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第507話

「あんっ、ごじゅうなな…ごじゅうはち」 チュッ、チュッ、と、今度は背中に、火宮の唇が這う。 首のすぐ後ろから、肩甲骨、背筋に沿って下がっていく口付け。 「は、ぅぅっ、ななじゅっ…」 チュゥッ、と一際強く脇腹近くを吸われて、思わず甘ったるい声が漏れた。 「ククッ、次は少し痛いぞ」 「えっ…?」 ニヤリとした悪い笑みが分かるような、火宮の意地悪な声だった。 スルリと撫でられた双丘に、ぞわぞわと背筋が震える。 わけもわからず、ただ「痛い」と言う言葉に身構えて目の前の枕をぎゅぅっと抱え込んだら、お尻の右の膨らみに、ふわりと吐息が掛かったのを感じた。 「っ…?」 「ふっ…」 「っあ!痛いッ…」 かぷり、と尻たぶが噛まれたと感じた瞬間、グッと歯が尻肉に食い込んだ。 「ふぁぁぁっ、あっ、あっ、痛っ、い」 ぎぎっ、と膨らみに強く歯を突き立てられ、痛みがジンとした痺れを与えていった。 「うぁぁ」 「綺麗についたぞ。数は?」 「っ、あんっ、な、なじゅう、いち?」 あまりの衝撃にすっかり数を忘れてしまった俺は、疑問と涙を浮かべた目を振り返らせた。 「ククッ、合っている」 ニヤリ、と愉しそうに笑った火宮が、俺の尻についた歯型を満足そうに見つめている。 「っ、なにして…」 「ククッ、仕置きだろう?少しくらいは痛みも味わってもらわなければな」 「っ、だからって…」 「ほら、こちらもいくぞ」 「っ!なっ…」 ペチ、と左の膨らみを軽く叩かれ、俺はビクリと身を竦ませた。 ふわりと吐息が膨らみに触れる。 「ひっ、や…」 「ん、……」 「っ!あぁっ!痛ぁっ…」 再びがぶりとした衝撃と、ジーンと痺れるような痛みが左の尻たぶにも広がって、ジンジンとした甘い噛み跡を残していった。 「っ、た…お、尻…」 恐る恐る後ろに回した手が、無意識に双丘をさする。 小さくボコボコとした歯型が、指先に触れた。 「っ…」 「クッ、いい姿だ。翼、数は」 「んなっ…う、ぁ、ななじゅう、に」 そのうっとりとした声。もうどうにでもしてくれという気分になってくる。 「ふっ、後28」 「はは…」 いいよ、もう。 好きなところに、好きなだけ痕をつければいい。 ようやく諦めの境地に達した俺は、くたりと全身から力を抜いた。 パタンと両手を落とした俺の、尻の付け根。太腿か、尻かという際どい場所に、チクリとまた軽い痛みが走る。 「んっ、ななじゅうさん、ななじゅうよん」 左右にそれぞれつけられた口付けの痕を、俺はゆっくりと数えていった。

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