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第3話
「わー、寿司!しかも特上!」
火宮の部屋に上がって数分後。
一体どうやって手配したものか。
豪華さに涎が出そうな高級寿司の出前が届いた。
ぐぅぅぅ〜!
「うわ、恥ずかし…」
盛大に鳴ってしまった腹の虫に、またも火宮が笑い声を立てている。
「遠慮せずに食え。ちゃんとサビ抜きだ」
ヒョイッと1つつまみ上げ、立ったまま行儀悪く口に放り込む仕草までイケメンとくるから、微妙に腹が立つ。
「あの、えーと」
「おまえは俺の所有物になったんだ。衣食住に不自由させるつもりはない。気にせず食べろ」
所有物…。ペットみたいなもんか。まぁそういうことなら、遠慮なく。
「いっただきまーす」
パンと合わせた手を寿司に伸ばし、いきなりトロ様を捕獲する。
「ヤクザって儲かるんですねー」
高級マンションしかり、諭吉さんがはためいていくだろう高級寿司しかり。
庶民どころか借金にまみれた最下層の俺からしたら、金ってあるところにはあるんだな、と思う現実に呟いたら、火宮の苦笑が視界に入った。
「部下が聞いたら、また殺気立って、怖いもの知らずだとどん引きするだろうよ」
「ほぇ?わ!このいくら、美味ッ!」
あぁ、生きててよかった。
とかマジで思ってしまう俺は、相当現金で単純かもしれなかった。
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