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第386話※

「んっ、あっ、ぅ…ンッ」 クチュクチュといやらしい水音が上がる。 窓ガラスについた片手のひらだけで上半身を支え、俺は窓辺に立ったまま、室内の方へとお尻を突き出して、自分で自分の後孔を解していた。 「ふっ、あぅ…火宮さっ、もう…」 グチュッと突き立てた指に、ナカの粘膜が絡みついてくる感触が嫌だ。 自分の指の動きに反応して、ヒクつく入り口の浅ましさに泣けてくる。 好きでやってるんじゃないのに…。 窓ガラスに映る淫らな俺の姿の後ろには、悠然と椅子に座って足を組み、ニヤリと愉しげにこちらを眺めている火宮がいる。 その手がくるくると弄んでいる鞭に、仕置きだ、罰だ、と散々脅されたから仕方がないんだ。 「ククッ、綺麗だ、翼」 「はっ、ぅ…なにを」 こんな俺だけ裸で、カーテンを閉めさせてもらえない窓辺で、自分の指を自分の蕾に突っ込んで、浅ましく腰を揺らしている俺のどこが。 「羞恥と屈辱に歪み、上気した顔」 「っ…」 あぁそうだった。この人、どうしようもなくどSなんだった。 「ふ、ぅぅ、あぁっ」 「ククッ、自らの指を呑み込んで、いやらしくヒクつく蕾も可愛い」 「っ、バカ…」 キッ、と窓ガラスの中の火宮を睨んだら、ゆらり、と立ち上がった、火宮の影が揺れた。 「よし、そろそろいいだろう」 「っ、なに?」 ゆっくりと近づいてきた火宮の手が、鞭ではない、黒いスペードみたいな形をした何かを持っているのが見えた。 「ククッ、これか?」 ニヤリ、と意地悪く笑いながら、ゆっくりとその何かを持ち上げた火宮が真後ろまで来る。 「アナルプラグ」 「っ…」 「たっぷりの媚薬入りのローションをつけて挿れてやる」 「そんなっ…」 嫌だ、と振り返ったときには、後ろに入れていた方の手が腰のあたりで捕らえられ、上半身をぐいと窓ガラスに押さえ付けられていた。 「やだっ。やだ」 窓についていた手がギギッとガラスを引っ掻く。 蕾にピタリとあてがわれたアナルプラグとやらの先っぽが、入り口を押し分けてナカに潜り込んできた。 「あっ、やっ、やだ」 「ほら、ちゃんと息をしろ」 「あぁっ、っく、ぅ…」 ゆっくりと押し込まれるプラグが、徐々に太い部分に差し掛かる。 「っあんッ!あぁぁっ」 「ククッ、上手に呑み込んだぞ」 愉しげに揺れた声が聞こえたのと同時に、スッと押さえつけられていた手が離された。 「っ、あんっ、ンッ」 最後はつるんとナカに収まったプラグが、きゅん、と収縮する内壁を擦る。 「く、はっ、あっ…」 ナカに異物がある、というだけで、熱くなってくるこの身体は、媚薬のせいか。 「クッ、翼、そのまま立っていろ」 「ひ、みや、さ…?」 必死で窓ガラスに縋り付く両手の間に、遠ざかっていく火宮の後ろ姿が見えた。 「っあ、あぁっ、あんッ…」 ドクンッ、と中心に血液が集まる。 「あっ、はっ、はぅんッ…」 どうやら全身に媚薬の効果が回ったらしい。 身体中が火照る。 「ふっ、うっ、はぁっ、あっ…」 高まる熱に身悶える身体を、立たせておくのはもう限界だ、と感じた瞬間。 ふわり、と背中に、何か布が掛けられた。

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