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第708話※
「はっぅ、あぁぁぁ」
あぁっ、もう、食べるか感じるかどっちかにしてくれないかなっ、俺の身体。
「うぅ…」
もぞりと食事に手を出せば、体勢の変わったナカでぐちゅりとディルドがいいところに当たる。
咀嚼に集中しようとすれば、後ろから上がる快感がそれを邪魔し、だからと快楽に集中してしまうには、目の前で優雅に食事を進める火宮と料理のいい匂いがそれを阻んでいた。
「ククッ、食が進まないな」
「っーー!」
当たり前だ、このどSッ。
ギリッと睨みつけた顔ですら、思わずゾクリと湧いた快感にふにゃりと蕩け、それがまた火宮を楽しませているかと思うと堪らない。
「っ、ぁんっ、ぁっ…」
だーかーら!食べながら喘いじゃうこの口!
もう無理だ、本当に…。
思わず弱音が漏れる俺は、うるりと縋るように向かいで食事をする火宮を見つめた。
「ククッ、どうした、翼」
「っーー!どうしたじゃ、ない、っんぁっ、です…っ」
そもそも、人間の三大欲求は普通はそれぞれ同時に満たすことなんてできないんだからねっ。
出来る、と言い張る人もいるだろうけれど、少なくとも俺は無理だ。
食べながらエッチなことは出来ないし、寝ながら食べることも、寝てるのにエッチで気持ちよくなること…は、あれ?出来るのか?
「いやいやいやいや、論点がズレてるし」
「ククッ、なんの話だ」
「え?あ、俺口に…。じゃなくて、これ!後ろッ。挿れながらご飯とか」
もう許して、と潤んだ瞳を火宮に向ければ、ニヤリと口角を上げた意地悪な火宮の顔と出会った。
「っーー!」
「仕置きだからな。苦痛で結構」
ほら頑張れ。やれ頑張れと、目の前に突き出されたプチトマトを、俺は絶望的な気持ちで口の中に迎え入れた。
「はぁぁっ…」
本気で食べきるまで終わらないのか、これは。
ニヤリと満足そうに笑う火宮に、そのことを嫌というほど痛感してしまう。
「もう、お腹、いっぱいです」
ならば物理的な話に持って行ったらどうだろうか?
うるりと哀れっぽく訴えた俺に、火宮の意地悪な笑みは、ゾクリとするような妖しさを増した。
「っ?!」
「ならば別の口から…そうだな、せっかくディルドで大きく口を開けている下の…」
「ぎゃぁ!嘘です!ごめんなさい!食べます!上の口でちゃんと完食しますっ」
そうだった。この人こういう人だった。
自ら差し出したに違いないネタに青褪め、俺は慌てて前言を撤回した。
「嘘?」
「っ…」
あぁぁ、どうあっても墓穴をものすごい勢いで掘り下げてる、俺…。
「仕置き中に、偽りを述べるとはな。なかなか度胸がある」
「ご、めんな、さい…」
あぁもうこのとられた揚げ足を、どうあっても取り戻せない。
「嘘吐きには、罰だな?」
「っ、っ…」
「苦痛か、羞恥か。はたまた快楽か」
どうしてくれよう、と笑う火宮の手には、どこから取り出されたのか、木の平たい板のようなものが握られていた。
「そ、れ…」
「パドルという」
「っ…ぶ、つ、もの…?」
その形状からして、他の用途が思いつかない。
「ククッ、本来はカヌーを漕ぐ櫂だがな。これはスパンキング用の道具だ」
「っ…」
パンッ、と火宮の手のひらに打ち付けられたそのパドルとやらの音の大きさに、俺はビクッと身体を竦ませた。
「っあぁんっ…」
やばい…。下手に身動きをしたせいで、ナカのディルドがいいところに当たってしまった。
思わず上げてしまった喘ぎに、必死で口を手で押さえる。
「ククッ、相変わらず快楽に弱いな。可愛い喘ぎに免じて、選択肢は2つやろう」
「え…?」
「1つは、このパドルで尻叩きを半ダース」
「っ…」
「もう1つは、そこで自分で腰を振り、ディルドを使って1人でイけ」
どちらの罰がいい?と目を細める火宮に、俺はギリギリと唇を噛み締めた。
苦痛か。羞恥快楽責めか。
さすがは悪趣味でどSな火宮様が提示する選択肢なだけはある。
「ん?」
選ばなければ両方だな、と語る目に、俺は早くどちらかを選択しなくてはならないと焦った。けれど、こんなのどちらも選びたくない。
選びたくない、けれど。
「翼?」
あぁ、その呼び声、最後通牒だ。
真鍋じゃないけど、火宮の声色でそこそこ言いたいことの意味が分かってきた俺は、悩みに悩んで悩み抜いた末、震える唇で、そっと答えを紡ぎ出した。
「ひ、とり、で…する…」
ぐちゅりと動いた尻の下で、ディルドがずるりと抜けていく。
「う、んんっ…んぁ」
ずずずっ、と腰を持ち上げ、抜けていくディルドに擦られる内壁が気持ちいい。
ゆるりとしなる背中は、快楽の証だ。
「ククッ、いいだろう。イくまでやれよ」
「んぁっ、は、い…」
あぁどうせ、おまえは苦痛より快楽だよな、とでも思っているんでしょう?
そうですよーだ。どうせ俺は痛いことと怖いことが大嫌いですよ。
「んんっ、あはっ、あんっ…」
だからって、人の目がある前で、道具の上で腰を振り、自慰にふけるような真似も、決して楽とは言えないけれど。
「はっ、はっ、あぁっ」
ゾクリとするような目で見つめてくる、火宮の顔が欲情を浮かべているから、ちょっとだけやれる気がする。
ごくりと上下するその喉仏が、なんていうかもうざまあみろだ。
「ふふ」
どうせなら、煽りに煽って煽り抜いてやる。
嫉妬深い火宮刃。俺がディルドに自ら犯されているのを見て、焼きもちを妬けばいい。
パカッと両足を大きく開き、椅子のふちに乗せて見せつけるように腰を上下させ、お尻をズポズポとディルドの上で踊らせてやる。
妖艶に、いやらしく、火宮に見せつけてやるように。
「っあっ、あっ、あんっ…んんっ、あぁっ、き、もち…気持ちい…」
ぐちゅぐちゅと身体の上下運動でディルドを出し入れして、タラタラと溢れ出す先走りの雫を感じる。
「あっ、あっ、火宮さっ…刃っ」
そそられろ。煽られてしまえ。
嫉妬に駆られて食らいつけ。
挑発するように意地悪く、俺はちろりと火宮に流し目を送る。
「クッ、おまえは」
ぎらり、と餓えた獰猛な肉食獣のような目をした火宮に、鋭く見つめ返されて。
途端に俺は、ゾクゾクッと背筋を駆け上がった快感に、びゅくっと弾ける性器を感じていた。
「あっ、あぁぁっ、あぁぁぁぁっ…」
もう少し、もたせるつもりだったのに。
「ククッ、仕置きにならん」
この負けず嫌いめが、と笑う火宮の目が、完全に欲を宿してギラついている。
「はぁっ、あっ、い、れたい、ですか?あっ、んっ、ねっ、入れて…。入れてくださ…」
ずるりとディルドの上から腰を上げて、ペタリとテーブルに上半身を預けて、クイッと後にお尻を突き出す。
「ククッ、おまえは」
「はぅぁ、ね?刃。じん」
ぎゅぅ、と片方の手を後ろに回して、尻たぶを開いて蕩けているだろう穴を晒す。
「ふっ…」
俺に触れられるのも、俺を染めるのも、あなただけの特権でしょう?
「ディルドの感触…塗り替えて…」
あなただけが、俺を好きに出来る。
ふるりと揺らした俺のお尻に、パァンッと火宮の平手が落ちた。
「あぅっ…」
痛い、けど、気持ちいい。
それが火宮の手によるものだから。
「しっかり踏ん張っていろよ」
褒美だ、くれてやる、と耳元に囁かれた声に、ゾクリと身体を震わせば、ガチャガチャとテーブルの上の料理を端に寄せた火宮の手が、がっしりと後から俺の腰の両側を掴んだ。
「んっ、あぁぁっ…」
ぴとり、と後孔に触れた熱に、繋がれる予感が最高潮に高まる。
「っ、ん…」
ひゅぅっ、と息を吸い込んだ瞬間に、ズンッと後から強く突かれ、ハァァァァッと長く息を吐き出すタイミングで、ズブズブと蕾に火宮の性器が深く埋め込まれていった。
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