながら言いました。  抱っこ紐で抱っこしているクロードがきょろきょろしながら指を差します。 「あうー、あーあー!」  なにやら気になる場所を見つけた様子。  ゼロスがクロードを見上げます。 「ここがきになるの?」 「あい」 「わかった。みてあげるね」  ゼロスが指差された周囲を見てくれます。  コンコンと叩いてみたり、鼻をくんくんさせてみたり。でも。 「なにもないみたい。はずれ~」 「あう~っ。ばぶっ!」 「つぎはこっち? どれどれ、こっちもはずれ~」  どうやらまた外れたようですね。  ゼロスは腰に手を当ててクロードを見上げます。 「もう、クロードは~。ちゃんとさがさなくちゃダメでしょ」 「あうーっ。あーあー!」 「おこってもダメ。クロードがわるいんでしょ」 「あーうー、ばぶぶっ」  二人が言い合いを始めてしまいました。  さっきまで仲良く探していたというのに、いけません、このままではケンカが始まってしまいます。 「二人とも一生懸命探してくれてありがとうございます。二人が手伝ってくれるので、きっとあっという間に見つかります」 「まだなのに?」 「まだでもです。みんなで探すと早く見つかるんです。だからゼロスとクロードが一緒に探してくれて助かっているんですよ。ね、イスラ?」  イスラに同意を求めました。  振り返ったイスラは私を見て、次にゼロスとクロードを見ます。  ゼロスとクロードの瞳はキラキラと期待に満ちたもので、イスラが眉間に皺を刻んでしまう。でも私の視線に気付くと観念した顔になりました。 「……助かってるぞ、手分けして探せば早く見つかるからな。みんなで力を合わせて頑張るの好きだろ?」 「すき~! すき~!」  ゼロスがぴょんぴょんして答えました。  最近のゼロスは『みんなでちからをあわせてがんばろう!』のフレーズがお気に入りです。それはお気に入りの絵本の影響でした。つい少し前までは冒険絵本が大好きでかっこいいセリフやポーズばかりしていましたが、今は山の動物たちが力を合わせてお城をつくる絵本がお気に入りのようです。  子どもの他愛ないブームかもしれませんが、みんなで力を合わせて頑張るのは素敵だと思いますよ。 「良かったですね、ゼロス」 「うん! みんなでちからをあわせてがんばろうね! レオノーラとあにうえじゃないひとも、いっしょにがんばろうね!」  ゼロスが声を掛けるとレオノーラは「はい、頑張りましょう」と微笑んで返してくれました。  しかし初代イスラの方は冷ややかです。 「ガキが俺に話しかけるな」 「コラーッ、そんなこといっちゃダメでしょー! ガキじゃなくて、ゼ・ロ・ス! めいおうのゼロスです! もう、あにうえじゃないひとは~」  ゼロスも負けていませんでした。プンプンで返しています。ここには兄上もいるので強気のようですね。  しかも、「ねえねえ、あにうえ。あのひと、ちゃんとわかったかなあ。またおしえてあげたほうがいいかなあ」とこそこそイスラに話しかけていました。  初代イスラはまたイラッとしてしまいましたが、ゼロスが気にする様子はありませんね。 「あぶっ、あー! あー!」 「ふふふ、クロードもありがとうございます。よく頑張っていますね」 「あいっ!」  いい子いい子と頭を撫でてあげると、「ばぶっ」と誇らしげな顔になりました。  私たちは協力しあって祭壇の周辺を調べます。  でもどれだけ探しても祭壇に不審な部分はありません。祭壇周辺の壁も床もなにもなくてここが行き止まりなのかと思われましたが。 「これだけ探しても何もないなら、あと可能性がある場所は一つだな」  そう言ってイスラが石造りの重厚な祭壇を押します。  ズズズズズッ……。  低い地響きとともに祭壇が移動させられました。  そして祭壇の下にあったのは隠し階段。 「やっぱりな。こういう場所に階段や通路が隠してあったりするんだ。こういうのってどの時代も同じだな」 「おお~、あにうえすごい」 「にー、あぶー」  ゼロスが感心し、クロードがパチパチ拍手しています。  イスラは人間界の遺跡などを旅することが多いので、その時にこういう隠し通路をよく見つけるようですね。 「この先に何があるんでしょうか……」  緊張感が高まります。  階段はずっと下まで続いていて先が見えません。  私たちをここに転移させたのは巨人でした。巨人は最初から私とレオノーラをここに連れてくるのが目的のようだったのです。  イスラが厳しい面持ちで階段を見据えました。 「油断するなよ、どこかにゲオルクも潜んでいるかもしれない」 「はい」  私たちはさっそく隠し階段を降りていきます。  光魔法で照らしても先が見えないほど長い階段でした。 「ゼロス、クロード、疲れていませんか?」 「だいじょうぶ! ぼく、いっぱいげんき!」 「あいっ。あー、あぶぶっ」 「良かったです。疲れたら言ってくださいね」  声を掛けるとゼロスとクロードが元気に返事をしてくれます。  さすが冥王様と次代の魔王様ですね。  こうして階段をしばらく降りると、ようやく一番下へ辿り着く。そこからはまた長い通路が続いていました。  でも今度の通路の壁には、古い壁画が描かれていたのです。 「これは興味深いな……」  イスラが少し驚いた顔で壁画を見ました。  でもなぜでしょうか。この壁画を前に、なんだか落ち着かない気持ちになります。それはレオノーラも同じのようでした。

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