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第501話※
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
「ククッ、飛んだか?翼」
ぼやぁっと目の前に見える美貌を、ぼんやりと見上げる。
「ふはっ、はっ、はっ…」
ジーンと痺れたようになった頭がまったく回らない。
「あぁ、うぅ…」
ダラリとだらしなく口の端から唾液がこぼれているのは、なんとなく感触で分かった。
「ククッ、へばるのはまだ早いぞ」
スゥッと俺の口元を指で拭った火宮が、その手をペロリと口へ運ぶ。
「っ…」
カッと頬に熱が集まって、俺はようやく意識をはっきりと取り戻してきた。
「ひ、みや、さん…」
空イキしかさせてもらえなかった身体が、敏感になったままピクピクと震える。
「これ、もっ、やだ…」
外してもらえないままの性器の拘束に手を伸ばせば、それはパシッと意地悪く掴み止められてしまった。
「ふ、ぁっ、なんで…」
「クッ、まだ、もっとだ」
ニヤリ、と唇の端を吊り上げた火宮に、ゆらりと抱き上げられる。
「っ?」
「下に行くぞ」
ゆらゆらと揺られ、お姫様抱っこのまま、階下に降りていった火宮に、寝室に連れ込まれた。
「っ…」
とてもクルーザーの船内とは思えないほどの、立派な寝室。ベッドはフカフカで、言われなければどこぞのラグジュアリーホテルの一室かと思うほど。
その大きなベッドにふわりと下された俺は、ギシッと乗り上げてきた火宮をぼんやりと見つめた。
「刃?」
ギラリとした欲情が、確かに火宮の目に浮かんでいる。
「んっ…」
貪りつくようにいきなり大胆なキスをけしかけられて、たまらず熱い吐息が漏れた。
「はっ、あぁぁ…」
「ククッ、そんな蕩けた顔をして」
「煽っているのか」と囁かれる声すらも、今の俺には性感を刺激する一要素でしかなくて。
「は、ぅ…ンッ、火宮さ…お願…」
欲しい。この人が。熱いねつが。
「刃。じん」
じわり、と蕾が期待に緩んで、ヒクヒクとひくついたのが自分でも分かった。
「クッ、なんて痴態を晒すんだ」
ジュルッと舌舐めずりをしそうな勢いで、火宮がキラリと目を光らせた。
「あっ、はン…」
俺は、言われもしないのに、いつの間にか、片足を両手で抱え持ち、蕾を火宮に見せつけるように晒していたらしい。
「じ、ん」
恥ずかしい。
でもまぁいいか。それより恥ずかしい格好や行為を、散々された後だし。
「ククッ、仕置きが効いているか」
「ふぇ…?」
「いやらしい姿をためらいなく見せ、トロトロに蕩けたこの姿」
「あ、なたは…」
これが計算なら大したものだよ。
俺の思考はすでにもう、挿れて欲しい、イキたい、に大半を占められている。
「ふっ、だが、おまえもな」
「ふぁっ?」
「計算のない、天然の痴態でこれだ」
ニヤリ、と笑った火宮が、ゾクリとするような色香を含んだ視線を放ち。
ズルリとズボンの前から取り出された火宮自身が、熱く凶悪に昂ぶっていた。
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