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第424話※

「っ、あ、あぁっ、やぁっ…」 ローターを抜かれた刺激でイきかけたところに、ヒタと当てられた火宮の熱。 ヒクついた蕾を笑われ、ふわりと背中に空気の揺れを感じたとき、ズプッとナカを一気に穿たれた。 「っ!」 きゅぅん、と締まった内壁で、火宮の形をリアルに感じる。 「クッ、きつい。締めすぎだ」 ふわりと背中に火宮の大きな手のひらを感じ、宥めるように上下したそれに、ほぅ、と力が抜けた。 「っ、あ、あっ、火宮さっ…刃ッ」 ゆさっ、と揺らされる身体がビクビク震える。 焦らすことなく前立腺を擦り上げてくる熱が気持ちいい。 「あっ、はっ、いっ、いいっ…」 やばいくらい気持ちがいい。 ヒヤリと両手をついた調理台に、たらりと唾液が落ちた。 「ふぁっ、あぁっ…」 そ、う、だった。ここキッチン。 不意に自分がどこで何をしているのかを自覚して、カァッと頬に熱が集まった。 「やっ、やだっ…」 こんな場所で、こんなこと。 明日から、この場所に立つ度に思い出すじゃないか。 どうしてくれる。料理の度にいやらしい気分になったら。 「あっ、火宮さっ…や、ぁっ」 嫌なのに。 確実にいいところを突いてくる火宮に、抵抗は口先だけになってしまった。 「ククッ、俺に合わせて腰をゆらして、もっととねだらんばかりに尻を突き出してきながら、これで嫌だと?」 「あっ、あっ、言わな、で…」 分かってる。 でもだって、気持ちがいいんだもん。 ぐい、と背中を調理台に倒すように押され、腰を両側からガシッと掴まれる。 「あっ、あっ、激しっ…」 「クッ、いいぞ、翼」 「あっ、深ッ…そこっ」 ジュプッ、ズプッと激しい水音が上がり、頭がクラクラするほどの快感が押し寄せる。 「ふっ、あっ、火宮さっ、刃。じんっ」 チカチカと目の前が瞬いて、縋り付いた調理台にギギッと爪を立てる。 「あっ、あぁぁっ、じん。じんーっ!」 顔、見えない。 でも気持ちいい。 イく。壊れちゃう。 だけどここ、キッチン。 散り散りになった思考が、ポツリ、ポツリと頭に浮かび、最終的にはすべてが快楽の波に飲み込まれていく。 「あっ、あっ、じんっ。イく。出ちゃうーっ」 「ふっ、イけ。盛大にな」 あぁ、意地悪。 でも気持ちいい——。 「っ…。あ、あぁぁぁっ!」 ズプッと前立腺を擦りながらナカの深いところを突かれ、俺は背を限界まで仰け反らせて白濁を撒き散らした。 「クッ、なんて壮絶な色気を放つ、ッ」 へっ、へんっ。あなたも一緒にイけばいい。 ぎゅぅぅっ、とナカの火宮を締め付けて、搾り取るように食らいついてやる。 「いつ、覚え…た、クソッ」 ゾクッとするような色香を放ったのは火宮もだ。 ぶわっと背後に湧いたその気配と、ドクッとナカで震えた火宮の熱。 ふわりと優しく背中に火宮の温もりが触れたかと思ったら、ぎゅぅっ、と苦しいほどに背後から抱き締められた。 「愛している、翼」 「っあぁぁぁっ!」 もっ、イったばかりのナカに、何をする。 繋がったまま、ぐるりと身体が返され、内壁が擦られてゾクゾクする。 「友人の心配をするのもいいが、俺の相手も忘れるなよ」 あ、あぁ、そこか。 結局子供みたいな強い強い独占欲。 触れ合った唇から、クチュリと舌と火宮の本音が流れ込んできて、思わず可笑しくて喉を鳴らしてしまう。 忘れるわけないじゃないですか。 だってこの世の誰よりも、1番大切で、1番大好きなのは。 「じんー」 もっと、とねだるように舌を突き出し、片足を火宮の腰に絡めてやる。 「クッ、可愛いやつだ」 とすっ、と背中が調理台の上に倒れ、のし掛かってきた火宮から与えられる、深い深い口づけ。 「んっ、ふっ、んんっ…」 ナカで繋がりながら、唾液をピチャピチャと交換し合い、互いの心は真っ直ぐに重なる。 幸せ…。 へにゃりと緩んだ俺の顔が、目の前で淡く微笑む火宮の漆黒の瞳の中に映っていた。

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