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第670話※

ガタッ、ガタッと、火宮の律動に合わせて机が揺れる。 はくはくと喘ぐ口から零れ落ちそうな嬌声は必死で堪えていた。 「っ、はっ、はっ…」 いくらここが空き教室で、不要な机やら器材やらが詰め込まれているお陰で、廊下を通った人から乱雑な舞台裏を見せないという配慮から前後のドアに目隠しの暗幕が掛かっているとはいえ。 校庭側の窓にも白いカーテンが引かれて中は見えないとはいえ。 ここは教室だ。 壁一枚隔てたすぐ外は、文化祭を楽しみに来た人が行き来する廊下だ。 防音もへったくれもない普通の…。 「ひゃぁぁっ!」 ちょっ、何!いきなり何をするっ! するりとスカートの中に入ってきた火宮の手が、ぎゅぅ、と性器を握り込んできて、俺は飛び上がった。 「んんーっ…」 反射的に甲高い悲鳴を漏らしてしまった口を、両手で必死に押さえる。 涙目になった目は分かっていたけど、ジロリと後ろを振り返れば、髪を軽く乱した火宮が、ニヤリと笑っていた。 「ククッ、よそ事を考えていただろう?」 その罰だ、と細められる目が壮絶に色っぽい。 「あっ、ン…だっ、て」 「クッ、だから、外には本家の護衛が見張りに立っていると言ったはずだ。誰も近づけん」 安心しろ、って言うけれど。 そもそも本家の護衛は七重についていなくていいのかとか、本家の護衛をそんな用途に使うってなんなのだ、とか。疑問は尽きず、ぐるぐる回る。 「だから、こら。余所事ばかり考えているな」 「あっ、あっ、そこやだっ!」 「嫌じゃない。おまえのいいところだろう?」 ズリズリと、前立腺を抉るように責められて、俺は堪らずガタガタと机を鳴らして仰け反った。 「ひぁぁっ!」 あぁ、堪える間も無く嬌声が…。 どうせ狙ってやったに決まっている火宮には、本当に敵わない。 せめてもと顔を伏せ、机に突っ伏してイイ顔は見せまいと思うのに、こうすると後ろにますますお尻を突き出してしまうことに、やってから気がついた。 「ククッ、なんだ?もっとという催促か」 「なっ、バカ、違うっ…」 「応えるのもやぶさかではない」 「あぁっ、あぁぁぁっ、だからっ、ちが、あっン、火宮さっ…」 ズチュン、バチュンッと激しくナカを貫かれ、俺はもう形振り構う余裕もなく快楽に流された。 「あっ、あっ、火宮さっ…刃。そこ奥っ…深ぁ、激しっ…」 「ククッ、声。諦めたのか、半分飛んだか」 そそる、と囁かれる声さえも、俺の中では快感にすり替わり、ゾクゾクと震える中心が、解放目指して熱を駆け上がらせた。 「あっ、アッー!」 「クッ、すごい締め付けだな」 「イく。イっちゃう…」 ズチュンと穿たれたナカがきゅぅ、と収縮したのが分かった。 火宮の形をリアルに感じ、その硬さと熱さにビクビクと全身が悦びに震える。 「ふっ、このままイくと、スカートを汚すぞ」 「あっ、いやっ…でもイく。イクイクイクーっ」 「クッ、翼」 「いや、だめ、我慢できなっ…スカート、よごっ…やだぁっ」 駄目ぇ、と舌ったらずになってしまった叫び声が、耳に恥ずかしい。 けれどもそれに構う余裕もなく、目の前がチカチカと白く瞬く。 「っ!アッ!だ、め、ぇぇ…」 迫る絶頂の予感に、思考回路がショートして、脳内がパァンと眩く瞬いた。 「ふっ、翼。存分に出せ」 「あっ、あっ、あぁぁぁぁっ!」 ビクンッ、と一際大きく仰け反った身体が、ひくりとそのまま痙攣して、ビュクッと白濁を吹き上げた。 「あ、あ、あぁぁぁ…」 これじゃぁスカートが…と絶望的な気分になる。 けれどこの上なく気持ちいい絶頂を迎えた頭はジーンと甘い幸せに溶けていて。 「はっ、あ。じんー」 ドクッ、ドクッとナカで脈打つ火宮の熱を感じながら、俺はくたりと目の前の机に突っ伏した。 「ククッ、盛大にイったな」 見てみろ、と俺の下腹部辺りから引き出される手には、いつの間に用意したのか、青いハンカチが握られていて。 わざとらしく目の前まで運ばれたそれがふわりと開かれ、ドロッとした白濁が異様なコントラストを際立たせていた。 「っ…」 衣装を汚さないように、咄嗟にハンカチで受け止めてくれたらしいのはありがたいけど。 面白そうに見せつけられたそれに、俺はどうしたらいいものか。 「翼?」 「う…」 いたたまれない。 そだってそれ、火宮の私物。つまりはきっとなんたらとかいうブランド物で、ン万するような代物だろう。 そこに俺の白濁…。 「翼?」 「っ…買って、返しますから…。捨ててください」 むしろ!今すぐ!燃やしてくれ。 ふらりとハンカチに伸ばした手は、何故か火宮にひらりと避けられてしまった。 「構わん。買い直しなど必要ない」 「でもっ…」 「それに、捨てるつもりもないからな」 「は?」 え?まさかそれ、洗濯でもして使う気なんだろうか。 散財が趣味と言っても過言でないくらいの火宮にしては、少々珍しいのではないだろうか。 「ククッ、せっかくおまえの蜜がたっぷりとついているんだ。どうして捨てなきゃならん。もったいない」 「はぁっ?」 「なんならフリーザーバックにでも入れて保存するか」 「ちょっ、何言って…バカですか?」 そうしてとっておいて一体何に使う気だ。っていうか、何を考えて…。 「っ、ヘンタイッ」 思わず口走ってしまったら、ククッと可笑しそうに喉を鳴らした火宮がパァンッと、まだ突き出しっぱなしだった俺のお尻を張っていた。 「ぎゃぁ!」 「ククッ、恥ずかしがるか、嫌がって泣くかと思ったが、攻撃に出るとは。愉快な暴言を吐いてくれたな」 「ったい…もう、何するっ…」 「さすが翼だ」 斜め上をいく、と笑う火宮が、くしゃりとハンカチを丸めた。 「っぁ…」 「冗談だ」 「はぁっ?なっ…意地悪火宮っ」 「ククッ、おまえは俺をなんだと思っているんだか」 「っ…」 それは、どSで意地悪で…さっきの話も、実はちょっと本気が入っていたんじゃないかと思うくらいには、エロくて妖しい思考の持ち主だと思…っていうのを、そのまま口にしたらまた俺のお尻が赤くされるのは分かっていて。 「い、イケメンヤクザの理事様?」 当たり障りのない答えを口にした俺に、火宮がくはっと吹き出して、くくくっ、と声を上げて笑い出した。 「まったく、おまえはな」 オーラが語っている、オーラが。と言いながら、火宮がするりと俺から離れていく。 「まぁ、口を滑らせなかったことに免じて許してやるか」 ほら、とわざわざ拾いに行ってくれたのは、俺が足で脱ぎ捨てた下着で。 「んっ、ありがとうございます」 のそりと机から身体を起こした俺は、ありがたくそれを受け取っ……。 「んなっ?!」 「ククッ、皺くちゃだな」 「わ、笑いごとじゃないーーっ!」 ヤバイ。オワッタ。俺死んだ。 起こした身体を見下ろした視線の先には、よれてクシャクシャになったメイド服を纏った、見るも無惨なメイドがいた。

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