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第634話※

「んっ、あぁっ!」 思い切って腰を深くに沈めた俺は、自重でいつもより深くを穿たれた感覚に身を震わせた。 パンッと音を立ててぶつかった火宮の下腹部と俺の尻が、その結合の深さを教えてくれる。 目の前のしがみついた火宮の背にギリギリと爪を立ててしまいながら、俺は腹一杯を満たす火宮の硬い熱を感じ、へにゃりと頬を緩ませた。 「んっ、あっ、刃。深いっ…」 ぞくり、と腰を痺れさせるような快感が、体内から湧き上がる。 ふらりと火宮の背から離した片手で下腹部を撫でたら、なんだか幸せで泣きそうになった。 「あっ、あっ、ここに、いる。ここに存在()るっ…」 ゆらりと腰を揺らせば、ドクッとナカの火宮がさらに存在を主張する。 それが嬉しくて幸せで、俺は腹を撫でながら、とうとうポロリと涙を頬に伝わせた。 「刃…」 「ふっ、翼」 欲情に掠れた火宮の声が耳を撫でていく。 挿れたまま止まってしまった俺に、焦れったい思いをしているだろうに。 火宮は急かすでもなく自ら突き上げてこようとするわけでもなく、ただ俺の次の行動を大人しく待っている。 「あっ、んんっ、好き。大好き」 この、愛おしくてやまない人。 俺がすべてを賭けてもいいと思えて、俺にすべてを賭けてくれる人。 「好きっ…愛してる、じんっ」 あなたが好きだ。好きで好きでたまらない。 どうしたらこの溢れんばかりの想いがあなたに伝わるだろうか。 ぎゅぅ、と目の前の身体にしがみついた俺を、どう思ったのか。 ニヤリ、と口の端を吊り上げた火宮が、そろりと俺の腰を撫で上げた。 「っ、あぁっ!」 ビクンッと飛び上がった身体がズルリと火宮の肉棒を抜き去り、その刺激で力の抜けた身体が、ストンと火宮の足の上に落ちた。 もちろん、再び肉棒をズプリと咥えこんで。 「ひ、あっ、火宮さっ…」 まったくもう、何してくれる。 思いもかけず、火宮を抜き差ししてしまった身体が、快感に震える。 「ククッ、よく締まる」 欲情と快感に掠れた火宮の声が、憎らしくも嬉しかった。 「ふ、っ、余裕なのも今のうちです」 に、ぃっ、と頬を持ち上げてやった俺は、火宮の両肩に手をついて、ゆっくりと身体を持ち上げる。 ヌルヌルと、火宮が抜けていく感触に身を震わせながら、必死で後ろを締め付ける。 「クッ、これはなかなか」 ギラリとぎらつく欲望を火宮の瞳の中に見つけ、完全に火宮が抜け切れる瞬間、手から力を抜いて、ズプンッと激しく腰を落とした。 「んあぁっ!」 「クッ…持っていかれそうだ」 愉しげに喉を鳴らした火宮はまだまだ余裕そうで、それにムッとした俺は、再び腰を上げ、火宮の上で身体を揺らした。 「ふっ、はっ、はっ…」 ゆさゆさと、火宮の上で上下させる身体から、パラパラと汗が散る。 吐き出す息はすっかり上がり、目の前をチカチカする快感がひっきりなしに訪れる。 ナカを擦る火宮の熱をきゅぅと締め付け、俺はラストスパートをかけた。 「はっ、はっ、じん。じんっ」 精一杯腰を振り立て、火宮の精を絞らんとナカを蠢かせる。 ガクガクと震える膝を踏ん張って、俺は最後の力を振り絞った。 「っ、あーーッ」 ズプンッ、と奥の奥まで火宮自身を飲み込んだ衝撃で、目の前が白く霞む。仰け反った身体を火宮に抱き止められ、突き出した胸に火宮の髪が掠めたのを感じた。 俺の中心からビュクッと白濁が飛び散る。 互いの腹を濡らしたそれを意識する前に、ぎゅぅ、と固く力の入ったナカで火宮を締め上げ、「クッ」という艶めかしい火宮の吐息と共に、ドクドクとナカを濡らす火宮の熱を感じた。 「あっ、あっ、出てる…ナカ、いっぱい、濡れ…熱い、んんっ」 じわりと体内に吐き出された欲が、嬉しくて心地よくて、ポロポロと涙が溢れた。 「ハッ、おまえは、本当に」 壮絶な色香を放つ顔で、熱い吐息をはきながら、火宮が薄っすらと目を細める。 その瞳が「愛おしい」「愛してる」と語っていて、胸がきゅんと熱く鳴いた。 「刃。じん。じんっ」 ぎゅうぎゅうと抱きつく俺に、火宮の苦笑が掛かる。 「こら。そう締めるなッ…これではまた…」 「う?あ?火宮さ…」 え?え?ナカでまた大きく…。 ギクリと強張った身体に気づいたのか、火宮の顔が苦笑を消して意地悪な笑みを浮かべ、サディスティックなその表情のまま、ゆさっと下から突き上げるように腰を揺らした。 「っ!」 「ククッ、煽ったのはおまえだ」 責任取れよ、と囁く声が耳に吹き込まれ、目を白黒させているうちに、ぐるりと視界が反転する。 「っ、あ?っーー!火宮さっ…」 ドサリと背がソファの座面に触れたかと思ったら、両足を火宮の肩にかけるように持ち上げられて、ズンと熱い衝撃に、ナカをこれでもかというほど抉られていた。 「あぁぁっ!」 「クッ、翼ッ」 「あぁっ、アーッ」 目の眩むような快感が一気に押し寄せ、激しい快楽に押し流されていく。 溢れる声はもう意味をなさず、視界はただ快楽の眩い光だけを映し出す。 「あっ、あっ、あぁっ!」 これでもかというほど、激しく揺さぶられ、奥を穿たれ、ナカを擦り上げられて、俺はただただ快楽の深い波に飲み込まれていった。
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