38 / 719

第38話

「んーっ。あ?」 パチリと開いた目が、カーテンの向こうの明るさを捉えた。 「うっわぁ!またやっちゃった?」 ガバッと飛び起きたそこに、火宮の姿はない。 「いやでも、昨日のは火宮さんだって悪い…」 あんな、お仕置きとかっ。ローターとか。 サドで意地悪で…あんなっ、あんな…。 昨夜の出来事を思い出したら、カァッと頬が熱くなった。 ついでに、朦朧とした意識の中で、半ば脅迫まがいに交わされた約束を思い出す。 自分で触るな、か…。 「ほんと、どS!」 約束させられちゃったから、従うしかないけど。 「俺はMじゃないんだからな…」 この調子で、身体、保つかな…。 加虐趣味だと宣言していた火宮を思い出し、不安が頭をよぎる。 なるべく機嫌を損ねないように、お仕置きなんかをされないように。 仕方なく自慰は我慢することにする。 「でもスイッチ入るツボ、さっぱりわからなかった…」 昨日の急な責めも、なんでいきなり始まったんだか。 「ま、考えても仕方ないか。シャワー浴びてこよ」 きっとサディストとは、唐突に嗜虐心が湧くものなんだ。 そのときはそのときで付き合うしかない、と適当に結論付けながら、俺はリビングを横切って風呂場に向かった。

ともだちにシェアしよう!