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第558話※
「んっ、あぁぁっ、手、やだ。手ぇやだ…」
ガバリと正面から伸し掛かられて、頭上に押さえつけられた両手にはまだ手枷がはめられたままで。
「あぁっ、抱、き、つきたい…のに」
「じゃぁこうするか?」
ニヤリと笑った火宮は意地悪く目を眇めて、シャラッと鎖を自分の首の後ろに回させた。
「んぁぁっ、そんなっ…」
確かにこれなら身体は密着できるけど。
意志と関係なく、火宮にぶら下がっているだけみたいなこの状態。
あんまり嬉しくないんだけど…。
「今日は仕置きだと言っただろう?」
「あぁ、でも…」
「ククッ、真鍋につけさせたこの鞭の跡。ふっ、力を抜いていろ。このまま挿れるぞ」
「は?え…?っ!」
待って、慣らしもしないで?
さっき少し指は入れられたけど、まだ拡がっているとは言い難い。
それなのに…。
「っあーー!」
ズプンッと本当に腰を突き入れられ、スパンッと俺のお尻と火宮の下腹部がぶつかった。
「あぁ、あぁぁぁ…」
「クッ、痛みはないようだな?ちゃんと挿入ったぞ」
揶揄うように囁かれ、羞恥でカァッと頬が熱くなる。
すっかり火宮に慣らされたソコは、火宮に貫かれると頭が考えるだけで、柔らかく綻んで火宮を迎え入れる。
「ククッ、可愛いやつだ」
「っーー」
ゆるゆると、腰を引かれて思わず足が絡みつき、その自分の身体の反応に、またも恥ずかしさで全身が熱くなった。
「クッ、仕置きにならないな」
「っ、そんなこと…」
ない、とはとても言えなかった。
無理やりこじ開けられたはずの蕾は苦痛もなく、その刺激で前はしっかり勃ち上がっている。
俺の身体が快感を得ているのは明らかで、その反応を見ている火宮に、口先だけの否定は無意味だ。
「口より素直な目と身体が語っている」
「っ…」
ズプン、と再び腰を突き出され、パンッと肌と肌がぶつかり合う音が、ゾクゾクと全身を刺激した。
「ほら、翼。おまえを組み敷いていいのは誰だ」
「あぁっ、刃。刃だけ。刃だけですっ…」
パンパンと、律動を開始した火宮に穿たれるナカが気持ちいい。
「おまえの心身に跡を残していいのは」
「刃っ、だけっ…」
ズプンと奥の奥まで穿たれて、快楽のあまり涙が溢れる。
「っあぁ、あぁっ、いい、気持ちい…」
ひくんと仰け反った喉元を晒せば、カプリとそこに噛みついた火宮が、チゥッと小さな鬱血痕を残していった。
「俺は、おまえのためならば、なんでもできる。なんだって」
「っ、俺も。俺も…」
あなたのために、なんだって…。
「愛している、翼。愛している」
ガンガンと、激しくなった腰使いに翻弄されながら、俺も必死で火宮の動きについていく。
「あっ、あっ、刃。刃」
好きです。大好き。だからこそ。
「クッ、翼」
「あぁっ、刃っ…」
カシャン、と火宮の首の後ろで、手枷の鎖の音が鳴り、噛みつくように唇を重ね合う。
「誰より、何より、おまえが一番…」
擦り合わせるように、火宮の唇が何かを囁いていった。
「あっ、あっ、もっ、で…あぁぁぁっ!」
ズプンと突かれたいいところと、同時に性器が互いの腹で擦られて、俺はたまらず2度目の精を吐き出した。
「クッ…翼ッ」
はっ、と色香に満ちた火宮の吐息が頬に掛かり、きゅぅっと眉の寄せられた愛しいイキ顔が間近に迫る。
「ッ…ゥ」
ビクッと一瞬強張った火宮の身体が、ふわりと柔らかく脱力していく。
緩んでいく顔が、とても幸せそうで愛おしくて。
きゅぅぅん、と苦しくなった胸の奥が、なんだかとても切なかった。
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