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第81話※
ぐいっと乱暴に引き上げられた上着と、中に着ていたシャツのボタンがブチブチと引き裂かれて飛ぶ感触。
ピンッと弾かれたボタンが1つ頬を掠め、ピリッとした痛みを残していく。
「っ、あうっ…」
「ふん、ビクつかせて」
ギュッと強く胸の突起を抓られて、背が派手に仰け反った。
ギリギリと、優しくない手つきで胸の飾りが捻り上げられる。
痛くて震える歯が、カチカチと音を立てた。
「ひぁっ、痛っ、痛いっ…」
「そう望んだのはおまえだろう?喚くな」
うるさい、と言わんばかりに乱暴に、口の中に指が突っ込まれる。
2本の指先で舌が捕まり、グリグリと無理やり捩られる。
「ひひゃい…うっ、えっ、えっ…」
えずくほどに奥まで差し込まれた指が苦しくて、生理的な涙が滲む。
飲み込むことのできない唾液が口の端からこぼれ、口の周りをベタベタに汚す。
「ふん」
「うぇぇ…」
ズルッと口から引き抜かれた指が、今度はそのまま下半身に絡みついた。
ズボッと乱暴にズボンの中に入れられた手に、ギュッと強く中心を握り込まれ、潰されそうな恐怖に腰が跳ねる。
「いやぁっ…」
「ふん、萎えたままか。つまらん」
「ふっぇぇ…」
自分で望んだことだけれど、本当に冷たい火宮の声に、涙が勝手に溢れ出す。
「舐めろ」
スッとズボンの中から手を引いて、ベッドに両足を投げ出して座り、自身の前を寛げる。
「っ、んっ…」
ノロノロと身体を起こし、火宮の足の間に蹲るように座った俺は、まだまったく力を持っていない、けれども素の状態ですら大きな火宮自身に手を伸ばした。
「んっ、ふっ…ン」
恐る恐る口に含み、ソロリと舌を這わす。
途端に鼻をつく雄のにおいに、つい眉が寄ってしまう。
「ほら。ちゃんと勃たせないと入れられないぞ」
下手糞、と冷笑する火宮の声が、ズキリと胸を刃のように切りつける。
「ンッ…うっ、んはっ…」
筋を舐めて、口を窄めて吸い上げて、緩く角度を変えた性器をさらに煽る。
「ふっ…ン、んぁっ…ッア」
「まだまだ」
スッと俺の中心に伸びてきた火宮の足の指先が、グニグニと悪戯にソコを踏みつけてきた。
「ひぁっ、やっ…」
「噛むなよ?歯を立てたら…」
わざと、途中で切られる台詞。
ゾクッと背中を悪寒が這い上がる。
その寒気を、火宮の声を、振り払うように首を振る。
「ふぁっ…ンッ、んっ…」
「その苦しむ顔はそそるぞ」
ぐいっと前髪を乱暴に掴まれて顔を上げさせられ、口一杯には大きな火宮の性器。
中心は足先で嬲られて、口からは飲み込みきれない唾液がこぼれる。
目に滲むのは苦しみと痛みの涙。
「ふぁっ、ふえっ…んッ」
「ふっ、日が暮れる」
必死で昂らせようと舐める中心も、わずかに形を変えたまま、それ以上にはならなかった。
「手をどけろ」
「ンッ?!」
いきなりグイッと痛いほどに後頭部を鷲掴みにされ、前からはズンッと腰が突き出された。
「ん、うえっ、オェッ…」
いきなり乱暴に奥まで突っ込まれ、喉を押した切っ先にえずく。
「ほら。泣いてないで舌を動かせよ」
「ふぇっ、えっ、えっ…」
ガンガンと強引に腰を振られ、掴まれた頭を無理やり前後させられる。
苦しくて辛くて、涙がボロボロ溢れ出す。
「ほら」
「うぇぇっ…」
鼻水が垂れ、唾液も溢れ、涙でグシャグシャだろう顔は、一体どれだけ酷い有様になっているんだろうか。
火宮の吐息が頭上から聞こえ、ググッと口の中の性器の大きさが増した。
「ふん。1度出してやる。嬉しいだろう?溢さず飲み込め」
「ッ!」
否を唱える権利は俺にはなかった。
一気に激しさを増した抽送に、喉の奥の奥まで犯される。
ググッとさらに火宮が膨れ、さらに激しく口の中を擦られる。
「くっ…」
かすかに掠れた火宮の吐息を聞いた瞬間、ツンと鼻をついた青臭いにおいと、ドロリとした苦みが口いっぱいに広がった。
「んっ、んーっ…」
吐くな、と顎を押さえられ、嫌でもゴクンとそれを嚥下する。
決して美味しいとはいえないそれの味が、いつまでも口の中を不快にする。
「ふん、汚い顔だ」
ヒヤリ、と降ってきた火宮の声に、ふらりと顔を上げる。
いい子だ、と優しく褒めてくれる火宮の顔…なんてそこにはあるわけなくて、冷たく壮絶に笑った火宮の凍るような眼差しが、俺を真っ直ぐに見下ろしていた。
「っ…」
ズキンッと痛んだ胸から、だらだらと血が流れ出す。
いいんだ、これで。
いいんだ、俺が望んだ。
モノとして犯されるってことは、こういうこと。
「次は後ろを向いて、四つん這いだ。ズボンを脱いで尻だけ上げろ」
冷ややかな目をしたまま、火宮の冷たい声が放たれた。
「は、い…」
ザックリと抉られた心から流れる血は、それでも悲しいほど温かかった。
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