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第657話※
それでも結局、反射的に繰り出した抵抗はただただ虚しく、俺は半ば力尽くで火宮に身ぐるみ剥がされ風呂に連れ込まれていた。
「うぅ、やっぱりこうなる…」
ふるりと震えた身体の中心からは、今しがた吐き出されたばかりの白濁がどろりと内腿に伝っている。
バスチェアーに座った火宮の足の間に挟まれて、巧みな手淫でイかされた身体が、ぐったりと火宮の胸に寄り掛かった。
「ククッ、気持ちよかっただろう?」
たくさん出たぞ、と笑う火宮が、俺が溢した白濁に濡れた手を、わざと見せつけるように広げてくる。
「っ…そんなの、さっさと流して下さいっ」
カァッと頬を熱くしながら、火宮の足の間に抱き込まれたまま、ぐっと手を伸ばしてシャワー水栓を回した。
途端にザーッとシャワーのお湯が降り注ぐ。
「うぷっ…」
「ククッ、何をしている」
全力で顔面に湯の雨粒を食らった俺を、火宮が可笑しそうに見つめてきた。
「ぬかった…」
そうだ。この位置でシャワーの水栓を回せばそれは、俺がお湯をぶっ被るのは分かり切っていたことで。
フルフルと首を振って水滴を払った俺は、濡れたついでとそのまま足や腹に散った白濁も流し清めた。
「まったく、おまえは本当に飽きないな」
「っ…あなたを楽しませたくてやったわけじゃないです…」
揶揄うように目を細めた火宮が悔しくて、俺はむーっと唇を尖らせながら、クイッとわざとシャワーヘッドの向きを変えた。
「っ…」
咄嗟に身をかわそうとした火宮だけど、俺の悪戯が成功するほうが一瞬だけ早かった。
ザーッと同じく顔面に湯を被った火宮の髪から、ポタポタとお湯が滴っている。
「ふふ、水も滴るイイ男?」
「翼…」
何をする、と睨みを効かせてくる火宮だけれど、その顔が本気で苛立っていないことなど、俺には丸わかりだった。
「俺だってやられっぱなしじゃないんですー」
にこっと悪戯が成功して満足に崩れた笑みを向けてやれば、「そうか」と意味ありげに頷いた火宮が、おもむろにこちらに向かって手を伸ばしてきた。
「へっ?」
てっきり俺に向かってくるかと思った手を避けたつもりの俺は、その手の目的が、その先のボディーソープのボトルだったことに気づいて、間抜けな声を上げてしまう。
「ククッ、やられたらやり返し、のさらにやり返しだ」
やられっぱなしで済まさないのは、俺たちヤクザもでな、と笑った火宮が、とろりとボディーソープのポンプを押して中身を手に広げて、ニヤリと妖しく口角を持ち上げた。
「っな、にを…ひゃんっ!」
「ククッ、どうした?せっかく湯を掛けた身体を、俺が丁寧に洗ってやろうというだけだぞ」
ニヤリと愉しげに笑った火宮の目は、明らかにサディスティックな色を宿して細められていた。
「っーー!」
それが、いきなり胸の突起を掠めていくとはどういうことか。
悪戯なもう片方の手は、遠慮なく俺の中心に伸びているし…。
「ん?ビクビクしてどうした」
愉悦を隠しもしない声が揺れて、俺は魚のように身を震わせながら、キッと火宮を睨みつけた。
「そんな、やらしい手つきで、弱いとこばっか…っ、あんっ」
だーかーら、言ってるそばから、後ろに伸びたその指はなんだ。
ぬるりと尻の割れ目を辿った指先が、クイッと曲げられて狭間に潜り込んできたのをどうしたものか。
「っ、んっ…」
思わずキュッと双丘に力を込めてしまった俺の尻の間に、火宮の指がばっちり挟まってしまった。
「ククッ、なんだ。離したくないって?」
「違いますっ!」
なにを馬鹿な。
「クッ、ほら、力を抜け」
「っ、じゃぁ、悪戯を、やめてくださ…っあんっ」
ああ言えばこう言う、のさらに文句を返した俺の中心を、弄んでいた方の手が、キュッと軽く握ってきた。
思わずビクンッと跳ねる身体から、へにゃりと力が抜ける。
「っあぁっ!」
ヤバイ。その隙を火宮が逃すはずもなく、緩んだ後ろに進められた指が、ぬるっと蕾に潜り込んできた。
「だ、から、やめっ…」
「ククッ、何をだ。だから俺は洗ってやっているだけだと」
「っーー!このどSッ」
「ふっ、久々に聞いたな、その暴言」
「っ、い、くらでも、言ってやりますよっ。バカ火宮。意地悪火宮。どS火宮っ」
もうやけくそだ。何かの箍が外れた俺は、次々と思いつく限りの暴言を解き放っていた。
「ほぉ?」
スゥッと冷たく目を細めた火宮の声が、ぞくりとするような欲を孕んだことに気づいたときにはすでに遅く。
ツプリと蕾の入り口で遊んでいた指が、ずぶりと奥まで突き込まれていた。
「いぁぁっ!」
「ククッ、どうやら苛めて欲しいらしいからな」
「っ…」
ぬるぬると、滑りのいいボディーソープを纏っているお陰で痛みはないが、急に差し込まれた指の異物感が半端ない。
「やっ…」
今更ながらに暴言を後悔して、フルフルと首を振った俺にも、すっかりスイッチが入ったらしい火宮の追及の手は緩まなかった。
「ククッ、ほら、どうした?意地悪火宮、どS火宮の次は?」
「っあぁんっ、あっ、あっ」
くちゅくちゅと、わざといやらしい音を立てながら、後ろで抜き差しされる指に翻弄され、俺はへにゃりと目の前の火宮に縋りついた。
「んっ?もう打ち止めか?」
生ぬるいな、と笑う火宮を、ぼやけた視界で見つめる。
「ククッ、その顔。そうだな、では、言葉の代わりに、こちらは打つものがなくなるまで、出してもらおうか」
「は…?え?なっ…」
ゆっくりと持ち上がっていく火宮の頬を目に捉えたときにはもう、ぐちゅりと後ろを弄る指の動きが激しさを増していて、前を扱くてに力が込められていた。
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