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第625話※
「っく…ひぁ」
つぷん、と潤滑ゼリーとやらのチューブが抜かれ、反射的な喘ぎ声を漏らしてしまったところで、ヌルリと火宮の指先が蕾に触れてきた。
ゾワゾワと這い上がるその感覚と、ナカに注ぎ込まれたものを漏らすまいと反射的に力の入る身体が、キュッと蕾を締めてしまう。
尻たぶを割り開いた手はそのままに、俺はヒクつく蕾を火宮の眼下に晒していた。
「ククッ、健気な窄まりをアピールしてみせて」
ニヤリ、と楽しげに、その表情が歪んだのだろうことが、見えなくても分かる火宮の声だった。
「ここを連にも見せたのか?」
ん?と、トントンと蕾をノックするように指先で叩かれて、俺はたまらずガクガクと腰を震わせた。
「っ、してなっ…してませんっ」
もう、だから、不必要な嫉妬はやめて欲しい。
けれど、それを口実に俺を責める気満々なのだろう火宮の行動を、止める術が思いつかない。
「うっ、はっ…」
「ククッ、仮にも、好意を抱いた相手を、数日間もホテル内に閉じ込め、誰の邪魔も入らない状況で、2人きりだ」
「っ…」
「その状態で、手を出さないとは考えられないのだが?」
どうなんだ?と責め立てる火宮の指が、戯れのようにツプ、と後孔にわずかに潜り込んだ。
「ひ!あっ…ンッ」
「クッ、そのいやらしい声を、連にも聞かせたのか?」
「っーー!して、ないっ…」
ブンブンと、大きく首を左右に振った俺に、火宮のなんとも楽しげな笑い声が落ちてきた。
「ククッ、そうか。ではナカを確かめてみようか」
ニヤリ、と、絶対その悪い顔で笑っているだろう。
背後の気配が、愉悦に揺れる。
「っ、や…ッ」
「ふっ、たっぷり注いだから、漏れてきたな」
「やっ、やっ、あぁ、あーっ」
なにこれ。
ジュプッと蕾に突き立てられた火宮の指に、震える間もあればこそ。
すぐに2本目が追加された後孔を、ピースするように広げられて。
「あっ、あっ、やだ。やだっ…」
こんなのまるで排泄だ。
とろり、とろりと粘度の高い液体が、蕾の縁から滴り落ちる感覚がたまらない。
「いや。いやだっ、火宮さんっ、やめっ、許しっ…」
「ククッ、収縮も申し分ないようだが…こちらはどうだ?」
「ひっ、あぁぁっ!」
タラタラと流れ出るゼリーの感覚にパニックになっていたら、突然ズプリと後孔が火宮の指で穿たれた。
ビクンッと仰け反り、尻たぶに掛けていた手が離れる。
「ククッ、傷はない。感度も変わらず。前立腺も…イタズラされてはいないようだな?」
「あっ、あっ、でっ、る…」
グチュグチュと、ナカを好き勝手に調べられ、グリグリといいところを押されたからたまらなかった。
ガチガチに勃ち上がった性器から、タラタラと先走りが溢れ出す。
ポタポタと、膝をついた間の床を汚すそれを見ながら、俺はビクビクと身体を引き攣らせた。
「ほら、イけ」
ナカのいいところを押され、ついでと言わんばかりに竿を掴まれぎゅっぎゅと扱かれる。
突然の強烈な刺激に、俺はあまりにあっけなく白濁を飛び散らせた。
パタタッと顔の付近までその濁った液体が飛んでくる。
「うっ、はっ…」
「クッ、随分と濃い。この数日間、性的なことは何もなかったと信じていいようだ」
「っ、あんっ、だ、からっ、そう言って…っ」
明貴に触れられるようなことも、ましてや自分ですることもなかった。
ドロッと床を汚した液体を見て、火宮が満足そうに喉を鳴らしたのがなんかムカついた。
「ククッ、確認が済んだところで、本格的な仕置きといくか」
「ふぇっ…」
「真鍋の身を護るため、連に媚びた。そして翼、結果的におまえは無事、無傷で俺の元へ帰ってこれたが…」
「っ…」
「相手はあの、中国黒幇最大組織の首領だった。何かを1つ間違えば、何かが1歩違ったら、お前は今頃…」
ぬるりと抜かれた火宮の指が、抜かれる一瞬、ふるりと震えたことに俺は気がついた。
「っ、それは…」
「自分がどれだけ危険な賭けに出たのか、分かっているな?」
「っ、はい。ごめん、なさい…」
「それから、拳銃」
ぐい、と四つん這いから引き起こされ、ぐるんと身体を返される。
ジッと正面から俺を見据えてくる火宮の目が、この上ないほど真剣に怒っていた。
「あんなものの扱い方を覚えさせられて」
「っ、ごめんなさい」
「おまえに、絶対触れさせたくない、絶対に越えさせたくない、一線だったのに」
「ごめ、なさ…」
「はぁっ。生半可では許さないぞ」
「はい」
しゅん、と俯く顔を、「まだだ」と無理やり引き上げられた。
「火宮さ…」
「しかもあのとき、おまえは…」
「くっ」と言葉を詰まらせた火宮の目が映している光景がどの場面なのか、俺は嫌というほど分かっていた。
「っ、あ…」
「あのときおまえは…っ」
「あ、あぁ、あぁぁ、ごめん、なさい…」
ひくんっと震える喉が、震えた謝罪を紡ぎ出す。
けれどこんな言葉の1つで、あのときのあの罪を償えるなどとはもちろん思っていなかった。
「俺の目の前でっ…」
「ごめんなさいっ」
「ふっ、泣いても喚いてもどれだけ謝っても…思い知るまで許さない」
「っ、は、い」
「おまえが自分に突き付けたあの銃口は、俺のここにも、向かっていた」
トンッ、とその胸を指で弾く火宮に、俺はその言葉の意味を理解した。
「俺の想いを、思い知れ」
クッ、と笑った火宮の艶やかな顔が、ゆっくり目の前に近づいた。
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