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第36話※
「ッアーー!イヤァッ…」
リビングの床から引きずり立たされ、寝室のベッドに連れてこられて、乱暴に放り投げられた。
柔らかなスプリングが受け止めてくれた身体の上に、火宮の影が差す。
事態についていけないまま両足が抱え上げられ、抵抗する間もなく露わにされた蕾に、軽く舐め濡らされただけの火宮の指が突っ込まれた。
「ひぃッ…ヤァッ!」
「フッ、軽く飲み込んでおいて、何を言う」
チク、とした小さな痛みだけで、火宮の指が苦もなく後孔に収まったことは、わざわざ指摘されなくてもわかった。
「うっ、はァッ…あンッ」
ぐるっと中で回された指が、ズッと引き抜かれていき、中身を引きずり出されるかのような感覚に身体が震える。
ホッと息をつこうとしたところに、ズプッと再び突き入れられる指。
「うァッ…イヤァ、ンッ…」
内臓が押し上げられる感触が嫌で、自然と身体が捩れた。
「逃げるな」
「やァッ…だ、って…」
本来ものを入れる場所ではないそこに、生理と逆の動きをする指は、不快でしかない。
本能的に逃れようともがく身体は、意志でどうなるものでもない。
「フッ。だけど前は元気なままだぞ?」
「ふぁッ…あァッー」
嫌なのに、萎えていない中心を指摘され、ポロリと涙が伝い落ちた。
「くくっ、いい表情だ」
「ッ…」
こんのどSッ!
屈辱に泣く顔を楽しまれ、一瞬憎しみすら湧く。
舌舐めずりしそうな悦びを乗せる火宮の顔を、思わず睨みつけてしまう。
「ほぉ、仕置き中だというのに、度胸がある」
「ッ!」
むせ返るような色香が放たれ、反射的に首を左右に振っていた。
「くくっ、安心しろ。いきなり無茶なことはしない」
これだけ強引なことをしておいて、その言葉にどれだけの安心の要素があるというのか。
しみじみと、最初に抱かれたときは、本当の本当に手加減されていたのだと思い知った。
いまのこちらが、本来の火宮のやり方か。
「っ、アッーー!」
思考を旅立たせていたら、不意に一気に指が引き抜かれて悲鳴が漏れた。
一旦身体を離した火宮が、ベッドサイドチェストから、何かを持ち出す。
くるくると手の中で弄ばれるそれは、小さな卵型のピンク色の道具と、ボタンのついたリモコン。
っ!ローター?
一応これでも16歳男子。
エロ本を読むこともあれば、AVだって見たこともある。
でも、そんなのどうする…。
「ッ、まさか…」
嫌な予感は、ギシ、とベッドを軋ませた火宮の、妖しく光る瞳を見て、確信に変わった。
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