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第63話※
「クッ。飛んだか。おい、翼」
「んっ、ンぁ…んンッ…」
ガクガク震える身体に力が入らない。
ペチペチと頬を叩いてくるのは、火宮の冷たい手か。
火照った顔にその冷たさが気持ちいい。
「んっ…ひ、みや、さ…もっ、許し…」
「ククッ、いい表情だ」
ゾクゾクする、と囁く火宮の瞳に、快楽に蕩けきった虚ろな顔をした俺が映っている。
このどS…。
「もっ…や、ぁ…」
快感も、ここまでくるともう苦痛以外の何ものでもない。
快楽地獄は、確かに地獄だった。
「反省したか?」
「っ…し、た。もっ…」
2度と勉強を軽んじてはいけないと痛感した。
真鍋にはぶたれるし、そのことで火宮には責められるし。ちょっと勉強をサボったツケがこんなことになるなんて聞いてない。
「ククッ、いいだろう」
「ッ!あ…」
ピタリと後ろの道具の動きが止まり、ローターと前を戒めていたリングが外された。
「うぁぁ…」
散々堰きとめられていた白濁液が、ダラダラと溢れて床を汚すのが見えた。
「後ろもほら」
「っ!あぅぅ…」
ずるっと道具が抜かれ、身体が震えた。
ようやく刺激が止み、ホッとする。
「ふはっ…んっ」
「ククッ。ヒクヒクしてるぞ」
「やぁ…見、るな…」
馬鹿。意地悪。本当、どS!
よくも見事に人が嫌がることを突いてこれると思う。
「フッ、まだそんな目が出来るか。飽きさせないな」
「っ、やぁぁッ」
どんな目だか知らないが、うっかり睨んでしまった自覚だけはある。
まずい、と思ったときにはもう、せっかく玩具が抜かれて楽になった後孔に指が突き立てられていた。
「ひぅっ…」
「ククッ、まぁいい。さすがにこれ以上はな」
楽しげに揺れた声が聞こえ、火宮の指は意外とあっさり抜かれていった。
「っな…」
これは、わざとか?
微妙な刺激を残して解放されたら、逆に後ろが疼くじゃないか。
「っ、や…」
何度もドライでイかされた身体は辛いのに、何だか物足りない。
「うぅっ…」
まだ催淫剤とやらの効力が消えていないのだろうか?
不安になって見上げた火宮の顔は、意地悪く確信的に微笑んでいた。
「ッ!」
この男っ!
むせ返るような色香を纏い、艶やかに火宮が笑う。
ゾクゾクと背筋を這い上がるのは、色気にあてられた欲情か。
くっそぉ…。
火宮の思うつぼなのは分かっていた。
けれど揺れてしまう腰が、その答えだった。
「っ…火宮さん…」
「なんだ」
「ッ、う、しろ…」
「ん?」
「お願い…入れて…」
最後は小声になって掠れて消えた。
身体はもう限界で、自ら誘うなんてしたくないのに。
中途半端に煽られたせいで、嫌でも身体が求めてしまう。
「これか?」
「っな!」
こんのどSッ!バカ火宮!意地悪!
分かっているくせに、玩具をかかげてみせるところが、本当、性悪でどうしようもない。
「ん?翼?」
「っーー!違うっ!火宮さんっ!」
あぁもうやけくそ。
コレ!と火宮の中心に手を伸ばしてやったら、それはそれは楽しそうに微笑まれた。
「ふっ、はっははは。だから飽きない」
「意地悪ーッ」
自分だって、もう硬くしているくせに。
ズボンの上から触れたソコは、しっかり熱くなっていた。
「ククッ。ならば乗れ」
ニヤリと不敵に微笑んだ火宮が、ゆったりとソファに腰を下ろし、前を寛げた。
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