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第570話
「池田?」
ふと、真鍋が、池田のやけに強張った、緊張感のある顔に気づいたんだろう。
珍しく、不思議そうに揺らいだ声を挟んできた。
「あ、いえ、その、俺の杞憂ならばいいのですが…」
チラリ、チラリと、やけに俺を気にするように池田がこちらを見てくる。
「あー、えっと、俺が聞いたらいけない話ですか?」
池田の視線の意味を勝手に解釈して、俺は気を使って席を外そうとソファから立ち上がった。
「池田」
パシッと俺の手を掴み止めながら、火宮が池田に「そうなのか?」と視線で尋ねている。
それを受けた池田は、ふらりと視線を彷徨わせた後、頼るように真鍋を見つめた。
「はぁっ。分かった。会長、まずは私が報告を聞きます。それから判断いたしますので」
クイッと人差し指を軽く曲げ、「聞かせろ」と言わんばかりに、真鍋が池田を側に呼び寄せる。
クールなその仕草が似合う真鍋に、思わず見惚れてしまったら、それを咎めるように、グイッと火宮に手を引かれた。
「うわっ…」
「おまえは。ったく、また何か厄介ごとを引き寄せたか?」
ニヤリ、と口角を上げる火宮が、隣にドサッと座り直してしまった俺に、悪戯な手を伸ばしてくる。
「っ、ちょっ、どこ触って…」
部屋の隅の方では、「アキと名乗り…」とか、「浜崎の報告には上がっていない…」とか、真鍋と池田がボソボソと話している声が、途切れ途切れに聞こえてくる。
「あっ、んっ、やっ…ちょっ、火宮さっ…」
プチッ、ジーッて、何こんなところで、ズボンのボタンとファスナーを開けてくれてるの!
どんどん大胆になってくる火宮の手を、俺は必死で掴み止めながら、ジタバタと暴れた。
「やっ、服っ…捲らないで下さっ」
「ククッ、ん?」
「ん、じゃなくて!手ッ!や、そこ、ちく…っあんッ」
スルリと裾から入り込んできた火宮の手に、キュッと胸の飾りを摘まれ、思わず身体が跳ねた。
「やっ、はっ、ぁんっ…」
「嫌?そう言いながら、ここもこちらも、しっかりと反応しているが?」
ククッと愉しげに喉を鳴らす火宮が、ピンと尖ってしまった胸の突起と、ぐにぐにと揉みしだいた性器の反応を揶揄ってきた。
「だっ…ぁ、んんっ…」
あぁ駄目だ。これ、なし崩しにされる予感…。
だから、やめて、と押し留めようとした手からはヘニャリと力が抜け、ズボンの前に潜り込んできた火宮の手は、さらに大胆に好き勝手動き回り始めた。
「それで、会長の名を……なんだと?子猫?……」
「…はい、しかも、2度も3度もとなると…」
あっ、あっ、そこ駄目、弱いところ…。
真鍋と池田の声が途切れ途切れに漏れ聞こえてきて、その話を把握したいと思うのに、火宮の手が的確に悪戯をエスカレートさせるから、俺の思考はどんどんと散り散りになっていった。
「…は、今……来て…」
「…というのは…で…。ただ…黒…」
あぁぁ、もう本当、だめ…。
「やぁっ、火宮さっ…」
じわっと下着に染みた液体を、さらに広げるようにグリグリと指で刺激され、俺は堪らず悲鳴を迸らせ、背を仰け反らせた。
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