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第513話
結果。火宮を真似て、全く見えない視界の中、俺も見事にスイカを真っ二つ……なんてわけにもいかず。
スコーンと華麗に俺の棒が叩いたのは、スイカに掠りもしない、数センチ以上離れた砂浜の上だった。
「っ、あぁっ!やだぁっ…」
もちろん、スイカに当てることが出来なかった俺は、約束通りのお仕置きとなったわけで。
ビーチチェアに座った火宮の膝の上にうつ伏せで乗せられて、お尻を叩かれる羽目になっていた。
「ひぁぁっ、ったい!」
ペチンッ、と臀部に火宮の平手が弾け、ひくんっと身体が仰け反った。
必死でバタバタ振り回す手足が、スカスカと宙を掻く。
「うぁぁん、やだぁ。ったいー、ごめんなさいっ」
さすがに野外、気を使って後ろを向いていてくれるとはいえ、護衛の部下さんたちがいる前で、サーフパンツは脱がされずにいるものの、遊びの強さではない力で叩かれるお尻は、それなりの痛みを感じる。
「ふぁぁんっ、火宮さんーっ!痛い!助けて。許してくださっ…」
ペチッとまたお尻に鈍い痛みが走り、俺はジタジタと身悶えながら、襲い来る痛みと衝撃に耐えていた。
「ククッ、俺を謀ろうなどとしたんだ。これくらいの覚悟あってのことだろう?」
ペチン、と平手を落としながら、火宮がクックッと喉を鳴らす。
ユラユラと揺れる膝の上で、俺は意味もなくブンブンと首を振った。
「ふっ、倍、という約束だったからな」
まだまだ終わらないぞ、と愉しげに言われても、元がどれくらいか知らない以上、その倍と言われたって見当もつかない。
「あぁん、もっ、やだ。許して、お願い。ごめんなさいーっ」
叫ぶ側からまたペチンとお尻を叩かれて、俺はビクビクと背をのけぞらせながら、パタリと項垂れた。
「はっぁぁ、火宮さんー」
「ククッ、どうだ、懲りたか?」
ペチンと平手を振り落としながら、火宮はどこまでも愉しそうだ。
「っ…懲りました。分かりました。だからもう許して下さいっ」
コクコクと、全力で頷く首が千切れてしまいそうだ。
「ククッ、本当におまえはな」
ペチンとお尻に落ちた手が、そのままそこに留まって、スルリと下に滑って行った。
「っ、あぁんっ…」
股の間に潜り込んだ手に、むにっと性器を玉ごと握り込まれ、思わず甲高い悲鳴が漏れた。
「んぐ…」
背中を向けている護衛さんたちの肩がピクリと跳ねたのが見えて、俺は慌てて両手で口を押さえる。
「ンッ、ング…ンンッ!」
ぐにぐにと巧みに性器を揉みしだかれ、堪え切れない嬌声が漏れてしまう。
必死で塞ぐ口が苦しくて、ジワリと涙まで滲んできた。
「ンンーッ、ンンンンンッ」
「ん?呼んだか?」
「ンッ、やめっ…ん、あぁんっ、んぐ」
文句を言おうと口を開けば、どうしてもはしたない声が上がってしまう。
けれども塞いだ口では火宮の行為を止めることが出来なくて、俺はバタバタと足を跳ね上げて抗議した。
「ククッ、おい、おまえたち、耳を塞いでいろ」
「はっ」なんて律儀に両耳を手で塞ぐ部下さんたちに、そうじゃない、素直に従っている場合じゃなくて、火宮を止めて、と叫びたくなる。
火宮も火宮で、俺の喘ぎ声を聞かれて困るなら、部下さんたちに遠慮させる前に、その悪戯な手を止めてくれるだけでいいものを。
「んっ、あぁっ、火宮さっ…お願っ、やめっ…」
「ククッ、痛いだけの仕置きでは、可哀想だろう?」
んなっ?なんだその理論。
「おまえは快楽責めでもいい声で啼くからな」
「ひゃっ、あぁんっ、あっ、やだ、やだ」
緩く勃ち上がり始めてしまった性器を、サーフパンツの上から形に沿って扱かれて、俺は堪らず背を仰け反らせて喉を晒した。
「ククッ、だがこれでは仕置きにならないか?」
「っあ!やだっ、やだ、あぁっ」
「クッ、まだ海にも入っていないのに、サーフパンツが濡れてきているぞ?」
なんだこの染みは、と、先端が触れた布の辺りを意地悪く弄られる。
「ひぁっ、あぁ、やぁっ…」
「ほら、偽りを述べずに答えてみろ」
「っ…」
それは、さっき火宮を謀ろうとしたことへの当てつけとお仕置きで。
「ここでまた嘘をついたら、酷いぞ?」
ニヤリ、と唇の端を吊り上げただろう火宮の顔は、見えなくても分かった。
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