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第498話※

「っ…」 てっきり下の寝室まで運ばれるかと思っていた身体は、何故かリビングのソファーの上に下された。 「火宮さん?」 「ふっ、翼。脱げ」 「えっ…」 「全部脱いで、裸になれ」 ニヤリ、と見下ろす火宮の意地悪な顔に、俺はただフルフルと首を振った。 「翼?」 「っーー!だって…」 ここは陽の光も燦々と差し込む、明るいクルーザーのリビングで。 「ククッ、海上だ。俺以外の誰に見られるわけでもない」 わざわざ双眼鏡で、狙って覗きでもしない限り、見えはしない、と言われても…。 「これは仕置きだぞ?逆らうというのなら、もっと違った、別の罰を…」 「っ…」 追加するぞ、というのは、多分、痛みだ。 これまでの経験上、火宮のやり方を熟知している俺は、鞭などを持ち出されてはたまらないと、慌てて上着に手を掛けた。 「っ…」 スルリと脱ぎ去ったティーシャツを、パサリと捨てる。 ジッと見つめてくる火宮の視線が痛い。 「っ、く…」 恥ずかしさを堪えて、足からズボンと下着を抜き取った俺は、きゅぅ、と小さく身体を丸めた。 「こら、隠すな」 「っ、そんなこと言ったって…」 こんな明るい場所で、しっかりと服を着込んだ火宮の前で、俺だけ裸だなんて、居た堪れないやら惨めやら。 「ククッ、どS様、なんだろう?ではその評価に違わない言動をしてやらないとな」 「っ…」 根に持つなぁ。 「ほら、足を軽く開いて、両手は身体の横だ」 「っ、ぅ…」 「やらなきゃ鞭でもいいんだぞ」と言われては、もう逆らい続けることも出来はしない。 そろそろと、隠した身体を少しだけ開いていった俺に、火宮の目が満足そうに細められた。 「ククッ、綺麗だ、翼」 「っ!」 カァッと頬っぺたに熱が集まる。 「可愛い胸の2つの飾りに、可愛らしく窪んだへそ」 「っ、やぁ…」 「慎ましやかな茂みに、クッ、勢いをなくしていない、形のいいペニス」 満更でもないか?と笑う火宮に、恥ずかしすぎて顔から火が出るかと思った。 「違うっ…」 だって火宮さんが、いちいち褒めながら眺めるから…。 「ククッ、その可愛いペニスに…」 シュルリ、と、不意に正方形の薄手の布を持ち出した火宮に、ギクリと身体が強張った。 「可愛らしい飾りをつけてやる」 「っーー!」 言うが早いか、ニヤリとサディスティックに笑った火宮が、俺の上を向いたままの性器の根元に、くるりとそれを巻きつけてしまった。 きゅっ、と射精を阻むように結ばれたそれは、大き目のハンカチーフか。 「っ、こんな…」 「ククッ、いい格好だ。さぁ、甘い仕置きを始めるぞ」 「っ…」 ギラリ、と確かに欲情を浮かべた火宮の瞳に、ゾクリと肌が粟立った。

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