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第709話※
「あっ、あっ、あっ…」
ゆさゆさと、背後から伸し掛かられた身体が揺さぶられ、俺は絶え間なく口の隙間から嬌声を漏らしていた。
「ふっ、はっ、翼」
「あっ、あっ、イイッ、火宮さっ…じんっ」
タラリと唇の端から零れた唾液が、テーブルの上にぬらりと光る水溜まりを作っている。
「あっ、あっ、あっ、はぁーっ、そこっ…」
グリッとナカのいいところを刺激され、ビクビクッと背中が仰け反った。
「クッ、締まる…ッ」
ハァッと欲を含んで落とされる火宮の吐息が、熱く背中を撫でる。
「あっ、あぁっ、イイッ…それ、だっ、めぇ…っ」
ずるり、と腰を引くように内壁を擦られたかと思ったら次にはズプンッと奥深くまで性器を突き立てられ、口からは絶え間なく嬌声が上がった。
「あぁぁぁっ…イくっ、イっちゃう…っ」
ごちゅんっ、と突かれたナカが、きゅぅぅっと締まったのが自分でもわかる。
火宮の熱い肉棒を、浮き出た青筋まで感じられるほどに強く締め付け、ビクビクと全身が激しく痙攣した。
「あっ、あっ、あぁんっ…」
ズリズリと、勝手に性器の先っぽを擦り付けてしまうダイニングテーブルの有り様など、もう知りたくもないけれど、滑る感触が気持ちいいのは、俺の先走りでべっとべとなせいなんだろう。
「出…っ」
ぐちゅん、と自ら性器をテーブルに擦り付けたのと同時に奥を突かれて、ビュビュッと白濁が飛び散ったのを自覚した。
「あっ、あっ、あぁーっ…」
絶頂を極めた身体が、ビクビクと震えながら弛緩していく。
けれどもキュゥッと締め付けたナカでは火宮がまだまだ固いままで、射精の余韻で震えるナカを、なおもしつこく擦り続けた。
「あっ、あっ、やだっ、やぁっ!もっ、イってるっ、イッてるからっ…」
やめて、とのたうつ身体を、ぎりぎりと押さえ込まれる。
「やぁやぁっ、火宮さっ…じんっ」
もう止まって、と叫ぶ声は華麗にスルーされ、後ろからテーブルに押さえつけられた身体を、執拗に責められた。
「あっ、あぁぁっ、あぁーーっ!」
絶頂してもまだ刺激をやめてもらえず、目の前がチカチカと瞬いてきた。
「いやぁっ!もう辛っ…つらいぃ…」
過ぎた快感は苦痛である。
イッたばかりの敏感な身体を、何度も何度も激しく突かれ、俺はその突き上げに翻弄されるまま、ガクガクと身体を震わせた。
「ククッ、翼」
「ひぁっ、ひぃぃぁっ…くるッ…なんか、キちゃう…っ」
どちゅん、どちゅんと奥深くを凶悪な火宮の代物に突かれ、ついでとばかりに性器と乳首をグリグリ刺激される。
「いやぁっ、漏れ…っ、出、ちゃ…」
開いた手のひらに、ぐりぐりと性器の先端を擦り上げられて、俺は涙と涎を振りまきながら頭を振り回した。
「じんっ…じんーっ!」
いやだ、こわい。
身体の底から突き上がる、目の眩むようなこの快感はなんなのか。
イッたのに終わりは与えられず、なおも追い上げられる身体は、先ほどよりもずっと高い山に強引に登らされて…。
「いやぁっ、あぁっ、火宮さんっ、じんーーーっ!」
また、イく…っ、と思った瞬間に、どちゅんっ、と奥まで火宮が挿入り、ぐちゅっ、と性器の先端を指先で抉られて、俺はたまらず天を仰いだ。
「あぁぁぁぁーーーっ!」
ぷしゃぁぁっ!
ぶわっ、と全身の毛穴が開いたかと思うような、強烈な快感と絶頂感。
びしゃびしゃと、股の間を濡らすのは、サラサラの透明な液体で、どこかぼんやりしてきた頭の中で、あぁ潮を吹いたんだ、ってことを、なんとなく認識した。
「クッ、最高の、締め付けだ…っ」
イク、と色気のある低音で囁かれ、次の瞬間にはドクッとナカで脈打つ火宮の熱を感じた。
「うぁぅ…」
ズンズンと、最後まで精を絞るように数回突かれ、ようやくぴたりと火宮の動きが止まる。
「ククッ、ドロドロのぐちゃぐちゃじゃないか」
ダイニングだぞ?と笑う火宮の声に合わせて、ゆらゆらと揺らされる身体が、ピクン、ピクンと痙攣した。
「うぁ、誰が、させたんですか…」
「俺か?」
心外だ、と言うように少しだけトーンを上げる火宮の声が腹立たしい。
「潮まで吹いて。すっかり蕩けて」
「うぅ…」
それを狙っていたくせに。
「だが、まだこれで終わりだと思うなよ?」
「え…?」
いや、だって、待って?
もうすでに3回もイッた身体で、潮吹きまでしたんだよ?
「ククッ、おまえは仕置き中の身であるということを、忘れていないか?」
「嘘…。待っ…」
ガバリと慌てて振り仰いだ後ろには、ニヤリとした意地悪な火宮の笑み。
ぎくり、と強張る身体に、意地悪くサディスティックに揺れる声が降り落とされた。
「さぁ、もう一度、繰り返しだ」
「な…っ?」
ずるり、と抜き取られていく火宮の性器に、名残惜しそうに絡まる後ろは気のせいだ。
喪失感にパクパクと口を開けているのだろう、空気を感じる後孔のことなんて、認識したくない。
けれどもそこに、フゥッと息を吹き掛けられて、くぱぁっと指まで掛けられた蕾を左右に開かれてしまえば、ヒクつくそこを意識せずにはいられなかった。
「あぁっ、やだぁ…」
とろり、と零れ落ちていく液体がゾワゾワと、馬鹿になった快楽中枢をさらに刺激する。
「またローション浣腸、それから挿入」
「っ、っ、やぁ…」
「潮吹きは…さすがに2回目の経験で、一度に2回は吹けないか?」
試してみようか、と笑う火宮の声が、悪魔の声に聞こえた。
「無理。無理です…」
もうどこもかしこも気持ちよくて、馬鹿みたいに感度が上がってしまっているのに。
「あぁっ、お尻、も、やだ。やだ」
ローションも、挿れられるのも、多分これ以上やられたら、快感で頭がおかしくなってしまう。
「潮もぉ…」
そういえば、2回目、って。
前にも吹かされたことがあったっけ。
あぁ、やっぱりあの時も、アキとひと騒動あって、真鍋を害されて、俺が形だけとはいえ火宮を裏切ったときにされた仕置きだったっけ…。
「アーキーさーんー」
もう本当、あの人が絡むとロクなことがない。
過ぎた快感はもう拷問並みの苦痛でしかなくて、潮吹きなんてその最たるものだ。
それをまた繰り返すとかのたまうこの男は、本当に正気か?
「ククッ、ここへ来て、この状況で別の男の名を口にするか?」
「え…?あ」
やばい。忘れていた、この人の途方もない独占欲。
しかもそれを刺激しちゃったお仕置き3日間なのに、その最中にまたアキの名なんて…。
「ひやっ、ごめんなさいっ…」
「ククッ、おまえはよほど、イキ狂わされるのがお好みらしい」
ニヤリ、と悪魔のように吊り上がった火宮の口元は、見なくても分かる気がした。
「いやですっ。ごめんなさい。間違えたーっ」
「ふっ、遠慮するな。まだまだ時間はたっぷりある。泣いて善がってイき狂い、快楽に気を失うまで抱き潰してやる」
だから安心しろ、と笑う火宮の言葉に、安心の要素は1つもなかった。
「ひっ…」
カタンッ、と火宮の手が持ち出したのは、だからどこに用意してあった!と突っ込み満載の、ローションとやらが入っているらしい針のない注射器のポンプ状の道具で。
「ほら、尻を突き出して、割れ目を開け」
「あぅっ…」
パシンッと尻たぶを叩かれて、俺はガクガク震えながら、そろりと小さく両足を広げた。
「ぅんっ…」
ツプリ、と蕾を押し開いて突き刺された、冷たい無機物。
きゅぅ、と縮こまる心臓に、バクバクと上がる心拍数が苦しい。
「あぅ、はぅ、あぁぅぅ…」
チュゥーッとナカに注ぎ込まれていく液体の感触が、壊れた快楽中枢に快感だと認識され、ゾワゾワと全身の肌が震えた。
「あ、んっ…」
全ての液体を注ぎ終えたか、チュポンと抜けていく注射器の感覚がまた、快楽にすり替わる。
「漏らすなよ?といっても、もう締まりがないな」
ククッ、と楽しげに笑う火宮がどこの何を見て言っているのかは、もう分かりたくもなかった。
「仕方がない、1本で許してやるか」
さっきの3本分が、まだいくらかナカに残っているしな、と蕾を揉む火宮の指にも、思わずアンアンと喘ぎ声が漏れてしまう。
「さて、第2ラウンドだ」
今度はソファーで抱いてやる、と抱き起された身体が、状況に反してやけにゆっくり丁寧に、リビングのソファーまで運ばれた。
「向かい合わせでシてやるんだ。嬉しいだろう?」
ニヤリと笑う火宮の美貌が、間近に見える。
「んぁっ、あぁっ、ん」
コクコクと反射的に頷いてしまうのは、火宮の機嫌を取りたいのと同時に、俺の本心でもある。
「ククッ、可愛い真似を」
ふらりと伸ばした手で、必死に火宮の首にしがみつき、キスをねだる素振りを見せれば、ギラリと目に欲情を宿した火宮の顔が、ふわりと柔らかく綻んだ。
「だから、仕置きだというのに」
「んっ、刃。じん、好きぃ…」
分かってる。これは俺にはあなただけだということを、証明するための儀式だから。
「ククッ、おまえは。本当に、愛おしいよ」
「じんー」
だけど本当はもうお互いに分かってる。
アキに感じた焼きもちなんて、とっくに昇華されているでしょう?
それでも俺を、こうしてドロドロに溶かして支配して手放そうとしないのは、あなたの溢れ狂う愛情を、注ぎ込む先が俺だけだから。
「っ、んっ…」
ずっぷりと、正面から埋まって来る熱が、なんて心地いい。
「はぁぅっ…じん」
ねぇ、3日3晩、こうして俺をその手に閉じ込めたら安心する?
「お仕置き…。して?もっと、して…?」
「チッ、くそっ…」
それがあなたの愛情表現なんだもんね。
だったら俺は、とことんまで受け止めるから。
「俺を煽ったこと、後悔するなよ?」
「っあぁっ!あっ、あぁっ…」
ギラッと火宮の纏うオーラが凶悪に熱を孕んだのを感じた瞬間、どちゅんっ、とものすごい勢いで、ナカの奥まで突かれていた。
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